【補遺】ピカレスクの華を(中)

文字数 1,134文字

「ミクさん」と「ミクダヨーさん」は別物だよっ! 間違えたのは誰かなっ?
はい、ボクなのです。
罰金バッキングガム宮殿だよっ!(鞭で叩く)
ひぃー!
(ミクさんとダヨーさんが違うように、ミクさんと罰金バッキングガム宮殿のひとは違うけど……ここは黙っておこう)
さあ、浮雲さんのお話をしましょうね! 『修羅場』が好きだな、わたしは!
(二葉亭四迷の小説と東京事変の浮雲さんは違うけど、ここは黙っておこう……)
新しい文学をつくるにはどうしたらいいか悩んだ二葉亭四迷は『小説神髄』の坪内逍遥に相談したのです。すると逍遥が「新聞の落語の書き起こし(落語口演筆記)のような文章にすればいいのではないか」という内容を答えたらしいです。言文一致体の決定打はこうして生まれたのです。ちなみに、書き起こしとは初代円朝師匠の速記のことなのです。
『浮雲』は大学生の内輪の話が言文一致の口語体で語られる。ある意味、ビューティフルドリーマってる……とか言ったらぶっ殺されるけどね。
二人とも、流すように語ったねっ。重要な出来事なのに。驚きだよっ!
言文一致運動と言っても、わたしとみっしーが今、話した内容は、なにか天才パワーとスター性で突破した、という見解で一致してるわよね。異論は認めるわ。
さて。前回の話の補足の続きになりますが、小説というものを語ることで問題になってくるのが、「何者でもないおれが何者かになる」っていうストーリーですね。ロマンがありますねぇ、なのです。問題は、その「ロマン」。ロマンスとはよく言ったものです。
ロマン主義の話も出てきたわね、前回。ロマン主義の破綻から、社会を、取り換え可能なシステムとして設計してみようとした話も。
物語構造のことをナラティヴと呼ぶのです。構造。神話構造とか、無意識的に子供をキャッチボールして発展する社会とか、その他諸々が構造主義から浮かび出てきたのです。
が、そこより今回理科に補足してほしいと思うのは、カール・シュミットのことなのです。
カール・シュミットのロマン主義批判でもあった『決断主義』理論は批判者たちによって、それ自体がロマン主義と近似のものだ、と言われたのよね。
順を追って話すのです。『決断主義』とは? なのです。果たして、「ロマン主義」にしろ「決断主義」にしろ、挫折したこの思想は再読するに値するか。成れの果てとその後。主権権力の悲劇的限界を、再読により突破できるか。
その入門にでもなれば幸いなのです。
筆及ばず、になるのは確定だけど、今回は前回の話の【補遺】だからね。わたしたちなりにまとめてみるわね。
うふふ(よくわからないけど……ま、いっか)。
話が混乱するといけないから、話をいったん、ここで区切ることにするよ。

   そんなわけで、次回につづく。

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登場人物紹介

【田山理科】

 主人公にして家主。妹のちづちづと知らない町に引っ越し、二人で暮らしを始めたが、ちづちづがどこからか拾ってきた少女・みっしーも同居することに。趣味は絵を描くこと。ペインティングナイフを武器にする。

【みっしー】

 死神少女。十王庁からやってきた。土地勘がないため力尽きそうなところをちづちづに拾われて、そのまま居候することに。大鎌(ハネムーン・スライサー)を武器に、縁切りを司る仕事をしていた死神である。

【ちづちづ】

 理科の妹。背が低く、小学生と間違われるが、中学生である。お姉ちゃん大好きっ娘。いつもおどおどしているが、気の強い一面をときたま見せる。みっしーとは友達感覚。

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