〈小説は長期間をかけて費用を回収する〉というビジネスモデル

文字数 2,321文字

友達に、アクセス数や評価点のことには僕も思うことがあるのでDMした。

クッソ長い文面なのだが、要約すると「一般流通している書籍には発行部数というものがあるが、〈発行部数と実売りは別である〉」と送ったのである。

よく漫画の単行本などの惹句で「何百万部突破!!」と書いてあるが、あれは発行部数である。売れる見込みや、「売りたい本」が、発行する部数の指標となり、発行される。一方、〈実売り〉とは、実際に売れた冊数である。じゃあ、実売りが多いのがFACTで発行部数がFAKE(doubt)か、というと、それも違う。発行部数が少ない場合、「何刷発行!!」など、今度は「増刷された回数」を惹句に使えるからってのもあると僕は考えている。

とりあえず、宣伝に使える費用も機会も限られている(そもそも「使える金」なんてそんなにないぞ)ので、なんとも言えない。ただ、〈悪意とは言えない場合もかなりあるのではないか〉ということは、言える。そうしたら、僕はただのクリエイターなので、これに関して、なにも言うことは出来ない、という立場だ。

ちなみに、ありがたいことに、僕には読み専の方や聴き専の方がいる。多くはサイレントだからわからないけど、DMなどでやり取りをたまにする方も、中にはいる。だから、なんでも悪意に捉えると、読み専の方に失礼なので、僕は基本、こういうのは黙っていることにしている。


僕の活動報告の「何々PV突破」は、あれは活動報告はノベルデイズ民はよく読むので、露出する機会もあまりないし、その機会に宣伝しているだけである。……と、いうか、こういう風に、宣伝に使えるし、僕が今、それを書いたことにより、たった今、宣伝効果はなくなったと思う。でも、活動報告は、PV数とかと無関係に書いている文章が挿入されており、そっちがメインであり、基本、僕の小説なんてあまり読まれてないので、作品ではなく、その時々で言っておきたいことを書いている。


2022/06/19 20:56

唐突に始まりましたが、なんなのです、理科? ボクとしてはそろそろこのチャットノベル、最終回でも良いと思っているのですが、ここに来ていきなり業界の話なのですか? 気が狂いましたか、理科?
うっさいわね、みっしー。実は友達に上記の文章の続きを送ろうとしたんだけど、どうせだからこの『死神はいつも嘘を吐く』に書いておこう、と思ったわけよ。興味あるひともいるだろうし。
「発行部数」と「実売(じつう)り」は違う、という内容ですね、上記の文章は。そこに、なにを付け加えると言うのです?
そもそも、〈小説は長期間をかけて費用を回収する〉というビジネスモデルだ、というお話よ!
それをビジネスモデルと呼んで良いのかも、謎なのです……が、まあ、聞きますか。怒られてもボクは知らないのですよ?
芥川賞受賞作は、雑誌に全文掲載されるわよね。で、単行本も発売される。そのこと考えたら、雑誌買った方が得だと普通は思わないかしら。
思いますねぇ。雑誌は1000円もしないのに、単行本になると、2000円近くするのが普通です。
同じく、文芸雑誌には「書き下ろし一挙、全文掲載」ってのがあって、その場合も、単行本にあとでなったとき、2000円はするわね。雑誌の方がお得に見える。
では、出版社は、雑誌を買わせたいのですか?
残念ながら、一部の場合を除き、それは違うわね。
雑誌を買わせたいわけではないのですか。じゃあ、クッソ高くなった単行本を買わせる戦術ですか。……あの手この手で買わせる気があるかというと、あまりないように思えるのです。
そう! そこがポイントなのよ。
どういうことなのです?
文芸雑誌は、ほぼ万年赤字。で、それは仕方ない、とする。
万年赤字なのですか、文芸雑誌は!
特に純文学雑誌は赤字ね。発行部数も、1万部を切ることもある。出版不況になるよりも前からよ。
じゃあ、単行本で……。
チッチッチ! 甘いわね、みっしー。単行本も基本は赤字よ。単行本の時点では費用を回収出来ないのが通例よ。
単行本で費用を回収できないのですか。では、どうするのです?
実は、小説は文庫化したときに初めて、本屋に長ーーーーく置いてもらえるから、そのときに費用を回収する。ここで初めて、費用をペイ出来るの。
お、恐ろしいビジネスモデルなのです!!
なお、芥川賞が凄いのは、純文学なんて特に、すぐ絶版になるのに、芥川賞受賞作は、なかなか絶版にならないからなのよ!! ミラクル!!
あ、お姉ちゃんとみっしー、お久しぶりだね〜。このチャットノベル、続く続く詐欺して、フェイドアウトしちゃうのかと思ったよー。
いえ、わたしたちも、Amazonなどの売り方であり、また、それを参考にした秋元康師匠の売り方である〈ロングテイル方式〉のビジネスモデルで行くわよ!!(大嘘!!)
確かに、出版社の長期的な売り方と、大きな倉庫を持って展開するロングテイル方式のビジネスモデル、くっつくと強そうですね。ここに、電子書籍の話もプラスされるのですね。
ウェブ小説や電子書籍が介入したことによって、わたしたちの今の話は若干古い話にはなっているけど、基本構造はそうなっていたってわけ。
ウェブ小説が、ウェブで読まれる割合が増えてきたって情報もあるね、お姉ちゃん。それに、電子書籍の税金はどこに落ちているか、っていう問題も、かなり前からあるね!!
今回は突発的な回なので深入りはしないけど、基本として、今回わたしたちが話したことを踏まえておくといいわよ。
ふぅん、その前に、このチャットノベル、どこへ向かうんだろうね?
このチャットノベルの行く末を考えると、胃が痛くなるのです……。では、また次回!!
次回があると良いねっ!!
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登場人物紹介

【田山理科】

 主人公にして家主。妹のちづちづと知らない町に引っ越し、二人で暮らしを始めたが、ちづちづがどこからか拾ってきた少女・みっしーも同居することに。趣味は絵を描くこと。ペインティングナイフを武器にする。

【みっしー】

 死神少女。十王庁からやってきた。土地勘がないため力尽きそうなところをちづちづに拾われて、そのまま居候することに。大鎌(ハネムーン・スライサー)を武器に、縁切りを司る仕事をしていた死神である。

【ちづちづ】

 理科の妹。背が低く、小学生と間違われるが、中学生である。お姉ちゃん大好きっ娘。いつもおどおどしているが、気の強い一面をときたま見せる。みっしーとは友達感覚。

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