父鳥の後悔
文字数 1,100文字
「いや。そうではない。
私が弱かったんだ。
私が甘かったんだ。
私の元に来るたびに、あの仲介人は
私はその
私は。。。
私は、結局、
『マニュエル』が言った通りだ。
貧しさを言い訳に貧しさから目を
きちんとそれに向き合おうとせず。
貧しいのは私のせいじゃない。
そればかり考えるようになってしまった。
両親が亡くなってから、どんどん生きていく
のが
どうしてこんな人生なんだと。
どうしてこんな貧しい村に生まれたのかと。
何のために生まれて来たんだと。
こんな人生でしかないのなら。。。
こんな生き方しかできないのなら、
死んだ方がましだ。。。そう思った。
あの時。
両親が死んでしまったあの時。
自分も死ねばよかったんだ。
本当に死のうと思っていた。
こんなことになるのなら。。。
家族を犠牲にしてしまうくらいなら。。。
死んでしまえばよかった。
自分一人なら、誰も傷つけることも
なかったのに。。。
自分一人なら、誰も
なかったのに。。。
独りで生きていけないから家族を作って
おいて。。。
今度は家族がいるから死ぬことも
できないと。。。
私は、そうやって自分に言い訳ばかり
してきた。
もう、どうしていいのかわからなくなって
いた。
私の心には絶望だけがはびこり、希望を
失ってしまっていたんだ。
『マニュエル』。
死を迎えた後、私には後悔しかなかった。
甘すぎた自分を。。。
甘え過ぎていた自分を。。。
楽に生きていくことばかり考えていた
自分を。。。
私は呪ったんだ。
そんな自分を。。。
だが、後悔ばかりしていても、心の中で
お前にいくら
私は祈った。
どうすれば。。。
どうすれば。。。
今さら、こんな自分に何ができる。。。
その時。
《神》が私に告げてくださった。
私がすべきことを。
《神》はおっしゃった。
私がお前の父親として、お前にしてあげられ
ること。
それは、ひたすら罪を
心から願うこと。
そして、祈りを込めて創り上げた
【
お前の母、そしてお前の兄とともに
不幸にしてしまったお前に
今度こそ幸せな人生を歩んでほしい。。。
その想いで創り上げたこの力。
この日にお前に手渡すよう、《神》が設け
てくださった最初で最後の機会。
『マニュエル』。
どうか。。。
どうか、この力。。。
受け取ってほしい。。。」
それは、父鳥の、『マニュエル』に対する
心からの切実な叫びであった。
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