第七十四段 風邪? ※ひさびさにちょいエロ
文字数 562文字
「寒い」と言う。
そんなに?
風邪?
三日ぶりに会えたのに。
あまり食欲もない。
なんとか暖めてあげたいと思って、「お風呂入る?」と訊いたら、「入る」と言う。
大丈夫だろうか、お風呂入って。
「井筒もいっしょに入る」と言う。
文法的には平叙文すなわち、広辞苑によると
「物事に主観をまじえず、ありのままに述べる文」
であるが、内容的には命令形である。
で、先に湯船に入っていてもらって、そのあいだに私は髪を洗ってしまおうと思うのに、入らない。
「井筒を洗ってあげる」と言う。
文法的には平叙文だが、じっさいには断固たる意志の表明である。
「冷えるからお湯に入って」と言っても聞かない。
「やめてやめて、手冷たい!」と言っても聞かない。
ぜんぜん洗ってない。
もんでるだけ。
湯冷めするって心配してるのに、そのまま、
(中略)
それからベッドへ運ばれて、
(中略)
終わった後、顔を見て、あきれた。
つやっつやしてる。
「てきめんだね!」本人が驚いている。「風邪じゃなかった」
うん、あたしもばかだった。今回が初めてじゃない。同じこと何度もやられてる。
「七十二時間も童貞だったからね!
凍えちゃったの」
だったら「したい」って言えばいいじゃない。何をもじもじしてたのか。ほんっとわかんない。
心配して損した。