ワン・スプレッド・コーヒーブレイク(上)
文字数 1,030文字
二年四組から、エンマちゃんがわたしのクラス、二年二組に遊びに来てくれたよ。
ん? なんじゃ、ちづちづ。いつもながら、うぬはせっかちじゃのぅ。ゆっくりと話すがよいぞ。
それはまた。懐かしいものを観るのぉ。で、どうじゃったのじゃ?
あれ、絶対ボーイズラブだよっ! そうとしか受け取れなかった! 主人公二人の友情もそうだけど、最後の、塔に上って闘っていくときのライバル関係! あれは、絶対女の子は観たほうがいいよ!
ふむ。それはまた、斬新な解釈じゃな。……その件は名前ぼかさなきゃダメじゃぞ、ちづちづよ……。あちし、ちょっと心配になってきたわぃ。
違うよ、エンマちゃん。わたしは萌え豚じゃないもんっ! 「満足な豚より不満足なソクラテス」の方がいいんだよ! お姉ちゃんが言ってたっ!
ジョン・スチュワート・ミルをそこに絡ませるか……。全然意味違うが、まぁ、いいじゃろ。ところで、遊びに来たんじゃが。
この前、言っておったじゃろ。西洋の占いで遊びをする、と。
ああ、タロット占いね! おっけー! じゃ、さっそくやろうよ!
これねー、みんな勘違いしてるけど、『ワン・スプレッド』っていう方法だと、タロットから一枚引くだけでいいんだよ? 知ってた?
タロットカードっていうのは22枚の大アルカナ、56枚の小アルカナの、計78枚でできているの。この78枚のカードすべてに、固有の意味があるんだぁ。
ほぅ。たしかトランプのカードもタロットからの派生じゃったかのぉ。
そーだよ! 占いの手順は、「シャッフル」、「カット」、「スプレッド」、そして「リーディング」の四つの工程。「混ぜて」、「山にして」、「並べて」、そして「読み取る」。スプレッドっていうのがわかりづらいと思うけど、「スプレッド」は「展開方法」という意味だよ。
ワン・スプレッドだと、一枚タロットを引くだけなの。簡単でしょ。じゃ、ワン・スプレッドで占う手順を追っていこうか。
と、いうわけで、わたしはエンマちゃんと占い遊びをすることにしたの。
エンマちゃんは不機嫌そうな顔で、タロットを持つわたしの手を見つめる。
ちょっといい気分だな。
……そうだね。今回は、短くなっちゃったけど、いったんここで区切ることにするね。
それじゃ、次回へつづく!
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