第7話  同胞の回想~ノアを去る日

文字数 372文字

 私は、五千万の同胞たちとノアの大気圏を離れて、宇宙空間から故郷のノアを眺めていた。
 やがて、ノアの昔を復元した姿は崩れていき、まるで月のような姿になった。
 ノアの荒廃した本当の姿だった。

 私は、αの隣にいた。
 αは私の両親
 私は、αの最後の子ども( 娘 )だった。
 αの資質を最も色濃く受け継いでいると言われていた。

 近くにはβと、同じくその資質を最も色濃く受け継いだβの最後の子ども( 息子 )である後の拓馬が並んでいた。

 ノアが月のようになって、αとβは最期の時を迎えた。
 宇宙生命体の命は無限だと考えられていたが、どんな命にも終わりはあることを思い知らされた。
 五千万の同胞は皆悲しんだ。

 それから、私たちは一団となって、三十億光年の彼方にある約束の星へ向かった。
 太古の昔から伝えられている約束の星、地球へ、そして約束の地を目指して。
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