叔母の遺言(六)
文字数 667文字
そして私も、お互いにとても仲が良く、
私たち三人は、三人にしかわからない秘密の
合言葉を作ろうと話し合ったことがあったの
です。
例えば、これから先、手紙を書く時。
何かを渡す時。
本当に、その相手が確かに私たち三人の
うちの誰かであることを証明する必要が生じ
た時。
合言葉があれば、お互い名前を語らずに
それを知ることができる。
そこで、薔薇の花が大好きだった私たち
三人は、それぞれ
『アレン』が、≪愛の赤いバラ≫
『アレン』の弟が、≪誠実な黄色いバラ≫
私が、≪永遠の白いバラ≫
という別名を作り、いざという時は、この名
を合言葉にしようと約束したのです。
《神》は、その宝石箱を受け取るために
は、『アレン』の子孫に合言葉を告げる必要
があるとおっしゃいました。
そして、私が宝石箱を受け取りに来たら、
『アレン』の子孫は、
「私は≪誠実な黄色いバラ≫。
兄である≪愛の赤いバラ≫のためにずっと
この日を待っていました。」
と言うだろう。
その時、私は、
「私は≪永遠の白いバラ≫。
≪誠実な黄色いバラ≫に感謝します。
≪愛の赤いバラ≫と≪永遠の白いバラ≫は
もうすぐ結ばれ、《ローズピンクのバラ》
が誕生するでしょう。」
そう答えるようにおっしゃいました。
『アレン』の子孫は、私がその合言葉を告
げた時、
「代々、受け継がれてきた遺言でしたが、
まさか本当にこの時が来るとは夢にも思っ
ていませんでした。
やっと祖先の切なる願いを叶えることが
できて感無量です。」
そう言って、涙ぐみながら喜んでくださいま
した。
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