素晴らしい新世界(上)
文字数 2,025文字
ちづちづ、ありがとう。知っての通り、わたしたちは町のみんなから嫌われているのだけれど。この前つくってたじゃない、わたしとみっしーで、同人誌。即売会で売ったんだけど、それが裏目に出た……。現実的に、物理攻撃してきやがった……。
だが、わたしたちが『不適切コンテンツ』と判断されるのをつくってしまったと『解釈』されてしまった以上、こうなってしまったのは動かしがたい事実だ。ゾーニングされていたはずなんだけど。どこで誰が目にするかわからない世の中でもあるし、見られた以上は、なんらかの判断を受ける。こういうの、不適切と思われたらもう仕方なくて、つくってしまった「人物」が『悪い』ということになる。正確には、わたしたちがもともと嫌われているから、「悪いやつ」と思われる感情がブーストされてしまったのだけど。
そうだね。ルールが明文化されてるのだけでも多いけど、問題は慣習法になってたり、その時代や場所の空気などで「感情的」にダメな場合も、とても多くて、そこに近所の「悪者扱い」のわたしたちが出しゃばることの意味を考えるのを忘れていたの。そりゃ突いてくるわよね……。
「不適切」の「判断」を誰がするのか。ルールじゃなく感情を介した「生理的に嫌だ」の「判断」は、果たして「誰に」できるのか、なのです。つくってる時点で本人たちはダメだと思っていないことが多くて、ボクと理科も悪気がないのですよ? どうしろって言うのですか。知らず知らずのうちに上から目線で見下してきて、そいつらの『正義感』によってフルボッコにされたのです。
基本的にわたしたちはなにをやったって「ダメだ!」って怒られる。なにをしたって、なにもしなくたって攻撃される。「いい加減にしろ!」って怒鳴られる。そこにコンテンツという「ネタ」があれば、そりゃ取沙汰される。餌をまいたようなものだったわ。
ごめん、お姉ちゃん。話についていけないんだけど、本をつくるのってそんなに危険なの? 確かに物書きの世界には『~警察』っていう名称で呼ばれる、「考証の間違いなんかを指摘してくるひとたち」がたくさんいるって聞いたことがあるけど……。
ボクと理科は今回、ちょっとえっちなマンガをつくったのですが、ここは欲求の根幹のひとつを扱っているだけに、ダイレクトに危ないのです。争いに巻き込まれやすい場所だってことを失念していたのかもしれないです。不測の事態なのです。本当に「攻撃」してくるなんて思わなかったのです。相手は自己正当化で理論武装してからやってきたのでしょうが、どう考えてもおかしいのです。頭がこんがらがってしまっているのですよ、ボクも。
わたしもみっしーも、なにがなにやら混乱しているけれど、ちづちづはそれ以上に、わたしたちの今の状態に混乱を隠しきれていない。なのでいったん、お話をここで区切って、三人で話し合うことにしようと思う。
そんなわけで。
次回につづく!