第36話 武田信玄と織田信長

文字数 3,182文字

「柴田殿、お主ら織田勢が5万や10万が徒党を組んだところで、本気でこの武田信玄に勝てると思ったのかのう?」

「はっ そ それは。。。」平伏したまま、額からぽたぽたと流した汗が 地面を染めていく

「まぁ良い で? 信長めは、どこに居る? 30分だけ時間をやる ここに連れて参れ 
30分過ぎても顔を見せねば 一息に押し潰すと伝えよ!」
体の芯まで震わせるほどの信玄の一喝に飛び跳ね、脱兎の如く、信長の居る本陣へと向かう 柴田勝家

「で。。。ルイよ この竜神様は、目覚めるのか?」小声でルイの耳元で囁く 信玄

「うん そりゃ目覚めるよ 寝てるだけだから 魔力が尽きたんだ 逆に魔力が、ほぼ空であれだけ暴れたんだからな。。。次に目覚めた時にどうするのか考えておかないとな」

「ちょっと待て! 今 息の根を止めることは出来んのか!?」焦りを隠せない 山県昌景

「この状態のベヒーモスには、どんな攻撃も通じないな 封印魔法で動けなくするくらいだが それも時間稼ぎでしかないし 俺には出来ないし」

「どのくらいで起きるのじゃ!?」

「それもわからないな半日かもしれないし一週間かもしれない この世界の魔素って凄く濃いんだよ だから
思ったより早く魔力が戻って起きるかもな」

「なるほど。。。このまま放置して帰るのは、どうじゃろう?」

「この辺一帯が、焼け野原になるだけだな 全ての生命を狩り尽くしたら次は西に行くのか東に行くのかだな
まぁ ブルートもアランも見つかったから 何とかするよ」

念話でブルートに話しかける ルイ
《ブルート こっちはベヒーモスが眠りについた もう少し魔力の回復に努めても大丈夫だぞ》

《そうか、すまないな そっちの被害はどうだ?》

《うん 被害は出たが 今は気にしないで、こいつを倒す方法を考えよう》

《この世界の住民には、本当に申し訳ないことをしてしまったな》

《ブルート。。。俺たちが来てしまって失われた命も確かにある でも俺たちが来たことにより救われる命も、きっとある事に最近だけど気付いたんだ ブルートもみんなに会えばわかるよ》

《そうか仲間か。。。それは楽しみだな すぐに行くよ》

《うん 待ってるよ》

「そうか。。。お前たちも苦労したんだな 俺の転移魔法が暴走したせいで、本当にすまなかったな」
隣に居るエヴァを労うように語りかける

「ブルートが謝る事じゃないわ 貴方のおかげでみんな生きているしね アランも私が、必ず治すから
 もう自分を責めるのは無しね ただ問題は、アランの下半身?この辺の造形なんだけど。。。
 見たことないのよね〜
 なんか%$@&*%&#"がこんな感じで§¥€%$#€*こんなんなってるの浮世絵だか春画で見た事あるんだけど
 なんかバランスが悪いのよね。。。?」

「アラン。。。なんかごめん」心の中で手を合わせるブルート

「あっ それとなにも苦労なんかしていないわ 食べ物は美味しいし みんな親切で優しいし だいたいの問題は、ルイが何とかするしね」

「ルイ。。。お前だけが苦労したんだな」心の中で手を合わせるブルート

「私達って、戻れるのかしら?転移魔法って過去に行った場所を記憶して転移するものなのよね?」
アランを見つめながら、独り言のように呟く

「その可能性は、限りなく少ないな。。。転移魔法そのものが不安定だし、今までの履歴も全部消えている 時間軸自体が違うのかもしれないな」すまんと言おうとして、口籠る ブルート

