その声の主は誰?
文字数 804文字
自分にそう語りかける声がした。
(『さえずり』?
いったい何のこと?)
意識を集中して、その声の
とした時。
「『輝羽』ちゃん。
待たせちゃった?
ゴメン。
ちょっと遅くなったみたい。」
そう言いながら『満』がやって来た。
「あっ、『満』君。。。」
「どうしたの?
『輝羽』ちゃん。。。」
少し顔色がよくない『輝羽』を見て、
『満』は心配そうにそう尋ねた。
「ううん。
あっ、ほら、課題のレポートがなかなか
進まなくて。」
「あっ、そういうこと。
僕でよかったら手伝うよ。」
「ありがとう。
『満』君って本当に優しいのね。」
そんな会話をしながら、二人は大講堂に
向かって歩いて行った。
「ところで『満』君。
あれから『ニーナ』に出逢えた?」
「えっ? まさか。
そんなに簡単に出逢えるとは思えない
しな。」
「でも、本当は出逢えたらいいと思ってる
んでしょ?」
「まあね。
ところでさ。
そういう『輝羽』ちゃんは、本当に
≪運命の人≫と出逢えるって信じてるの?」
「う~ん。
つい最近までは。。。
ほらっ、この間の『アレン』と
『マニュエル』の件があったでしょ。
その時までは、出逢えたらいいなと思って
たんだけど。。。」
「でも、今は違うの?」
「何か、逆に出逢いたくなくなって
きたの。」
「えっ?
それって≪運命の人≫とは、もう出逢い
たくないっていうこと?」
「そう。」
「どうして?」
「出逢っても結ばれないかも。。。
なんて思ったりして。」
「それは『輝羽』ちゃん次第だろ。」
「そうなんだけど。
再会しても結ばれないんじゃ。。。」
「えっ?
もう結ばれないってわかってるの?
『輝羽』ちゃんにはそれがわかるんだ。
そうだよな。
あれだけの力を持つお父さんがいるんだ
もんな。
お父さんも言ってたじゃない。
新しく縁を結ぶことも必要だって。」
「そうだけど。。。」
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