第73話 東京メディシンの新しい出発~一新
文字数 1,351文字
臨時取締役会において、社長に就任した日、拓馬は、終業の一時間前に中島新常務と共に東京メディシンに帰社した。
会社の入り口には警備会社の人達がすでに待機していて、きびきびと動く警備員に囲まれて社長室に入ると、営業部長、総務部長、人事部長の三人を呼んだ。
三人からの祝辞を受けた後、拓馬が臨時取締役会の経緯を話した。
また、新規事業やそれに伴う人の配置や新規採用などの計画を概略説明し、これについては、課長以下についても各部で周知してほしいと指示を出した。
具体的な人事発令については、新社長である拓馬が明日直接行うことを伝えた。
泥沼コンビのときと違い人事権は、全て代表取締役が持つことになったからだ。
次いで、会議室に来れる人だけで良いからと社員の招集をかけたところ、外廻りで出席できなかった者以外全員が集まった。
机椅子を全て隣室に運び出し、積み上げたが、会議室は満員であった。
そこで、総務部長が司会を務め、再度、臨時取締役会で拓馬が代表取締役に中島洋介が常務取締役に就任したことを皆に告げると、会場は割れんばかりの拍手が起こった。
拓馬と中島は、型通りの挨拶をし、そのあと拓馬が明日、人事異動の発令を拓馬自ら直接行うこと、その後、時間をかけて一人一人と面接をすることも告げた。
最後に拓馬は、会社を必ず発展させること、皆の給与や福利厚生を含めた待遇改善を必ず行うこと、馘 にするような人間は、一人もいないことを宣言し、安心してこれまでと同じように勤務してほしいと挨拶を締めくくった。
会場は、また大きな拍手に包まれたのだった。
翌日、拓馬は辞令書を家から例の軽自動車に乗せて持ってきた。
社用車は、社長就任の日に廃止して、運転手には別の仕事を割り振ることにした。
辞令当日、社内はある意味騒然としていた。
過去に辞めたはずの同僚が大勢会社に出て来たからだ。
皆、懐かしい知人にまた出会えた嬉しさで涙を流しながら喜び合う姿がそこかしこで見られた。
また、知らない人も少なからずいたのだが、その人たちはこれからの新規事業に欠かせない人ばかりであった。
その中には、米沢出身の帯刀浩という青年もいた。
彼は、福祉事業に熱意を持ち、知識や経験もさることながら、誠実な人柄に拓馬のみならず、栞も絶対欲しい人材としてリストアップしたものだった。
彼には、これから立ち上げるプロジェクトのうちのひとつのメンバーになってもらい、施設が完成次第、その責任者に就任してもらう予定だ。
さらに、帯刀青年は、あの投資に並外れた能力を持つ野々村証券の沢口礼子の彼氏である。
遠距離恋愛中だ。
彼女は、いずれ野々村証券を辞めたくなる事態になり、帯刀青年がいる米沢に帰ってしまうはずだったが、拓馬が彼を東京メディシンに呼び寄せたことで、沢口礼子も故郷に帰ることなく、拓馬の片腕として働くことになり、拓馬としては一石二鳥となるのであった。
拓馬は、その日、140名に辞令書を交付した。
現在の社員70名全員とOB、OG、それに帯刀青年のような全くの新規採用を含めた70名、計140名にのぼる東京メディシンの新しい出発であった。
だが、全員の面接には三日を要した。
拓馬は、先ず、降格の辞令が交付された社員から面接をしたのだった。
会社の入り口には警備会社の人達がすでに待機していて、きびきびと動く警備員に囲まれて社長室に入ると、営業部長、総務部長、人事部長の三人を呼んだ。
三人からの祝辞を受けた後、拓馬が臨時取締役会の経緯を話した。
また、新規事業やそれに伴う人の配置や新規採用などの計画を概略説明し、これについては、課長以下についても各部で周知してほしいと指示を出した。
具体的な人事発令については、新社長である拓馬が明日直接行うことを伝えた。
泥沼コンビのときと違い人事権は、全て代表取締役が持つことになったからだ。
次いで、会議室に来れる人だけで良いからと社員の招集をかけたところ、外廻りで出席できなかった者以外全員が集まった。
机椅子を全て隣室に運び出し、積み上げたが、会議室は満員であった。
そこで、総務部長が司会を務め、再度、臨時取締役会で拓馬が代表取締役に中島洋介が常務取締役に就任したことを皆に告げると、会場は割れんばかりの拍手が起こった。
拓馬と中島は、型通りの挨拶をし、そのあと拓馬が明日、人事異動の発令を拓馬自ら直接行うこと、その後、時間をかけて一人一人と面接をすることも告げた。
最後に拓馬は、会社を必ず発展させること、皆の給与や福利厚生を含めた待遇改善を必ず行うこと、
会場は、また大きな拍手に包まれたのだった。
翌日、拓馬は辞令書を家から例の軽自動車に乗せて持ってきた。
社用車は、社長就任の日に廃止して、運転手には別の仕事を割り振ることにした。
辞令当日、社内はある意味騒然としていた。
過去に辞めたはずの同僚が大勢会社に出て来たからだ。
皆、懐かしい知人にまた出会えた嬉しさで涙を流しながら喜び合う姿がそこかしこで見られた。
また、知らない人も少なからずいたのだが、その人たちはこれからの新規事業に欠かせない人ばかりであった。
その中には、米沢出身の帯刀浩という青年もいた。
彼は、福祉事業に熱意を持ち、知識や経験もさることながら、誠実な人柄に拓馬のみならず、栞も絶対欲しい人材としてリストアップしたものだった。
彼には、これから立ち上げるプロジェクトのうちのひとつのメンバーになってもらい、施設が完成次第、その責任者に就任してもらう予定だ。
さらに、帯刀青年は、あの投資に並外れた能力を持つ野々村証券の沢口礼子の彼氏である。
遠距離恋愛中だ。
彼女は、いずれ野々村証券を辞めたくなる事態になり、帯刀青年がいる米沢に帰ってしまうはずだったが、拓馬が彼を東京メディシンに呼び寄せたことで、沢口礼子も故郷に帰ることなく、拓馬の片腕として働くことになり、拓馬としては一石二鳥となるのであった。
拓馬は、その日、140名に辞令書を交付した。
現在の社員70名全員とOB、OG、それに帯刀青年のような全くの新規採用を含めた70名、計140名にのぼる東京メディシンの新しい出発であった。
だが、全員の面接には三日を要した。
拓馬は、先ず、降格の辞令が交付された社員から面接をしたのだった。