第54話 学校を作ろう!

文字数 3,587文字

伊達輝宗から即日に返答があり“一人前になったら帰って来い”と言うわけで
伊達政宗も[天武の修練者]と命名された部隊の一員となった

そして夕方、陽も沈みかけた頃 意外な来客を迎える

「天女様、前田利家殿が面会を求めております どうされますか?」
食堂の天女専用席に本多忠勝が来客を告げる

「前田利家殿といいますと、織田の重臣の方ですね ここで良ければお通ししてください 食事中の旨を 
伝えてくださいね」

「天女様は、どうしていつもここに、いらっしゃるのですか?」

「茶々ちゃん 私は、ここが好きなのです お客様が来られるのでお部屋に戻りましょうね」

「天女様は、どうしてそんなに食べても太らないのですか?」

「私が、天女だからです 太ったら天に帰れなくなりますでしょう?」

「じゃあ もっと食べて太ってください 天に帰れないように」

「茶々ちゃん 貴方は良い子ですね 貴方達が一人前になるまでは、帰りませんから安心してください」
茶々を抱き寄せ、頭を撫でる

「お客さまが、いらっしゃいました 茶々ちゃんまた後でね」



「お初にお目にかかります天女様 織田信長が家臣、赤母衣衆筆頭·前田利家と申します 
急な来訪にも関わらず、お目通り頂けたこと感謝します」

「初めまして 天女と呼ばれております 食事中だったものですから、このような所ですが、前田殿とお連れの方もいかがですか?」

「ありがとうございます それが、ほうとうと申すものですか? 実に美味そうですな
後ほど頂いても宜しいですかな?」

「ええ 是非お試しください、きっと気に入られると思いますよ」

「それにしましても驚きました あの燃え落ちた鳴海城が、ほんのわずかな期間でこのような城塞。。。
いや要塞に生まれ変わるとは」

「ええ 貴方の良く知る羽柴兄弟も本当に頑張ってくださいました 今は、焼け野原となった京の町の再建に尽力して下さっていますよ」

「はい 存じております 実は、それがし本多忠勝殿にこの肩を砕かれ、ここ鳴海城を焼け出されてからというもの 八方手を尽くしまして天女様やお仲間の皆さんの事を調べさせて頂いておりました」

「えっと、それは仇討ちの為ということでしょうか?」

「いえ ここ鳴海城で武田軍の尋常でない強さに触れ、実際に本多忠勝殿と刃を交わし
こう見えましても若い頃には、槍の又左衛門と異名をとった、それがしと織田一の剛腕である甥の前田慶次郎の2人掛かりでも、赤子の手を捻るようにあしらわれ申した 毛頭復讐などという気も起きません」
天女の後ろで胸を張る 本多忠勝

「その強さの秘訣を知りたく、甥の慶次郎や手の者を使い 鳴海城の再建の様子や天女様に実際に治療を受けた者の話、関ヶ原での火竜を退けた話などを集めまして 天女様は、真に天より遣わされた天女様であると解り申した」

「ええ。。。まぁ。。。」 天女の後ろでうんうんと頷く 本多忠勝

「武田軍に加護を与えここ鳴海城を落とし、傷付いた者を癒やし、信者に力を与え、ここ鳴海城をあっという間に再建し 関ヶ原では、風魔党を始め20数名に加護を与えて、織田軍を翻弄し火竜を退けた これが天女の力でなければなんだと言うのでしょう!」

「さすが、前田殿!! わかりますか!!」
いつの間にか、前田利家の横に座り肩を組んでいる 本多忠勝

「そこで天女様にお願いが御座います ここに居られます織田信長様の嫡男·織田信忠様に天女様の加護を授けていただけませんでしょうか 何卒お願い申します」

「挨拶が遅れた事、お許し下さい 織田を面白く思わない者も居るのではと勘繰りました。。。
織田信忠に御座います 私に父の仇を討つ力をお授け下さい」

「加護を授ける事は出来ますが。。。数時間しか効果が無いのですよ? 加護だけで火竜を一人で討つのは難しいですね 信忠殿は、おいくつでしょう?」

「はい、15ですが。。。」

「それでしたら[天武修練者]という私達の法術を学ぶ為の子供だけの部隊があります そこで、法術を学びませんか? 15歳では、遅いかもしれません。。。きついかもしれませんが、無理では無いと思います」

