死の瞬間、それは救世主登場の瞬間
文字数 580文字
ふと気がつくと、目の前には、あの山小屋
があった。
結局『マニュエル』は、『アレン』の
山小屋へ戻って来ていたのである。
山小屋へ入ると、床に落ちている
に、木片を削るために使っていたナイフを見
つけた。
『マニュエル』は、とっさにそのナイフを
拾い、自分の
そして。。。
力一杯、喉に突き刺そうとしたその瞬間。
半開きになっていた入口のドアから、何か
が
たのである。
山ネコだった。
山ネコのあまりの勢いに、強く握り締めて
いたナイフは、気づくと『マニュエル』の手
の中からすでに消えていた。
その山ネコの姿を見て、『マニュエル』は
一瞬びっくりするが。
もはや死ぬことしか頭になかった
『マニュエル』は、その山ネコにすら恐怖を
感じなかったのである。
(ちょうどいいところにやって来てくれた。
自ら命を絶たなくても、この山ネコが私を
もう山ネコでもいい。
早く私を殺してくれ。
もうこれ以上苦しみながら生きていきたく
ない。)
目をギュッとつむったまま『マニュエル』
は思った。
そして。。。
(早く私を襲えっ。 襲って殺せっ。)
そう強く心の中で叫びながら、
『マニュエル』は、その山ネコに自分の命を
早くこの命を
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