結婚報告
文字数 491文字
するようになって半年ほど過ぎたある日。
『マニュエル』は、『アレン』から
近くに住む女性ともうすぐ結婚するという
報告を受けた。
その女性は、『マニュエル』もよく知って
いる女性。
名前は『ニーナ』。
小さい頃、一緒に遊んだこともある。
本当に美しい女性だった。
親類の家に引き取られていたというその
女性は、なぜかいつも淋しそうだった。
でも、『アレン』と一緒にいる時だけは
いつも笑顔だった。
「おめでとう! 『アレン』。」
『アレン』に祝いの言葉をかける
『マニュエル』。
心から幸せになってほしいと思った。
(自分の人生には、“結婚”などという
は存在しない。)
そう自分に言い聞かせてきた。
敵国のスパイとなった時点で、自分の人生
を自分で思い描くことなど、もはや許される
はずもなかった。
人生は国の物。
国によっていくらでも都合のいいように
塗り替えられてしまう。
いったい何のために生きているのか。
毎日が自問自答の日々だった。
ところが今は。。。
家族を殺してしまったという残酷な現実と
引き換えに、皮肉にも本当に自分らしい人生
を送れている。
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