第九十八段 続・他意
文字数 422文字
(業平くんは鷹狩りの係だからその関係じゃないかな、)
飾りがなんにもないとさびしいからって、造花の梅の枝を付けて業平くんが贈った歌。
わが頼む君がためにと折る花は
時しもわかぬものにぞありける
いつもお世話になっているかたのために折る花ですから、
こうして季節を問わず、一年中咲いているのです。
なにその可愛い歌! 乙女?!
太政大臣てあなた、良房さまご本人でしょう。
ラスボスの!!
あっいまのなし(
「だって本当にお世話になってる」
業平くん、きょとんとしている。
こういうところ、かえって誤解されると思う。多くの人にはきっとわからない。
他意のない人間がこの世に存在する、ということ。
でも業平くんは、歌を詠むじゃまさえされなければ、他のことはほぼほぼどうでもいいらしい。
良房さまは「うまい!」とおっしゃって大喜びで、お使いの人にごほうびを下さったそうだ。
さすが、大物の気風がある。