アンチ・ヒーローよ語れ、ピカレスクの華を(上)

文字数 1,277文字

ドーモ、アナタがミッシー=サンですネ! 殺!
グワァァァ! ナムサン!(倒れる)
……えっと。……なにやってんの、あんたたち。
今大人気のにゃんじゃスレイヤーのごっこ遊びをしてたんだよ?
理科も遊ぶのです! あ、ちなみにゴブリンや復讐するオークが出てくるやつじゃないです。サイバーパンクなスレイヤーなのです。
いつもながら、ギリギリのスタンスね! これ以上は怒られたくはないわよ。
女騎士……。
だからー、やめてって!
だいたい理科は、なんでエンタメなウェッブ小説をクリエイトすることができないのですかぁ? もっとぶっ壊れるといいのです!
別にみんな、ぶっ壊れていないと思うよ?
ぐぅ。しかし、理科のヘタレぶりには最近、ムカついているのは本当なのです。まず、キャラ造型がなっていないのです。
キャラ造型、ねぇ。
『テヅカ・イズ・デッド』を思い出すのですよ!
「キャラクター」と「キャラ」でわけるって奴かな? わたしのお師匠さんは「登場人物」と「キャラクター」って単語で対比させてたけどね。
お姉ちゃんのお師匠さん、か。今はどこでなにしてるんだろうね。
きっとまだ、どこかを旅しながら元気に生きているよ。あのひとが死ぬもんか。殺したって死なないね。
よくわからないですが、キャラクターとキャラの違い。
うーん。本で読んだ話は忘れちゃったけど、わたしの師匠は「登場人物」はある意味で「血の通った人間」で、「成長する」主体だ、って定義してたわ。それに比べて、「キャラクター」っていうのは「記号」の一種で、「成長によって性格が変わっていくわけではない」ものだ、と定義していたの。
上の世代の作家が「人物が描けていない!」と言い、言われた作家が成長して新人に物申せる世代になると「人物が描けていない!」と、下の世代に言っていくという、伝統芸のようなものなのですよね、要するに。
なーにが「要するに」よ。思い切り喧嘩売ってないかしら。
みっしー、喧嘩はノン・ノンだよっ!
うぅ、ちづちづにレビュー的なスタァライトがキラキラとッ! ちづちづ、あいらびゅーん!
「キャラ小説」なんて言い方もあったわね。マンガに接近していったってことなんだろうけど、おいしいどこ取りはして、「大人も楽しめるエンターテインメントを書いてください」ってことになったわね。ライトノベルって名前がない頃のラノベ読者たちも年齢的にはかなり高くなってしまったもんね。そのなかの多くには、一般文芸を読まずにラノベだけを趣味の読書として育っていった層が含まれる。キャラ小説の潜在読者層は厚いわよ。
マンガと文芸。今でこそ融合してますが、文学史的には英雄譚は一度、闇に葬るかたちにして近代文学が打ち建てられたような部分もあるのですよ? マンガの話とはズレるのですが。
え? その話をするの? 英雄譚。特別な人間としての主人公を軸にした、物語。
理科のキャラ造型の下手さを浮き彫りにするために、まずは主人公論から行くのです!
ひー。やめてー。

うぅ、大変。

主人公論をしなくちゃいけなくなったみたい。

ちづちづがイカソウメンをモグモグしだしたことだし。


次回へつづく!

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登場人物紹介

【田山理科】

 主人公にして家主。妹のちづちづと知らない町に引っ越し、二人で暮らしを始めたが、ちづちづがどこからか拾ってきた少女・みっしーも同居することに。趣味は絵を描くこと。ペインティングナイフを武器にする。

【みっしー】

 死神少女。十王庁からやってきた。土地勘がないため力尽きそうなところをちづちづに拾われて、そのまま居候することに。大鎌(ハネムーン・スライサー)を武器に、縁切りを司る仕事をしていた死神である。

【ちづちづ】

 理科の妹。背が低く、小学生と間違われるが、中学生である。お姉ちゃん大好きっ娘。いつもおどおどしているが、気の強い一面をときたま見せる。みっしーとは友達感覚。

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