依頼主は『赤いバラの花の女神』
文字数 783文字
導光の元に、ある依頼主がやって来た。
何とも言えない
めた導光は、寝室から出ると、まるでその香
りに引き寄せられるかのように、中庭へ続く
縁側の方へ向かって行った。
(いったい何の香りだ?
これは。。。
何か花の香りのような気がするが。)
そして引き戸を引き、
中庭を見てみると。。。
なんと目の前には、あるはずのない
花々が庭一面に広がり、そこはまるで
楽園と見まがうほどだった。
ローズピンクの薔薇の花々の中に囲まれる
ように黄色やオレンジ、白や紫、そして青い
薔薇が
色とりどりの薔薇の花々。
「なんて美しい花園だ。
こんな花園は見たことがない。」
導光がその薔薇の花園に見とれていると、
なんとも優しいそよ風が吹き、その花園の
中心から、薔薇の花々が少しずつ左右へと
揺れながら移動し、導光の目の前に一本の
真っ白な道を作っていったのである。
薔薇の花々は、まるで敬意を払うかのよう
に
すると、その道の向こうに人のような姿が
現れ、ゆっくりと導光の方に向かって歩いて
来た。
女性の様だった。
頭上に
きらめくような銀色の長い髪はそよ風に揺れ
ている。
真っ赤なビロードのドレスを身に
ギリシャ神話に登場する女神のような彫りの
深い美しい顔立ちをしている。
その女性は、両手でドレスをさり気なく
持ち上げ、右足を後ろに引きながら左ひざ
を軽く曲げ、導光に一礼した。
「初めまして。 導光さま。
私は『赤いバラの花の女神 マリア』
と申します。
朝早くから申し訳ございません。
導光さまに、ぜひともお力を貸していただ
きたく、こちらにやって参りました。」
そう。
その依頼主の名は
『赤いバラの花の女神 マリア』。
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