第12話 ゆるやかな覚醒(同一の例外~拓馬)
文字数 1,150文字
〔 同一の例外~拓馬 〕
宇宙生命体夫婦βの息子は、拓馬と同一していた。
拓馬として、生まれ変わっていたのだ。
同一した宇宙生命体は、覚醒しない。
しかし、母親( 山科栞 )として生まれ変わっていた宇宙生命体夫婦αの娘が、23年前の交通事故(10話)で覚醒し、拓馬を助けた。
さらに、子どもを助けようとして、トラックに撥ねられた拓馬を再び助けた。(4話)
二度も事故に遭い、二度とも拓馬の中に入った宇宙生命体の母親に助けられたことが契機になったのか、拓馬も覚醒することになる。
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意識が戻った日の夜、弥太郎氏の家族が、どうしても付き添うと言うのを、俺一人で大丈夫だからと、何とか説得して帰ってもらった。
誰にも見えないのだが、寝ている俺の体と一部重なるように、俺はベッドに座っていた。
まるで、幽体離脱だ。
( どう、気分は? )
( 変な感じだよ・・・ )
( 覚醒に時間がかかったけれど、すぐに慣れるわ・・全部思い出した? )
( うん、母さん・・ )
俺の前には、28才で死んだ時のままの若い母、山科栞がいる。
俺には見えるが、他の人には見えない。
( 母さん、俺は宇宙生命体で、山科拓馬のまま超能力が使えるようになるかもしれないんだね?)
( そうよ)
( でも俺は、宇宙生命体というより、人間の山科拓馬という意識が殆どなんだ。前世が、βと呼ばれた宇宙生命体夫婦の息子だったんだなと云うだけの感覚なんだ・・・ )
( 実は、私もそう・・宇宙生命体の記憶はあるけれど、山科栞の意識の方がずっと強いの・・同一というのは前世を忘れて、生まれ変わるようなものだからね。たまたま私たちは前世を思い出し、能力も使えるようになったということかしらね・・・ )
( 母さんが、覚醒してくれたお陰で、俺もあの子も助かったんだね。ありがとう、母さん・・俺は、二度も母さんに助けられたんだね)
母さんは、今回の事故でも、俺と龍馬君を守ってくれた。
母さんによると、龍馬君は、俺に庇 われて無傷で済んだことにしても良いが、俺は怪我をしないと不自然だった。
それで、重要な器官は守り、全身骨折にしたそうだが、それも1ヶ月ぐらいで完治するように操作したそうだ。
さらに、病院に搬入されてからは、危篤状態という演出まで付け加えたという訳だ。
( いいのよ。それより、能力が使えることは、決して他人に気付かれないように気をつけてね)
( ああ、気を付けるよ)
それから、俺たちは、亡くなった父さんの話や、子どもの頃のことなどを思念で夜通し語り合った。
宇宙生命体夫婦βの息子は、拓馬と同一していた。
拓馬として、生まれ変わっていたのだ。
同一した宇宙生命体は、覚醒しない。
しかし、母親( 山科栞 )として生まれ変わっていた宇宙生命体夫婦αの娘が、23年前の交通事故(10話)で覚醒し、拓馬を助けた。
さらに、子どもを助けようとして、トラックに撥ねられた拓馬を再び助けた。(4話)
二度も事故に遭い、二度とも拓馬の中に入った宇宙生命体の母親に助けられたことが契機になったのか、拓馬も覚醒することになる。
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意識が戻った日の夜、弥太郎氏の家族が、どうしても付き添うと言うのを、俺一人で大丈夫だからと、何とか説得して帰ってもらった。
誰にも見えないのだが、寝ている俺の体と一部重なるように、俺はベッドに座っていた。
まるで、幽体離脱だ。
( どう、気分は? )
( 変な感じだよ・・・ )
( 覚醒に時間がかかったけれど、すぐに慣れるわ・・全部思い出した? )
( うん、母さん・・ )
俺の前には、28才で死んだ時のままの若い母、山科栞がいる。
俺には見えるが、他の人には見えない。
( 母さん、俺は宇宙生命体で、山科拓馬のまま超能力が使えるようになるかもしれないんだね?)
( そうよ)
( でも俺は、宇宙生命体というより、人間の山科拓馬という意識が殆どなんだ。前世が、βと呼ばれた宇宙生命体夫婦の息子だったんだなと云うだけの感覚なんだ・・・ )
( 実は、私もそう・・宇宙生命体の記憶はあるけれど、山科栞の意識の方がずっと強いの・・同一というのは前世を忘れて、生まれ変わるようなものだからね。たまたま私たちは前世を思い出し、能力も使えるようになったということかしらね・・・ )
( 母さんが、覚醒してくれたお陰で、俺もあの子も助かったんだね。ありがとう、母さん・・俺は、二度も母さんに助けられたんだね)
母さんは、今回の事故でも、俺と龍馬君を守ってくれた。
母さんによると、龍馬君は、俺に
それで、重要な器官は守り、全身骨折にしたそうだが、それも1ヶ月ぐらいで完治するように操作したそうだ。
さらに、病院に搬入されてからは、危篤状態という演出まで付け加えたという訳だ。
( いいのよ。それより、能力が使えることは、決して他人に気付かれないように気をつけてね)
( ああ、気を付けるよ)
それから、俺たちは、亡くなった父さんの話や、子どもの頃のことなどを思念で夜通し語り合った。