拒絶
文字数 708文字
その場にいる誰も『マニュエル』を説得で
きなかった。
導光には、もはや『マニュエル』に掛ける
言葉が見つからなかったのである。
できれば、家族からの贈り物を
『マニュエル』に受け取ってほしい。
家族の想いが痛いほどわかる導光。
だが、『マニュエル』の気持ちを考えると
『マニュエル』に決断してもらうしかない。
すべての存在にとって最善の解決策。
(やはり、もうあれしかない。
あれしか。。。)
最悪のシナリオを目の前に、導光は、心の
中である決断をしていた。
「
苦しみ、後悔すれば許される。
そうせざるを得なかった。
仕方なかった。
そんな言葉、私にはただの言い訳にしか
聞こえません。
そんな勝手で一方的な押し付けがましい
気持ちを伝えたところで、犠牲になって
しまった側は本当に救われると思っているの
でしょうか?
そんなの単なる自己満足に過ぎない。
『ゴッド』様、私は『アレン』に幸せを
届けるためにここまで来たのです。
口先だけの
に来たわけではありません。」
「ならば、どうしても受け取りたくはないと
いうのですね?」
「はい。」
即座に迷いなくはっきりと拒否の姿勢を
見せる『マニュエル』。
『マニュエル』の、受け取りたくはないと
いうその言葉に対し、兄鳥が、気を失ってい
る父鳥に代わって叫んだ。
「『マニュエル』。
すまない。
本当に申し訳ない。
ただこれだけは、この力だけは。。。
これだけは受け取ってほしい。
頼む。。。お願いだ。」
すると、とうとう母鳥も気を失い、
兄鳥は、倒れてしまった父鳥と母鳥をかばう
ように、その場に立ち尽くしていた。
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