探偵ボードレールと病める花々【第二十一話】

文字数 1,004文字

さぁて、締めに入るのですよ!
と、いうことは、『レスボス』に言及するのね。
そうなのです。ボードレールと〈百合〉についての話をして、それでこの話を締めとするのです。
れすぼす?
エーゲ海の北東部、トルコ沿岸の、ギリシア領の島が、レスボス島。
その島がどうしたの? 百合となにが関係してるの?
詩人の、サフォーという女性がいるのです。サフォー(サッポー)が女性に対する愛を謳った作品を多く遺したことから、英語では、もともと「レスボス人」を指した レズビアンという語は、後に女性同性愛者を指すことになったのです。
そう。島の名前から名称を取ってきているので、なにかと政治的にいざこざは、あるわね。
ちなみに、百合は、薔薇からの対置として考えられた言葉なのは、前に話した通りなのです。
関係ないけど、そのうち、吉屋信子の話も、したいわね。
あー、もう、理科は。今回の締めに入る、と言ってるじゃないですかぁ。
で、そのレスボス島がどうしたの?
ベンヤミンの著作では、タイトルを伏せて話をしているのですが。
え? 言及を避けてるのを、言っちゃうの?
ボードレールの『悪の華』には、『禁断詩篇』というのがあるのです。
……この話の冒頭で、ちづちづに読ませたくなかった詩の話。それは、禁断詩篇がメインね。
禁断詩篇には、『地獄に落ちた女たち ~デルフィーヌとイポリート~』という詩があって、同じく禁断詩篇にある『レスボス』と〈対〉になっていると言うのです。
『地獄に落ちた女たち』というタイトルを、伏せているのよね。
ボードレールは、近代の中に、古代ギリシアのヒロインのイメージを提示させるのです。それがギリシア風の名、デルフィーヌとイポリートであり、レズビアンはボードレールにとって、近代のヒロインでありエロティシズムの主導的なイメージ、過酷さと男らしさを語る女性は歴史的な、古典世界における偉大さの主導的イメージを持つのだ、とベンヤミンは熱く語っているのですよー。
百合の話になると、みんな、熱くなるんだね……。
わたしたちのお話はそのうちにしておいて、今回はベンヤミンが見たボードレールのお話よ。最後まで走り切りましょう!
なんか、熱いね……。熱い展開になっちゃったね。こんなことになるなんて……。
気合を入れんかあああい! なのです。
気合を入れるって、ここへの伏線だったの? 長かったよっ!?
   さあ、このお話の最後は、レスボスについてよ。

   つづく!!

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登場人物紹介

【田山理科】

 主人公にして家主。妹のちづちづと知らない町に引っ越し、二人で暮らしを始めたが、ちづちづがどこからか拾ってきた少女・みっしーも同居することに。趣味は絵を描くこと。ペインティングナイフを武器にする。

【みっしー】

 死神少女。十王庁からやってきた。土地勘がないため力尽きそうなところをちづちづに拾われて、そのまま居候することに。大鎌(ハネムーン・スライサー)を武器に、縁切りを司る仕事をしていた死神である。

【ちづちづ】

 理科の妹。背が低く、小学生と間違われるが、中学生である。お姉ちゃん大好きっ娘。いつもおどおどしているが、気の強い一面をときたま見せる。みっしーとは友達感覚。

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