第66話 人外達の宴

文字数 4,151文字

ルイの空間収納の中
酒呑童子 《太古の龍か。。。八岐大蛇様々だな、わしらにもこうして酒樽を供えるようになったんだからな 足を向けて寝れねえや》

茨木童子 《兄貴、土蜘蛛は飲みませんから 山分けですぜ!》

酒呑童子 《違えねぇな がっはっはっは》

八岐大蛇 《いったいここは、どのような仕組みなのじゃ?》

土蜘蛛 《。。。。。。。。。。。。》

酒呑童子 《ん!? ここは、ルイの管理している亜空間って奴らしいですぜ 実態を持たない、わしらでも念じるだけで、こうして生前の姿で手足を伸ばせるってんだから 居心地は良いってもんですぜ》

茨木童子 《旦那、ちょっと小さくなったらどうでしょう? 話しづらくっていけねぇや
小さくなれって念じるだけで思い通りの大きさになれますぜ》

土蜘蛛 《。。。。。。。。。。。。。。。。。。》

八岐大蛇 《おお そうか、どれっ》2人の鬼の大きさに合わせ、瞬く間に小さくなる

酒呑童子 《本物の八岐大蛇様に会えるとは、伝承の通りに八頭八尾なんですな じゃあ湯呑も8個用意しましょうか?》

八岐大蛇 《お〜確か、酒呑童子だったのう 気が利くのう、すまんが桶で頼む》
8個の桶に8つの頭を突っ込み、音を立ててグビッ!グビッ!と一気に飲み干す

茨木童子 《おお〜 さすがの飲みっぷりですな〜》

酒呑童子 《ところで旦那、あの御嶽山に籠もってる火竜ですが、旦那は奴が何者なのか
ご存知なんですかい?》

八岐大蛇 《うん? ああ奴は、この世界の理(ことわり)の外の生き物だな、天女だのルイだの、こ奴らと同じ世界から来たんじゃろう》

酒呑童子 《奴に一太刀浴びせましたが、なんとも気色の悪い切り心地でしたぜ。。。
生き物を切っているというより、腐肉を集めた怨念を切ったような まさに反吐が出るってやつです》

八岐大蛇 《うむ 我等からしたら、あ奴は決して相容れぬ存在じゃからな 我の国でこれ以上の大きな顔をさせるのも面白くないがのう》


妖狐 《酒盛り中 お邪魔するよ》

酒呑童子 《おお 九尾か、どうじゃこっちに来て一杯やるか?》

妖狐 《いや 古龍様に一言、言いに来ただけだからね すぐに出ていくよ》    

茨木童子 《そう言わずに、踊りでも舞って見せてくれよ》

妖狐 《お黙り、若造が!!》

茨木童子·土蜘蛛 《。。。。。。。。。。。。》

八岐大蛇 《我に話とは、なんじゃ? まぁ言わずともわかっているがな》

妖狐 《古龍様、あの火竜共は あたしと、この鬼達で片付けますんで 手出し無用でお願いします》

八岐大蛇 《出来るかな? 少なくとも、あの天女と呼ばれている女は、そうは思っていないようじゃぞ》

酒呑童子 《そうだぞ九尾、古龍様が居てくれれば 確実に屠れるだろうに》

妖狐 《誰を贄とするつもりなんだい? 古より古龍に願いを聞き入れて貰うには、若い女を生贄に捧げる事は、大陸生まれのあたしでも知ってる 悪いが、天女を差し出す気は、あたしには無いんだよ》

