お願い! 目を開けて、気づいて、ご主人様。。。
文字数 488文字
『ビリー』が山小屋に戻ってきたのは、
『マニュエル』が亡くなってから半日ほど過
ぎた頃だった。
『ビリー』は、元気のない『マニュエル』
を心配し、『マニュエル』の大好物のキノコ
や野イチゴを探しに山の奥の方まで行ってい
たのだ。
朝早く、布をくわえて山小屋を出た
『ビリー』は、あちこちでキノコや山の果実
を見つけては口にくわえながら布の上に
置き、前足で上手に布で
戻ってきた。
『マニュエル』と一緒によく山菜や木の実
を採りに行ったときに覚えた『ビリー』なり
の採集方法だった。
『ビリー』は、床に倒れている
『マニュエル』に近づき、『マニュエル』の
顔の近くに、口にくわえていた布を置いた。
そして、帰ってきたことに気づいてほしくて
『マニュエル』の顔に前足で触れたり、
頬ずりしたりして『マニュエル』を起こそう
とした。
ところが『マニュエル』はいっこうに起き
ようとしない。
『マニュエル』の周りをぐるぐる歩き、
何度もニャー、ニャーと声を上げながら、
胸の上に乗って『マニュエル』の顔を
んだり。
しかし、何をしても『マニュエル』は目を
開けようとはしなかった。
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