【龍の眼光】が見抜いた『サタン』の過去
文字数 711文字
お前は過去に何度も『マニュエル』に助け
られているな。
お前が『サタン』に
人間だった過去があるはずだ。
母親に暴力をふるい、ろくに働きもしない
父親を、お前は手に掛けた。
母親はそんなお前をかばおうともせず、
「「殺したのはこの息子。私は一切関係
ない。」」
そう言って知らん顔をした。
そして、母親はお前を捨て、他の男と一緒
になった。
父親殺しで追われたお前は、教会へ逃げた。
その教会の神父に助けを求めた。
その神父はお前を理解してくれた。
お前はその神父のおかげで救われた。
違うかっ?
その神父だった命の恩人同様の
『マニュエル』を、お前はどうしてそこまで
苦しめる?
恥を知れっ。」
普段は温和な導光が、声を荒げて
『サタン』に叫んだ。
その途端、『サタン』は真顔になった。
その表情から、あざけ笑いが一瞬にして
消え、一気に曇っていったのである。
【龍の眼光】が見事に見抜いた『サタン』
の過去。
そして、その過去をありありと語る導光。
導光のその言葉は、まるで十字架の
ような魂を激しく突いたのであった。
導光の怒りは、もはや収まるどころでは
ない。
自らの心に常に冷静さを保ちながらも、
この『サタン』の、あまりにも冷酷非情で
残忍な言動に、さすがの導光も
切れ、もはや黙って見過ごすことなど到底
できないほどに、その
どころか頂点を突き抜け、何者にもその突き
抜けた導光の
そして『サタン』に立ち向かうそんな導光
の姿を視た『マニュエル』は、導光に感謝の
気持ちを抱き、こう言ったのである。
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