第八十五段 雪の日ふたたび
文字数 319文字
惟喬さまが出家なさっても、なかよしの人たちはみんなお年賀のあいさつに行く。
ほんと、いいね!
自分も出家した人、してない人、たくさん集まって、お正月だからと特別にお酒まで出たそうだ。
ええっと。それは「いいね!」じゃなくて、「いいの?」かもしれない……?
親王さまー。
雪が降りしきって止まない。
どんどん降るからどんどん飲んで、みんな酔っぴー(酔っぱらい)。
「雪で帰れないんだからいいんだもん」
という歌を業平くんが作って、そうだそうだとみんな言って盛りあがったそうだ。
ほんとに可愛い人たちだなー。
誰にも、ひとりも、嘘がないから、雪に降りこめられて酔っぴーなだけでこんなに愉しいのだ。
奇跡かもしれない。