第八十段 泡立ち
文字数 368文字
業平くんと有常くんの都合があわなくて、お流れになってしまった。
そのとき飲むのを楽しみに買ってあったお酒を、今日、業平くんが、有常くんに宅急便で送った。
スパークリングの日本酒。
フルーティでアルコール度数が低め。二人の好みより、お酒に弱い私に合わせてくれたチョイスだった。
泡立ちが美しい。
「新年会して、そのときに開けたら」と私が言うのに、
「今年のうちにあいつに飲ませたい」と言う。
「どうして?」
「なんとなく」
「今年ももう、終わりだからな」
何を言ってるのかわからないけれど、
わかる気もする。
「でも新年会しようね」と言うと「そうだな」と言う。
「至くんも呼んであげたら?」と言うと、鼻にしわをよせて考えこんでいる。
だから。
呼んであげなよー。