第九十九段 続・マンモグラフィー
文字数 809文字
正確には、私の友だちの友だちの話。
わが友甲子ちゃん(仮名)はたいそうりっぱなお胸の持ち主だ。
甲子ちゃん(仮名)自身は
「重くて肩がこる」
といつもこぼしているのだが、ぜいたくな話。
その友だちの乙子ちゃん(仮名)がいつも「うらやましいうらやましい」と言うんだそう。
「私なんかね」と乙子ちゃん(仮名)。
「こないだマンモ受けに行ったら」マンモグラフィーの省略だ。
「さんざんいろいろはさまれて、はさめなくて。
とうとうお医者さんに言われたよ?
『うん、ふつうのレントゲンにしましょうか』」
ひどい! ひどい!
と甲子ちゃんと私、電話で笑い泣きしたのだった。
「だったら初めからふつうのレントゲンにしてよ」乙子ちゃんはぶうたれたそうだ。「痛い思いしたあげくにその通告ってなくない?」
ほんとだよ。そのお医者め! チンモグラフィーの刑に処す!
という話を業平くんにしたら、感慨深そうに聞いていた。
そして言う。
「初めからそう言われるのもきつくない?」
あ。
たしかに!
また業平くん劇場が始まった。こないだの歯医者さんの再現ドラマだ(第六十六段)。
「どっちがいい? 先生が来て、ちらっと見た瞬間」
あごをしゃくって、
「『ああ、ふつうのレントゲンにしましょう』」
がーん。
「それとも」芥川龍之介ふうに眉をひそめて、
「『ああ、これは……』」しばし絶句して、
「『ふつうのレントゲンしか……ないですね……』」
最悪!!!!!
「やっぱりマンモグラフィーじゃないほうがいいね」私が笑いやむのを待って業平くんが言う。「女の人に対していろいろ無神経な気がする」
うん。
婦人科ってね。ただでさえ、行くのつらい気もちがするのです。
痛くもはずかしくもない機械、誰か早く発明してくれないかなー。
(付け足し)
マンモ話二つで、基経さまと良房さまをぎゅーっとはさみましたが、ほんっとうーに他意はありません。ええ。