「別に心配してくれる人も居ないし。。。いいかな」
少し寂しそうに呟く エヴァ

「魔力は十分ではないが、ルイが心配だ そろそろ向かうか」






「殿! 殿!!」 柴田勝家が本陣へと転がり込んでくる

「ここに居るわ! 落ち着け!!それよりあの化け物は、何なのだ!!」 
柴田勝家に負けず劣らず、慌てている 織田信長

「拙者も、よくは解りませぬが、どうやら竜種のように御座います 武田の先鋒により 今は、眠りについているようです」

「眠っておるだと!! しかも竜だと申すか なぜ今、我が領内に。。。」

「それは、わかりかねますが。。。武田信玄が殿と話がしたいと、30分以内に来ねば 一息に押し潰すとの事にございます」

「おのれ 信玄め! このわしを下に見るか!!ちょっと待て。。。考える」

ー『正直。。。まいったな こっから見ても、うちの兵たちの戦意って地に落ちてるだろ?
武田軍に囲まれた上に、あの訳の分からん竜だかに数百人も吹き飛ばされたんだからな〜
無理もないか〜 やっぱり逃げておくべきだったか。。。?
もしかしたら、あの竜というのも 武田が操っているのでは?
もしそうなら、どうやっても勝ち目が無いよな。。。
ていうか 勝家もなにを、ご丁寧に伝言を言伝かってくるかね?
仮にも織田の重鎮だろうが! 少しでも有利な条件を提示させるのが家老の仕事だろう!?
俺って家臣に恵まれていないのでは??
秀吉も何してるのかわからんし 光秀もなんか俺を馬鹿にしている節があるよな〜 
今、思えば 家康の話をもう少しちゃんと聞いて、武田信玄と仲良くしておけばよかったのか!?
なんか考えるの面倒になってきた。。。討って出るか?
いやいや死ぬだろ? 俺が死ぬのは駄目だろ!
よ〜し わかった会ってやろうじゃないか! なんとか俺が死なない方向で一世一代の大博打だな!!』ー



「勝家!! 武田信玄に会うぞ!! わしの首一つでそなた等の首を繋ぎ止められるのなら安いものじゃ!!はっはっはっは」

「殿!!」大袈裟に平伏し、感涙に咽ぶ 柴田勝家

「勝家、光秀 共をせい!!」



「ところでルイよ この場所は危険なのでは?」

ベヒーモスの鼻先に床几(しょうぎ)を置き ベヒーモスを背景に床几に腰掛け軍配を翳す様を 
絵師に写生させている 武田信玄を伺いながら 山県昌景が聞いてくる

「うん こいつが生きている限り安全な場所など無いな!強いて言えば、俺たちの近くが一番安全かな?」

「それもそうかも知れんな しかしお館様は、お主等と会ってから随分と変わられたな 活き活きとされておるというか、怖いものが無いように見えるな」

「良いことだろ? 死を乗り越えた人間に怖いものなど無いのかもな」
そんな話をしていると、静まり返っていた織田軍の後方から
ざわめきとともに人垣が割れ 明智光秀を先頭に織田信長が姿を現す 
背後に己が軍勢5万が見守る中 武田信玄と対峙する

「光秀、勝家ここで待っておれ!」
そう言うと1人 左手に大ぶりの太刀を携え 信玄の元へと歩む

その行く手を阻むように立つ 山県昌景に太刀を預ける
ベヒーモスの前で軍配を掲げたままの姿勢の信玄が床几を用意するように従者に伝え 腰を下ろす信長

「信玄公 なぜこのような事になったのであろうな?」
信玄が側に居る従者等を睨み、顎で合図をし 距離を取らせる

「信長殿 見てみろこれを長生きをすると、このような奇怪な物を見ることも出来る これは、眠っておるそうじゃ」
そう言いながら背後のベヒーモスを指差す 信玄

「眠っている?起きたら。。。また暴れ出すのではないのか?」

「暴れるじゃろうな そうなったら我らのこれまでの武力では、止められんじゃろう しかし今のわしには、この者らが居る」
ベヒーモスを包囲するように立つ 風魔党、ルイ、本多忠勝、お雪を見る

「この者らに止められるのか?」

「この者らで止められなければ、この国で止められるものなど居らん 皆殺しじゃな がっはっはっ」
そう話している間も、休むことなく筆を走らせる 絵師

「この者たちは、それほどに強いのか。。。」

「信長殿 お主は、ちとやりすぎたのう 比叡山の焼き討ち
あれは、正に〈天魔の行い〉じゃった しかし同じ武将として、わからんでもない 
だがな家康殿を手に掛けたこと あれは、人として許すことの出来ん 愚行じゃ!」

それを聞いていた 本多忠勝の手に力が籠もる
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