参考文献その他 (special thanks to...) 

文字数 955文字

【参考文献】

◆原典(注釈付)
石田穣二 校注『新版 伊勢物語 付現代語訳』(角川書店(角川文庫)、1979年)
大津有一 校注『伊勢物語』(岩波書店(岩波文庫)、1964年)
渡辺実 校注『伊勢物語』(新潮社(新潮日本古典集成)、2017年6月)
伊藤正義 校注『謡曲集 上』『謡曲集 下』(新潮社(新潮日本古典集成)、2015年10月)(上巻に「井筒」、下巻に「松風」所収。全体は上中下の全三巻です。)

『伊勢物語』の原文は、おもに角川版に拠りました。注釈・現代語訳ともに頼りになりました。
本当なら出版年の新しいものを参照するべきで、だから新潮社版を頼りたかったのですが、
私はまったくの素人なのでこれはただの直感ですが、どうも解釈がうがち過ぎる(深読みし過ぎる)気がするのです……。
岩波文庫はほぼ本文のみの薄いもので、じつは私、少なくとも3冊持っています。十代のときから何度も買って読んでは置き忘れ、また買ってしまって。笑

◆小説と解説書
高樹のぶ子『業平 小説伊勢物語』(日経BP、2020年5月)(小説)
 〃 『伊勢物語在原業平 恋と誠』(日経BP、2020年10月)(解説書)
服部真澄『令和版 全訳小説伊勢物語』(講談社、2020年4月) (小説)
 〃 『千年の眠りを醒ます「伊勢物語」』(講談社、2020年4月)(解説書)
三田誠広『なりひらの恋 在原業平ものがたり』(PHP研究所、2010年)(小説)
他にもいろいろありますが、省きます。

上に挙げた5冊のうち、『なりひらの恋』以外は全編を書き終えてから読みました。
どなたも「マドンナ」が藤原高子と恬子内親王の二人という点では解釈が同じです。
どなたも伊勢物語に書かれたエピソードを実話として扱っておられる点も同じです。

◆映像資料 ※生の舞台の観劇体験はのぞきます。
DVD『能「井筒」』観世流(1977年) シテ:観世寿夫 ワキ:宝生閑
(NHKエンタープライズ、2006年)
昭和の能楽界をリードし、その早すぎる死が惜しまれた名人観世寿夫と、のちに人間国宝となる宝生閑の舞台の貴重な映像です。

◆special thanks to...
【お能のことをいろいろ教わりました。】
川口晃平師(観世流梅若会)
【モデルになってくれてありがとう!】
槙子ちゃん(仮名)
大谷くん(仮名)

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登場人物紹介

井筒(いづつ)

この物語の語り手。恋人の業平くんと熱愛中だという以外は詳細不明。とある事情で彼との関係は公表できないらしい。その秘密がしだいに明らかに!(大した秘密ではない)

業平くん(なりひらくん)

フルネーム:在原業平(ありわらのなりひら)。この物語の主人公。井筒の恋人。

超ベストセラー小説『源氏物語』の主人公、光源氏のモデルとされるイケメンで、名だたる美女たちとのうわさが絶えないが、素顔は天然で井筒ひとすじ。

まったく出世・昇進できなくても気にしないマイペース男。和歌の天才。

有常くん(ありつねくん)

フルネーム:紀有常(きのありつね)。業平くんの親友。業平くんを介して井筒とも友だち。
業平くんと同じかそれ以上にマイペースでぶれない男。
史実および『伊勢物語』の世界観においては「井筒」にあたる女性の父親で、業平より十歳年上なのだが、この『今日カレ』の中では同い年に設定されている。むろん井筒のパパではない。

至くん(いたるくん)

フルネーム:源至(みなもとのいたる)。業平くんの悪友で彼以上の、というか無類の女好き。

史実および『伊勢物語』の世界観においては業平より十歳年上なのだが、この『今日カレ』の中では同い年に設定されている。
第三十九段限定のスペシャルゲストだったはずなのに、みょうにキャラが立ってしまったため、その後もときどき登場している。

高子さま(たかいこさま)

女御。帝の寵姫。絶世の美女で「二条の后(きさき)」と呼ばれる。過去に業平くんとの熱愛を報道され一大スキャンダルとなった。その真相が本文中で明らかにされる。
性格は凛として知的。藤原家の期待を一身に背負って立つ。

恬子さま(やすらけいこさま)

内親王(皇女)。伊勢神宮の斎宮(巫女)。過去に業平くんとの熱愛を報道され高子さまに次ぐ大スキャンダルとなった。その真相が本文中で明らかにされる。
性格は純真可憐。兄君の惟喬さまと同じくおっとりはんなりしている。

惟喬さま(これたかさま)

親王(皇子)。恬子さまの兄宮。業平くん有常くんとは和歌友だちで大の仲良し。
第一皇子で、本来なら次の帝の第一候補のはずだったのに、陰謀によって帝位から遠ざけられた悲運の人。でもおっとりはんなりした性格のおかげで、出家後も皆の人気者。お酒は好きだが、わりと弱い。

融さま(とおるさま)

フルネーム:源融(みなもとのとおる)。富豪でセレブで風流人。光源氏の本命モデル。
凝った庭園のある大豪邸に住んでおり、人を集めては詩歌管弦の遊びをして楽しんでいる。
業平くんとは和歌友だちで大の仲良し。
第八十一段限定のスペシャルゲスト。

行平さん(ゆきひらさん)

フルネーム:在原行平(ありわらのゆきひら)。業平くんのお兄さん。在原家の実質上の大黒柱。
才能ある歌人でイケメンなのに、いつもやんちゃな弟にぜんぶ持っていかれ、それでも気にしない器の大きい人。
光源氏の部分モデルといううわさも。百十九段にその話が出てくる。

家持さん(やかもちさん)

フルネーム:大伴家持(おおとものやかもち)。「いえもち」ではないので要注意。

和歌界のビッグ・ダディ。『万葉集』全二十巻を編纂した大物で、業平くんと違って漢字も得意(万葉集はすべて漢字で書かれています)。愛妻家でありながら、何人もの女性との恋歌の贈答で知られる恋愛の達人。

史実では業平よりまるっと1世紀前の人。第百五段限定のスペシャルゲスト。

敏行くん(としゆきくん)

フルネーム:藤原敏行(ふじわらのとしゆき)。業平くん有常くんの高校時代のクラスメート。成績優秀で性格もいい素敵男子。
業平くんとは三十六歌仙友だちでもあり、百人一首にもなかよくいっしょに入っている。
史実および『伊勢物語』の世界観においては紀有常の娘、つまり「井筒」にあたる女性の姉妹を妻にしている。
第百七段限定のスペシャルゲストだが、素敵なのでまた出てくるかもしれない。

世阿弥さん(ぜあみさん)

世阿弥は芸名。本名:観世三郎元清(かんぜさぶろうもときよ)。
能楽を大成した天才で、自身も役者。その美貌と名演で一世を風靡。この世に心を残した美しい亡霊が出てくる「複式夢幻能」というスタイルを確立した。
ついでだけど「序破急」という作劇法を考えたのも彼。これは本来ダンスのテンポ感を表したものなので、小説を書くときなんかにむやみに応用しないほうがいい(本人談)。
業平くんの大ファン。
史実では業平よりまるっと五世紀半後の人。

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