変わる意識と走れ、メロンパン(承前)
文字数 1,791文字
ヘンリー・ダーガー(Henry Darger 1892-1973)は、いうまでもなくシカゴの伝説的なアウトサイダー・アーティスト。病院の掃除夫の仕事を続けながら、『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ─アンジェリニアン戦争の嵐の物語』と題する、史上最大級の長大な挿絵入りの物語を制作し続けた。そういう作家よ。
「既存の芸術システムの「外部」=アウトサイドに位置づけられた人々の手からなり、また、そう認識するに足る独創性を持つと判断された作品。1945年、J・デュビュッフェは精神疾患患者など美術の正規教育を受けていない人々が他者を意識せずに創作した芸術をアール・ブリュット(仏)=「直接的・無垢・生硬な芸術」と呼んで高く評価した。アウトサイダー・アートはそれに対応する英米語として、72年、R・カーディナルによりつくられた言葉である。その際、「表現に対する衝動」を持つ制作者が「因習的な美術史の文脈化を拒み、管理されていない方法においてその衝動を具現化」した芸術を示すと整理され、その後の判断基準となった。実際、芸術的な訓練や影響を受ける環境になかった精神疾患(特に統合失調症)患者、知的障害者、交霊体験者、あるいは野宿生活者の作品から独創的なものが発見/再発見され評価されてきた」
ウィキには書かれていないですが、ダーガーの絵を発見したのは、フルクサスのメンバーなのです。なぜか、フルクサスのメンバーが管理人をしている場所に、ダーガーは一人で住んで、仕事のないときはずっと創作をしていたのですよ。
そうなのです。くどいようですが、ヘンリー・ダーガーは女性の裸を見たことがなかった、というのが一般的な通説なのですよ。そのため、斎藤環はダーガーの物語に出てくる〈ヴィヴィアン・ガールズ〉という少女キャラクターたちを『ファリック・ガール』と呼ぶのです。
ダーガーの描く女性は、服を着ているときは可愛い服を着てスカートをはいていて「女性」なのは疑いようがないのですが、裸になっているときは一様に「おちんちんが生えている」のです、女性なのに。例外なく、女性の体におちんちんが生えている。
そこで、「女性の裸を見たことがなかったのではないか? ダーガーは女性と付き合ったこともなければ、そういう遊びを遊んだ記録や目撃さえないし」という話になって、「ダーガーは女性の裸を見たことがないが故に、おちんちんの生えた女性を描く」という伝説が生まれ、それが流布した、とされるのです。
ところが、です。ダーガーの絵が好きなので画集も持ってるし、ダーガーの作品(物語・自伝・絵画)に関しては、ジェシカ・ユー監督の映画『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』のDVDを買って、何回もボクは観たのです。そこで、問題があることに気づかされてしまったのですよ。
ごめん、今回、ちょっと長くなっちゃったので、続きはまた次回にするわ。
おちんちんの謎とはなにか!?
次回へつづく!!