『ビリー』への遺言
文字数 517文字
思ったよりも早く、こんな私にもとうとう
お迎えが来たようだ。
人という存在は、死んだら天国という
ところに行くらしい。
どんなところなのか。
私には想像もつかない。
しかし。。。
そこは、私にはけっしてたどり着けないで
あろう場所。
私は、今まで人としてあるまじき行いをして
きた。
それは。。。
絶対にやってはいけない、人の命を奪うと
いうこと。
罪もない人の命を奪い。。。
多くの人の命を犠牲にしてきた。。。
こんな私に、人として死ぬということが
本当に許されるのか。
許されるはずはない。
私は罪を背負い続け、永遠にその罪が許さ
れない世界に存在するべき者だ。
私は自分を絶対に許さない。
許せない。
『ビリー』。
生きる資格も死ぬ資格もないこんな私を、
君は救ってくれた。
ありがとう。
君に出会えたおかげで、背負い続けている
罪を少しだけ軽く感じながら生きてこれた。
罪を背負い続けて生きていかなければなら
なかった私にとって、それはひと時の安らぎ
だった。
『ビリー』。
心の安らぎを。。。
安らぎを、ありがとう。。。)
床の上にあお向けになった状態で、
『マニュエル』は、その胸にしっかりと
宝石箱を置き、両手に握りしめていた。
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