喵喵-7

文字数 268文字

 抱き寄せられるまま、シギの胸板に背を預けて、力強いその腕に、フユトはそっと指をかけた。我儘を言って困らせたい気もしたけれど、言うべき言葉は見つからない。
「まだ時間はあるぞ」
 フユトの逡巡すら見透かして、シギが耳元で悪戯に囁く。三日目はまだ終わっていない。知らされて、葛藤して、躊躇いながら、
「……やだ」
 怖じ気ていた半歩を踏み出して、拗ねてみせた。

  *

 にゃあ、と鳴いてみろ。近づいたり離れたり、好きだと言ったり嫌いだと言ったり、機嫌や気分でコロコロと態度や言い分を変えるなら。
 それでも全部、愛し尽くしてやるから。














【了】
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