この美術館の可視/不可視のフレームはなにか、について(上)

文字数 2,485文字

徳間書店から出ている『ロビンソンの家』という小説の主人公のモデルは僕である。著者が言ってたんだからそうなのである。

僕は呼ばれてないから行かない(呼ばれても金がないから行けない)けど、その著者の関係の会合(ほかの出版社の、だが)があるみたいなのだが、昨日聞いたら胃が痛くなるような話だったので、今更いろいろ動きがあるのを知り、「著者が生きてる間にやればよかったのでは」と皮肉も言いたくなるが、冷静に考えてみると小説の主人公のモデルだってのが忘却されるのは悔しいというのはありつつ、「じゃあ、関連書籍があるとしてそこにおまえなにか書けよ」と言われて書いたら、今のところ僕はデビューしているわけではないという理由もあり、一生、自分じゃなくてその作家のことを聞かれる生き証人みたいなポジションになりそうで、どちらにしろおなかがいたい。ぽんぽんペインである。

フランツ・カフカにおけるマックス・ブロートにされるんじゃないか、くらいの勢いである(ブロートは人気作家だったわけでだいぶ僕とは違うが、気分的には、である)。

どういう会話するのかはわからないが、関係者がこれを読んでいなければいいな、と思うばかりだ。

2024/03/31 03:09

みんな〜、久しぶりだね〜!!

『死神はいつも嘘を吐く』、はっじまっるよー!!

なんともな始まり方ですね……。
上記は『珈琲フロート・ダークリー』から抜粋よ。そして今日はるるせ、こんなツイートをしていたわね。

成瀬川るるせ【小説アカウント】

@rulerse

高校生の頃、奥田民生さんがMaybe Blueを嫌って基本的には歌わないことになったのがわかんなかったけど、僕だって雑誌文藝に当時の名前が載った作品は絶対にウェブにアップしないし名前載った雑誌は手元に残してないし、読みたいってよく言われるけど嫌だよ。やっと民生さんの気持ちわかった気がする。

午前2:19 · 2024年3月31日

はは〜ん? 逆説的に言ってるるせの場合は、〈自慢〉ですね。控えめに考えてもこれは、悩む自分に酔ってるのです。一緒にしてはならないのです。
まあ、そうなのでしょうけど、そうは言ってもそれで済ますと今回はこれで終了してしまうので、もうちょっと話を続けましょうか。

成瀬川るるせ【小説アカウント】

@rulerse

茨城県民なので天狗党の乱の顛末、どっち陣営もみなごろしになって有能な人材がいなくなった(だから明治期とか茨城県から傑出したひと歴史の教科書にいないでしょ)、この話だけをしたい。左右とかその前に誰もいなくなった、はとてもつらい。

午後6:14 · 2024年3月29日

なんですか、ツイートの抜粋ばかりで、これじゃ『早退届』と作品として区別がつかないのです。
まあまあ、なんで左右の話をるるせがしていたかというと、以下のツイートからの流れなのよね。

成瀬川るるせ【小説アカウント】

@rulerse

昨日、友達と話をして、無意識下でしてしまう、自分の中の不可視の包摂と排除の話をした。文脈としては国立西洋美術館で今やってる展覧会の、田中功起さんの作品の意図した問題提起だ。ちょうどよく東京新聞でのこの話があるのは関係あるのかもしれないなぁ。

午後5:11 · 2024年3月29日

包摂と排除、かなりベタな話ですね。幼稚園生でもわかる話題なのです。
そうなの? お姉ちゃん、みっしーはそう言うけど、そんなにベタな話なのかな。
この、記事の切り取った部分だけを考えると、そりゃベタな話ではある。けど、そうじゃなくて、るるせの上記ツイートでは〈国立西洋美術館で今やってる展覧会の、田中功起さんの作品の意図した問題提起だ〉と言ってるわね。そこがポイント。
これはもちろん国立西洋美術館、『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?』展のことを指しているのですね?
そうよ。みっしーはどう思うかしら、これについて。
『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?』展の、第3章「この美術館の可視/不可視のフレームはなにか?」における、特に田中功起が提示した問題ですね。
ていうかるるせって田中功起さんが水戸芸術館で展覧会開いたときに観に行けなかったくせに語るってのはどうかとわたしは思うけどな。
いや、むしろ今ちづちづが言ったことも重要よ。この問題提起とつながるわ。
え? どういうこと?
話を戻すと「この美術館の可視/不可視のフレームはなにか?」は、単純な話だと国立西洋美術館なのだから「西洋美術」という「フレーム」があって、そのなかでの展示、というのが国立西洋美術館が名前の通り国立西洋美術館である由縁なのです。それはアイデンティティと近い。でも、成立の経緯はもちろん複雑で、国立西洋美術館は「松方コレクション」の保存・公開を目的として1959年に設立されたという経緯があるのです。そうすると、可視のフレームとしては西洋美術、不可視のフレームとして設立の経緯が考えられますね。
西洋美術を国が集めたのではなく、この美術館の美術品はもとは松方個人が集めたコレクションだったからこそ、初日の前日の抗議パフォーマンスが成り立つ。この松方コレクションを築いた松方幸次郎は、川崎重工の前身である川崎造船所の初代社長を務めた人物で、だから抗議は、具体的には国立西洋美術館のオフィシャルパートナーである川崎重工業株式会社に対し、イスラエルの武器の輸入の取りやめを要求して、国立西洋美術館に対しては、川崎重工に対しイスラエルの武器の輸入・販売の取りやめを早急に働きかけるよう訴えた、というのが経緯として成り立つのよね。
話が逸れましたね。戻すのです。
田中功起が提示した問題、についてだったわね。
あー、このお話長くなっちゃったし、いったんここで区切ろうよ!!
では、次回を待つのです。
次はすぐに更新するからね。よろしく。
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登場人物紹介

【田山理科】

 主人公にして家主。妹のちづちづと知らない町に引っ越し、二人で暮らしを始めたが、ちづちづがどこからか拾ってきた少女・みっしーも同居することに。趣味は絵を描くこと。ペインティングナイフを武器にする。

【みっしー】

 死神少女。十王庁からやってきた。土地勘がないため力尽きそうなところをちづちづに拾われて、そのまま居候することに。大鎌(ハネムーン・スライサー)を武器に、縁切りを司る仕事をしていた死神である。

【ちづちづ】

 理科の妹。背が低く、小学生と間違われるが、中学生である。お姉ちゃん大好きっ娘。いつもおどおどしているが、気の強い一面をときたま見せる。みっしーとは友達感覚。

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