「はい どのような事をしてでも力が欲しいのです 父上の仇を討ちたいのです。。。!!
是非お願い致します」

浅井茶々 5歳 浅井家長女 生母は、お市の方

真田幸村 6歳 真田家次男 幸隆の孫 昌幸の子

武田信勝 6歳 諏訪家長男 武田信玄の征夷大将軍就任に伴い 父勝頼と共に武田姓を名乗る許しを得る 武田信玄の孫 勝頼の長男 母は織田信長の養女である龍勝院

伊達政宗 6歳 伊達輝宗の長男 隻眼

大谷屋千代 8歳 鳴海城下 酒問屋“大谷屋”の一人娘、現在のところ唯一魔力の素質有り

浅井満腹丸 9歳 浅井長政の長男

北条氏直 11歳 北条氏政の長男 武田信玄の孫

井伊直政 12歳 女城主 井伊直虎の養子

織田信忠 15歳 織田信長の長男

「以上9名が天武の修練者になります 天女様」

「ありがとう お雪ちゃん、では、天武のみんなは、これまで通り午前中は、算術に読み書きの授業で
午後から体術と気を練る練習を、しばらく続けましょう 夜に真田昌幸殿の時間が空いているときには
歴史や戦術の授業をお願いしてね」

「はい天女様 私も読み書きと算盤の授業が楽しいです」

「お雪ちゃんもまだ16歳ですからね 魔力を感じる事が出来るのですから 魔法を使えるようになるかも知れませんね」

「魔法が使えたら もっと天女様のお役に立てますよね?覚えたいです!!」

「お雪ちゃん 今のままでも十分に役に立ってくれていますよ」
そう言い、お雪を引き寄せる 頭一つ小さなお雪はエヴァの胸に顔を埋め頭を撫でてもらう 
エヴァが去った後も、放心したお雪が顔を真っ赤にして立ちすくんでいたのを何人もの人が目撃していた

翌朝 鳴海城 北曲輪
それぞれの学力に応じて、初級中級の算術、読み書きの授業を受ける天武の面々
いずれの教室でも最前列に陣取り 真剣そのものの表情で授業に聞き入る

正午になると、城内の二の丸東側にある大食堂で昼食となる
それぞれが、配膳台に並び料理を受け取る 従者などが助ける事は禁止されている

「お雪ちゃんは、どうしてそんなにお胸が大きいのですか?」

「どうしてでしょう? 勝手に大きくなったと思うんですが。。。?」
周囲の男共の視線がお雪の胸に集まる

「誰かに@#*&:%$でもらったり%$§€¥∆@#すると大きくなるのでしょうか?」
「茶々ちゃん。。。どこから、そのような情報を。。。」
食堂の一角に気まずい空気が流れる

食後には、大食堂に隣接した鳴海城でもっとも大きな施設である 練兵場へと移動する
アランを先生に、お雪を助手にして筋力強化の体操から始まり、無手での型の稽古
受け身の練習、一対一での組み手 一対多数での組手など2時間たっぷりと汗を流す
「アラン先生、有難うございました」全員が揃って礼をする
「ふむ。。。また。。。明日。。。」

天女の待つ、20畳ほどの個室に移動して車座となり姿勢を正す

「今日から、ここに居る9人とお雪ちゃんにアランか私の、どちらかの指導で体内の気を練る訓練をしますね 気というのは、誰の体にもある物です その気を上手に使えるようになると病を追いやったり、体の一部を石のように固くできたり、風のように早く走れたり出来るようになります さらにその気を上手に操れるようになると 体の中に取り込んだ異なる力を、自分の力に変える事が出来るようになります
例えば、陰陽氏の法力や天狗の妖力 私達の使う魔力がそれになります
ちょっと難しいかしら? 大丈夫ですか?」

「茶々は大丈夫です! 解ります!!」勢いよく手を上げる 茶々につられ

「はい 大丈夫です」 「わかりました!」と全員が手を上げる

「みんな優秀ですものね では、みんな輪になって隣の人と手を繋いで目を閉じて下さい 気の流れを感じる練習をします 私が気を流しますので、自分の体に気が流れた事を感じたら目を開けて下さい いいですか? いつ流れるかわかりませんから集中して下さいね では始めます」

1分。。。2分。。。右手を繋いでいる茶々に魔力を流す 車座に座る全員に魔力が通る
千代と伊達政宗が同時に目を開ける   ー『予想通りこの2人ね。。。』ー
風魔法に乗せ、目を閉じるように2人に囁く

1分。。。2分。。。3分。。。4分。。。左手を繋ぐ織田信忠に魔力を流す
千代と伊達政宗が同時に目を開ける 茶々が首を傾げながら おそるおそる薄目を開ける

「はい みんな目を開けて立ち上がって下さい」

「気を流されたのですか? まったく気付きませんでした。。。」北条氏直が肩を落とす

「気にする必要は、ありません これから毎日続ければ、感じるようになるかも知れません 例えならなくとも人には、適性がありますから では気を練る訓練を始めます 両足を肩幅に開いて下さい」


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