第六十八段 血液型
文字数 678文字
「小学校のときB型だって言われたのに」と言う。「バイクで事故ったとき調べ直されたら、AB型だった」
「何それ」思わず叫んでしまった。「危なっ!」
本気で血の気が引いた。うっかり違う型を輸血してたら死んでたよ?!
本人が意識を失っていて、「B型です」なんて言わなかったのが幸いしたのだ……
んん、ちょっと待って。そうか。
AB型は何型を輸血されても大丈夫なんだ。ああよかった。
としたら……
ノープロブレムだよね?
何か問題が?
「信じてたのに」と言う。不満げだ。「それまでずーっと、自分はB型だと思ってたのに。
血液型占いだってB型のとこを見て、
『当たってる当たってる』
って思ってたのに」
実家のご両親を問いつめたら、
「そう言えば、AB型と言われた気もするな」
「そうでしたっけ?」
と、らちがあかなかったそうだ。
ご両親さまー!
「B型だったボクを返してほしかった」
返してもらってどうするのよ。
「AB型だと思うよ?」と私。「血液型占い、当たってる」何せ天下のマイペース男だ。
「うん、じつはおれもそう思う」
「なあんだ」
「そうじゃなくて、あのとき、B型だったボクとお別れしたって話なの」
ああ、なるほどね。今回の「さらば親知らず」と同じなのね。
ちなみにお父さまはB型で、お母さまがAB型だそう。ということは、業平くんB型もAB型もあり得る。
よその子じゃなくてよかったね、業平くん。
もっとも、業平くん顔がお母さまそっくりで性格はお父さまそっくりだから、どこからどう見ても親子でしかない。
占いより確実だ。