第45話 竹田製薬工業の再生~新しい出発
文字数 1,386文字
竹田製薬工業の清算が終わった。
竹田智之は、新生薬品の親会社である五菱商事を訪れていた。
智之は、一連の責任を取って引退するつもりであった。
社内が敵味方に分かれて戦い、多くの人間とその家族の運命に大きな影響を与えた。
破滅した人間も多い。
全ての責任は、社長である自分にある。
引退は、智之に取って確定事項であった。
五菱商事の社長室には、社長の山崎弥一郎と副社長の荘田平吾、さらに驚いたことに山崎弥太郎が待っていた。
智之
「ご無沙汰しております。今日は、弥一郎社長に清算終了のご報告のうえ、五菱重工にもご挨拶にお伺いするつもりでした」
弥太郎
「いえ、一度に済ました方が早いですからね。長い間本当にお疲れさまでした。見事に清算を終えられましたね。おめでとうございます」
「「おめでとうございます」」
智之
「ありがとうございます。皆さんのお陰です。これで心置きなく若い人たちに道を譲れます」
弥太郎
「いえ、竹田社長、あなたの本当の出番は、これからですよ」
弥一郎
「そうです。父も私も当然のこと、五菱グループ全体の総意です」
智之
「いえ、社長として相応 しくなかったからこそ、今回のような騒動を招いてしまったのです。この責任は私が負うべきです」
弥太郎
「いえ、あなたが社長として相応しいからこそ、大勢の人が長い間あなたを支え、会社の立て直しに奔走したのではありませんか」
「失礼します」「失礼します」「失礼します」「失礼します」
智之の娘婿の森山と近藤、高田裕次と里帆の四人が入室して来た。
智之 「君たちは?!・・・」
弥太郎
「私が呼んだのです。部屋の外にも、もっといますよ」
弥太郎は、智之が来社することを聞いた時、智之の申し出を予想して、智之の娘婿の森山と近藤たちにも来社するよう連絡したのだ。
近藤は、高田裕次と里帆に伝えたが、それを聞いた他の社員たちも、居ても立ってもいられず同行したのだった。
森山
「お義父さん、今の私では新会社の経営は出来ません。このままでは、会社の発展は望めません。お願いします。どうぞ、会社に戻ってください」
新生薬品の社長は、五菱商事副社長の荘田が兼任していたが、実際の経営は、森山が社長代行として当たっていたのだ。
近藤
「社長、一緒に戦った者は皆、社長を中心とした昔の竹田製薬工業を取り戻すために戦ったのです。志半 ばで倒れた同志も多くいます。
社長は、彼らの努力と犠牲を無にするつもりですか。世の中の人々の役に立つ薬を一緒に作りましょう」
高田
「社長、私たちは皆、近藤統括と同じ気持ちです。どうぞ、会社に戻ってください」
里帆 「社長、お願いします」
智之 「君たち・・・」
弥太郎
「竹田社長、もう一度、私を信じてくれませんか。新生薬品、いや新生竹田製薬工業にあなたは必要なのです」
智之 「山崎社長・・・」
森山ら四人が退室し、改めて弥太郎たちと智之の会談という名の説得が行われた。
1時間後、竹田智之の社長再就任が決まった。
数日後、親会社である五菱商事と新生薬品は連名で、新生薬品の社名を竹田製薬工業に変更することを発表した。
さらに、新生竹田製薬工業の初代社長には、竹田智之氏が就任することが併せて発表された。
これは、10年前、竹田製薬工業再生の新プロジェクトが発足した時からの既定の計画通りであった。
竹田智之は、新生薬品の親会社である五菱商事を訪れていた。
智之は、一連の責任を取って引退するつもりであった。
社内が敵味方に分かれて戦い、多くの人間とその家族の運命に大きな影響を与えた。
破滅した人間も多い。
全ての責任は、社長である自分にある。
引退は、智之に取って確定事項であった。
五菱商事の社長室には、社長の山崎弥一郎と副社長の荘田平吾、さらに驚いたことに山崎弥太郎が待っていた。
智之
「ご無沙汰しております。今日は、弥一郎社長に清算終了のご報告のうえ、五菱重工にもご挨拶にお伺いするつもりでした」
弥太郎
「いえ、一度に済ました方が早いですからね。長い間本当にお疲れさまでした。見事に清算を終えられましたね。おめでとうございます」
「「おめでとうございます」」
智之
「ありがとうございます。皆さんのお陰です。これで心置きなく若い人たちに道を譲れます」
弥太郎
「いえ、竹田社長、あなたの本当の出番は、これからですよ」
弥一郎
「そうです。父も私も当然のこと、五菱グループ全体の総意です」
智之
「いえ、社長として
弥太郎
「いえ、あなたが社長として相応しいからこそ、大勢の人が長い間あなたを支え、会社の立て直しに奔走したのではありませんか」
「失礼します」「失礼します」「失礼します」「失礼します」
智之の娘婿の森山と近藤、高田裕次と里帆の四人が入室して来た。
智之 「君たちは?!・・・」
弥太郎
「私が呼んだのです。部屋の外にも、もっといますよ」
弥太郎は、智之が来社することを聞いた時、智之の申し出を予想して、智之の娘婿の森山と近藤たちにも来社するよう連絡したのだ。
近藤は、高田裕次と里帆に伝えたが、それを聞いた他の社員たちも、居ても立ってもいられず同行したのだった。
森山
「お義父さん、今の私では新会社の経営は出来ません。このままでは、会社の発展は望めません。お願いします。どうぞ、会社に戻ってください」
新生薬品の社長は、五菱商事副社長の荘田が兼任していたが、実際の経営は、森山が社長代行として当たっていたのだ。
近藤
「社長、一緒に戦った者は皆、社長を中心とした昔の竹田製薬工業を取り戻すために戦ったのです。志
社長は、彼らの努力と犠牲を無にするつもりですか。世の中の人々の役に立つ薬を一緒に作りましょう」
高田
「社長、私たちは皆、近藤統括と同じ気持ちです。どうぞ、会社に戻ってください」
里帆 「社長、お願いします」
智之 「君たち・・・」
弥太郎
「竹田社長、もう一度、私を信じてくれませんか。新生薬品、いや新生竹田製薬工業にあなたは必要なのです」
智之 「山崎社長・・・」
森山ら四人が退室し、改めて弥太郎たちと智之の会談という名の説得が行われた。
1時間後、竹田智之の社長再就任が決まった。
数日後、親会社である五菱商事と新生薬品は連名で、新生薬品の社名を竹田製薬工業に変更することを発表した。
さらに、新生竹田製薬工業の初代社長には、竹田智之氏が就任することが併せて発表された。
これは、10年前、竹田製薬工業再生の新プロジェクトが発足した時からの既定の計画通りであった。