許された家族
文字数 893文字
三羽の鳥たちを箱から出した。
三羽の鳥たちは、飛んだり、跳ねたり、
さえずったり。
まるで全身で喜びを表現しているよう
だった。
おそらく『マニュエル』が受け取ってくれ
ることで、今までの肩の荷が少しは降りたの
ではないだろうか?
喜びではしゃぎまわっている三羽の鳥たち
を、『輝羽』はしばらく
いた。
「『輝羽』ちゃん。どうしたの?」
『満』がそう尋ねると、
「えっ?
ああ。。。
今、三羽の鳥たちを視ていたの。
本当に
「そうか。 そうだろうな。。。」
「あらっ、『満』君のおかげじゃない。
例えそれが《神》である『ゴッド』や
『デスティニイ』でさえ、『マニュエル』の
心を動かすことはできなかったんだから。
『満』君は、すごいわ。」
「そんなことないよ。
みんな、『輝羽』ちゃんのお父さんの
おかげだよ。」
「お父さんの。。。?」
「うん。本当にすごい人だね。
『輝羽』ちゃんのお父さん。
けっしてしゃしゃり出ない。
陰でそっと。。。
優しくすべての存在を見護っている。
みんなが幸せになれる方法を考えて
くれる人。。。
心から尊敬する。
『輝羽』ちゃんのお父さんのこと。」
「もしかして、一緒に部屋を出て行った時
に何かあったの?」
「うん。『輝羽』ちゃんのお父さんに
アドバイスされたんだ。
「「『マニュエル』のことを救えるのは君
しかいない。
いざという時は、なんとしても
『マニュエル』のこと、説得してほしい。
『マニュエル』を頼む。」」って。」
「それで。。。
そうだったんだ。。。」
『満』に父のことを
とても嬉しかった。
そして、なぜかその時、『輝羽』は、三羽
の鳥たちをじっと見つめながら、
(おそらくこの世には、《神》でさえも
成し
ろう。。。
それなら我々人間は、いったい誰に救いを
求めればいいのだろう。。。)
ふと、そんなことを想った。
漠然としたこの想いは、のちに『輝羽』に
訪れるであろう転機に深く結びついている
ことを、この時の『輝羽』には知る
なかったのである。
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