第94話 運命の女性~デート 頼み
文字数 1,370文字
拓馬たちの会話も一段落して全員が、山崎邸の来客用駐車場へ向かった。
先頭を拓馬と明子が並んで歩いていたのだが、拓馬はなぜか足元がふわふわとして落ち着かなかった。
地面を踏みしめているのに、足の裏に伝わる感触が、ふわふわと柔らかく全く固くないのだ。
最初は、靴底が古くなって剥がれてきたのではないかと思い、そっと靴底を確認したのだが、異常はなかった。
駐車場は、インターロッキングになっており、レンガ調のコンクリートブロックが組み合わさって敷き詰められていた。
ここでも、やはり足元からの感覚はふわふわとしたものだった。
拓馬は、ブロックが浮いているのではないのだろうかと考え、思わず、ブロックをとんとんと確認するように踏み鳴らしてしまった。
ところが、同時に明子もとんとんと足を踏み鳴らしたのだった。
お互いに驚いて顔を見合わせると、明子は恥ずかしそうに、
「なんだか足がふわふわして、足元を踏みしめてしまったんです・・・」
ようやく拓馬は気が付いた。
(これが、まるで雲の上を歩くような気持ちと言うんだな・・実際にこんな感じになるとは思ってもみなかった・・あきさんに会えて俺は舞い上がっているんだな・・でも、あきさんも同じ気持ちだったとは・・・嬉しい!!)
それは、明子も同じだった。
自分が拓馬に会えた嬉しさのあまり、まるで雲の上を歩いているように感じているんだと気づき、拓馬も同じだったんだと分かるとさらに嬉しさが込み上げてきた。
二人は、顔を見合せたまま互いにこぼれるような笑顔になったのだった。
後から付いて来た弥一郎と希美は、拓馬たちの様子を不思議に思いながら見ていたのだが、二人の雰囲気が予想以上に良いことに大いに満足したのだった。
拓馬は、明子を例の軽自動車に乗せ山崎邸を辞した。
空間拡張はしなかった。
アパートに帰れば全て見せるつもりだが、それまでは普通にしなければと思ったのだ。
帰路は、どんなナビより優秀な拓馬ナビの能力をフルに使って車を走らせた。
都内から千葉方面へ向かい、五菱商事国内商事部門本部ビルがあり、明子が住んでいる東取手市を過ぎ、拓馬のアパートがある阿見浦市まで最速の時間で到着した。
それでも、冬の日が落ちるのは早く、辺りは薄暗くなって所々街灯が点き始めていた。
拓馬は、明子を部屋に招き入れ、椅子を勧めると、手際よくコーヒーを淹れ始めた。
拓馬がコーヒーを淹れている間、明子は、
「とても可愛いお部屋ですね。きちんと整理整頓されていてちょっと驚きました」
と話しかけ、拓馬も、来月になると2階を改修して住まいにすること等を話した。
拓馬とテーブルを挟んでコーヒーを飲みながら明子は、出窓に飾っている幼い拓馬と亡くなった父母の写真に目を留め、
「これは拓馬さんとご両親ですか?」
と尋ねた。
「ええ、そうです・・・」
拓馬は、急に口が重くなってしまった。
拓馬は、これから話すことを考えると言葉が出せないほど緊張していたのだ。
だが、明子は、そんな拓馬の様子を見て、自分の質問が原因だと勘違いし、
「余計なことをお聞きしました、ごめんなさい・・」
と謝った。
拓馬は、慌てて、
「いいえ、違うんです・・ほんの数秒でいいですから目をつむってくれませんか、お願いします・・・」
と明子に頼んだのだった。
先頭を拓馬と明子が並んで歩いていたのだが、拓馬はなぜか足元がふわふわとして落ち着かなかった。
地面を踏みしめているのに、足の裏に伝わる感触が、ふわふわと柔らかく全く固くないのだ。
最初は、靴底が古くなって剥がれてきたのではないかと思い、そっと靴底を確認したのだが、異常はなかった。
駐車場は、インターロッキングになっており、レンガ調のコンクリートブロックが組み合わさって敷き詰められていた。
ここでも、やはり足元からの感覚はふわふわとしたものだった。
拓馬は、ブロックが浮いているのではないのだろうかと考え、思わず、ブロックをとんとんと確認するように踏み鳴らしてしまった。
ところが、同時に明子もとんとんと足を踏み鳴らしたのだった。
お互いに驚いて顔を見合わせると、明子は恥ずかしそうに、
「なんだか足がふわふわして、足元を踏みしめてしまったんです・・・」
ようやく拓馬は気が付いた。
(これが、まるで雲の上を歩くような気持ちと言うんだな・・実際にこんな感じになるとは思ってもみなかった・・あきさんに会えて俺は舞い上がっているんだな・・でも、あきさんも同じ気持ちだったとは・・・嬉しい!!)
それは、明子も同じだった。
自分が拓馬に会えた嬉しさのあまり、まるで雲の上を歩いているように感じているんだと気づき、拓馬も同じだったんだと分かるとさらに嬉しさが込み上げてきた。
二人は、顔を見合せたまま互いにこぼれるような笑顔になったのだった。
後から付いて来た弥一郎と希美は、拓馬たちの様子を不思議に思いながら見ていたのだが、二人の雰囲気が予想以上に良いことに大いに満足したのだった。
拓馬は、明子を例の軽自動車に乗せ山崎邸を辞した。
空間拡張はしなかった。
アパートに帰れば全て見せるつもりだが、それまでは普通にしなければと思ったのだ。
帰路は、どんなナビより優秀な拓馬ナビの能力をフルに使って車を走らせた。
都内から千葉方面へ向かい、五菱商事国内商事部門本部ビルがあり、明子が住んでいる東取手市を過ぎ、拓馬のアパートがある阿見浦市まで最速の時間で到着した。
それでも、冬の日が落ちるのは早く、辺りは薄暗くなって所々街灯が点き始めていた。
拓馬は、明子を部屋に招き入れ、椅子を勧めると、手際よくコーヒーを淹れ始めた。
拓馬がコーヒーを淹れている間、明子は、
「とても可愛いお部屋ですね。きちんと整理整頓されていてちょっと驚きました」
と話しかけ、拓馬も、来月になると2階を改修して住まいにすること等を話した。
拓馬とテーブルを挟んでコーヒーを飲みながら明子は、出窓に飾っている幼い拓馬と亡くなった父母の写真に目を留め、
「これは拓馬さんとご両親ですか?」
と尋ねた。
「ええ、そうです・・・」
拓馬は、急に口が重くなってしまった。
拓馬は、これから話すことを考えると言葉が出せないほど緊張していたのだ。
だが、明子は、そんな拓馬の様子を見て、自分の質問が原因だと勘違いし、
「余計なことをお聞きしました、ごめんなさい・・」
と謝った。
拓馬は、慌てて、
「いいえ、違うんです・・ほんの数秒でいいですから目をつむってくれませんか、お願いします・・・」
と明子に頼んだのだった。