兄の決意
文字数 578文字
その瞬間。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ。。。。」
兄は大声を上げ、『隊長』に向かって
真っすぐに。
それはまるで『隊長』の手にしていた剣に
正々堂々と立ち向かうかのようであった。
兄は、自らを自らの意志でその剣の
して差し出したのである。
そう。
敵国の
兄はとっさに弟をかばったのだ。
ここで弟が自分を殺さなければ仲間に疑わ
れ、弟の命が危ない。
この弟に私のことは殺せない。
ならば。。。
『隊長』が気づいた時、手にしていたその
剣は、兄の左胸を深く突き刺し、
の先は、兄の背中から外に飛び出していた。
(兄さん。。。)
『隊長』は心の中で叫んだ。
倒れる
『隊長』に言った。
「会いた。。。かった。。。
ゆ・る・し・て。。。」
富と財を手にした代償は、あまりにも
大きすぎた。
一家が資産家でなければ、こんな形で殺さ
れずに済んだのであろうか。。。
それとも一家が資産家であったからこそ、
皮肉にも敵に売られてしまった家族と再会を
果たすことができたのであろうか。。。
今となっては、その答えを見出すことも
出来ない。
十年前、家族と別れた時、一番下の妹は
生まれたばかりの赤ん坊だった。
十歳になっていた。
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