死神は茶化す、報いは受けぬと。

文字数 2,366文字

まいったわ。とても困った。
どーしたの、お姉ちゃん☆
うぅ。前回、鞭でぴしぴし叩いてたのに普通に登場するのね、ちづちづ。
やだなぁ、なにか悪い夢を見ただけじゃないの?
そうなのですよ、理科。ちづちづがボンテージファッションだったのは夢だったのです。今度はビキニアーマーを……ぐはぅ!(ちづちづに殴られる)
社会学の話をしてしまった。これ、たぶん基本的に誤解してるひとが多い。社会学って学問の、前提を。
ほぅ。話してみるのです、理科。
社会学っていう学問は、『現状認識をするためのもの』なのよ。ウィキなどにはごちゃごちゃ書いてあるけど、何度も言うけど、簡単な言葉でいうとね、『現状認識をするためののもの』なのよ?
そのための概念(コンセプト)なのですよね。ふーん。それがなにか?
お便りが届いているよ! ペンネーム:匿名希望さん、より。「社会学が嫌われるのは、理屈なんかなくて、自分はリスクを負わずになにか『お気持ち』を言うだけだからだ」
思い切り誤解されている……。
もしくはその方の人生においてはそうだったのですよ。批判するその人の人生での「できごと」においてはそうだったのでしょう。一方、理科の人生にそういった「できごと」がなかった、ということでは?
いや、それは学問のせいじゃなくて、個別的な問題だと思うの。それと学問がごちゃごちゃになったか、……もしくは反対したい「理由」があるんだと思う。理由があった場合、そのひとの人生をわたしは知らないからなんとも言えない。
それに、知ったとしても、「知る」ことと「理解」することは別物よ。「知る」ことで嫌いさが増すことは往々にしてあるわ。
歩み寄りをしない、って立場のひとも、世の中には多いね。とても多いよ。
話を戻すと。
社会学は理屈がないんじゃなくて、理屈の『前提』を導き出すものよ。
現状を『認識』するだけだもんね。『認識』以上のことをしたら個人的意見になっちゃうね。
まあ、その現状認識した過去の蓄積から『仮定』を類推することや、なにか「気分が晴れる」ものを導き出してなにやら言うでしょうが、それはそれで。例えば、帰納法で、ならば『事象』をいくつもだして『推論』し、そこから『結論』を出すのですが、そこには『存在拘束性』と呼ばれるものが介在するのです。
『存在拘束性』とは、カール・マンハイムによれば、「言葉が言葉を発するひとの社会的位置によって規定されてしまう」ことを言う。
『価値自由』って言ったって、価値からの自由は簡単ではなく、意識的に価値自由の原則に則ったと思ったとしても、存在拘束性の影響を逃れることは容易ではないわ。できない、と言ったほうがいいかしら。問題意識を持った時点で社会的位置が関係しているのだから。さっきのお便りも自分の位置から見てそうだった、ということよね。だから、わたしがここでなにか意見を言う筋合いも、ないのかもしれないわ。
「自分はリスクを負わない」に関してはどうです?
蓄積からの推測で現状認識が「できている」と「思っている」人間は、「それは『そういうものである』」って思っちゃってるんだから、例えば『把握』がズレていても、譲らないと思わよ。そこが難しいところだけど。
あと、この世の中には『グランドセオリー』というのがいくつか存在していて、それを使って世の中の事象をすべて見ようとする考え方があるのですが、それで行かれるとなにも聞こえなくなる可能性も多いですね。あくまでボクの雑感なのですが。
雑感?
雑感……なのです…………。
リスクを負わない風に思えるのは、その話す内容が、その話者にとっては「当然のこと」だという認識だから、ってこともある。話者にとってはそれは『前提』が「そうなっている」から話しているんだから、痛くもかゆくもなく思える。「身を切って話してますよ!」って話者は言うだろうけど。
こうして考えてみると、理屈がないように思えるのは、自らが自らについて、「価値や評価の無強制姿勢によって世の中を見る」=「価値自由」という方法論が難しいと言っちゃってるところから始まっているし、グランドセオリーは全体に対しそれを適用するので「その手の人」ってことになるのでわまりから見るとむしろ「理屈が通じない」風に見えるから、っていうのもあるのかもしれないですよ。
この問題は要するにこういうことです。
どういうこと?
『揺れるおっぱいポスター』というのがあるのです!
揺れるおっぱい?
おっぱい……?
『揺れるおっぱいポスター』を見て「おっぱいマジ揺れた! 興奮した!」と、単純に呟けばいいじゃん!
単純に呟けばいいじゃん……?
スカートの裾の真実を、バカみたいに信じないの!
(ゴホン)それはともかく。「興奮した!」って言えばいいのに、「興奮しただろ?」って言ってしまうことが問題なのです! 言う相手を間違えてしまったのですよ! ぶん殴られるに決まっているのです!
今の一連の流れも間違っているよね!(わたしのひとつ前のセリフも、怒れるよねっ!)
おっぱいは揺れるひともいるのです。揺れるおっぱいに興奮するひともいるのです。興奮するひとは自然と興奮してしまうのは事実なのです。(おっぱい揺れないひと問題はここでは取り扱わないのです)
興奮するなって、それは無理だし、なにも考えるな、って言われても条件反射だし、考えないとした場合も「脳みその中まで統制するのか!」って話です!
え? どういうこと?
おっぱいは揺れるし、興奮するひとがいるのも事実。興奮すると怒る人もいる。付け加えればそれを書くと激怒する層が存在するし、「興奮したよね」って言う相手を間違えると怒られるのです!
でも、『不謹慎だ!』は『意見』なのです! 状況の認識では『ない』のです!
え……?
おっぱい!
おっぱい!
(あ、これ、いろんな意味で炎上する奴だ……)
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登場人物紹介

【田山理科】

 主人公にして家主。妹のちづちづと知らない町に引っ越し、二人で暮らしを始めたが、ちづちづがどこからか拾ってきた少女・みっしーも同居することに。趣味は絵を描くこと。ペインティングナイフを武器にする。

【みっしー】

 死神少女。十王庁からやってきた。土地勘がないため力尽きそうなところをちづちづに拾われて、そのまま居候することに。大鎌(ハネムーン・スライサー)を武器に、縁切りを司る仕事をしていた死神である。

【ちづちづ】

 理科の妹。背が低く、小学生と間違われるが、中学生である。お姉ちゃん大好きっ娘。いつもおどおどしているが、気の強い一面をときたま見せる。みっしーとは友達感覚。

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