茨木童子 《そうなのか!? そういう話なら、俺も九尾につくぜ なぜだか俺は、こいつ等を気に入ってるんだ》

土蜘蛛 《。。。。。。。。。。。!!》

八岐大蛇 《我の力無しで、あの火竜を討てるというのならな たった一人の命で数万、数十万の命が救われるのだぞ!?》

妖狐 《あの娘の命は、数百万の命より重いんだよ。。。》

八岐大蛇 《よかろう、お主らだけで、どこまで出来るのか見物させてもらうとしよう》

酒呑童子 《旦那 酒は、まだまだ有りやすぜ 古の神話でも聞かせて下さいや》

八岐大蛇 《『つまらん話をしおって。。。ちっとも酔えんではないか。。。』》

満天の星が浮かぶ夜空を妖狐が舞う
あの火竜共より先に、自らの妖力が溜まることを願って 生まれて初めて自分以外の何者かに祈りを捧げる。。。



鳴海城 大手門
「天女様達が戻られたぞ!!!」物見櫓の兵が叫ぶ
手の空いている者たちが、大手門に出迎えに向かう 手の空いていない者も仕事を放って大手門へと駆ける

「「「「「「「「天女様!おかえりなさい!!!!」」」」」」」」
大手門から続く通りの左右に規則正しく並び、エヴァ一行を迎える

「ただいま戻りました しばらく滞在いたします またよろしくお願いしますね」

「おお〜!!」「しばらくは、いらっしゃるそうだ!!」「ありがたや ありがたや」

「一月も留守にしたわけでもないのに、大袈裟なんじゃないか? って言うか俺達も居るんだけどな。。。」通りを両手を広げながら駆けてくる、お雪を見つける ルイ

「俺には、お雪ちゃんが迎えてくれるだけで十分だけどな!!」
一行の前に出て、お雪を迎えるために両手を広げる ルイ
そのルイの横を通り過ぎ、エヴァの胸に飛び込み 枯渇していた天女成分を、鼻孔を膨らませ肺の奥深くまで吸い込み 補充する お雪
手を広げたまま、立ち尽くす ルイを見てみないふりをする 面々

《生きていると、色々と辛いこともあるやね。。。そのうち良い事もあるよ。。。》
追撃ちをかける 妖狐 静かに膝から崩れ落ちる ルイ

天女を囲むように、駆けつける天武の子供達
「ただいま戻りました お雪ちゃん なにか変わった事は、ありませんでしたか?」

「はい ありました! この子達の上達具合を見られたら きっと驚かれると思いますよ!!」
得意気に胸を張る天武の面々 そこにルイの襟首を掴み、引きずってくるアラン

「アラン修練は、順調にいっているそうですね ありがとうございます」

「ああ。。。良い子。。。達だ。。。」

「それは、見せてもらうのが楽しみですね」

「天女様。。。天女様は、どうしてそんなに悲しそうなのですか??」

「茶々ちゃん 私は、何も悲しいことなど有りませんよ 皆に会えて嬉しいのです
さっ お土産が有ります 食堂に行きましょうか」

ー『私は、この子達にこの国の未来を戦いを託そうとしている。。。?』ー


「いいですか!? これは、天武シュウレンジャーの最初の任務だと言っても過言では、ありませんよ どのような事態に陥っても決して大きな声は出さない事 気づかれては、取り返しのつかない事になると心得てくださいね もちろん他言は無用です」

ごくりっ!「「「「「心得ました!天女様!!」」」」」
ルイの手から各々に黄色い物体が手渡される

ー『武器!?』ー ー『飛び道具なのかも!?』ー ー『なんだか甘くていい匂いがします』ー

「では、これから皆の仲間となる 弥助がお手本を見せます よく見ていて下さいね」
弥助の黒くて大きな手が、おもむろに黄色い物体の端に手を掛け、上から下へと丁寧に剥いていくと中から黄色みのがかった瑞々しい実が現れ甘い匂いがたちこめ この時に全員が食べ物だと確信する と同時に一気に半分ほどを口の中に押し込む 弥助
目を閉じ、数回顎を動かした後、咀嚼する 黒い首筋の喉仏が上下に動き
弥助の唇が開く 「美味いっす!」わずかに聞き取れるほどの小さな声だが その表情が
心からの声である事を物語っていた

「皆さん、この任務の困難さが理解できましたか? 周囲の皆さんに、ここで美味しい物を隠れて食べていると気づかれたら任務は失敗です なぜならこのバナナには、数に限りが有るからです 食堂に居るみなさんに配ったら。。。あっという間に無くなってしまいます すると次に収穫される2年後まで食べる事が出来ないという事です!!」

「天女様、わかりました」 「必ずや、この任務やり遂げてみせます!!」

「では、みなさんどうぞ召し上がって下さい!!」
真剣な表情でバナナと向き合う天武の面々 弥助の手本に倣い皮を剥き果実と対面する

「うまぁ〜」〈小声〉 いち早く頬張った満腹丸を見て 一斉に頬張る 天武の子供達

「甘くって美味しいね〜」〈小声〉「これは!!口に入れた瞬間、なんとも言えない芳醇な香りが鼻から抜け、その後に広がる濃厚な自然の恵み!!止まりませんな」〈小声〉

「美味しいね〜アラン先生も一口どうぞ」〈小声〉
頭を寄せ合い、感想を述べ合う天武の頭上に影が落ちる

「それは、そんなにも美味いのか?」

「ええ!!それはもう、この世の食べ物とは思えないくらいです」〈茶々の大声〉

「「「「「「「「えっ!!??」」」」」」」」
頭上から覗き込む 武田勝頼、真田昌幸、服部半蔵その他大勢
その後、ルイの空間収納から、その場に居た者すべてにバナナが配られ
天武の初任務は失敗に終わる。。。

「次の収穫まで2年も待てません!!」 「土魔法で効率よく養分を送ってだな」

「いや、それもだが水魔法で常に一定の水分をだな」「毎日、回復魔法かけたら??」
そう言い合いながら、新たな魔法の研究に取り掛かるエヴァ達であった


修練所で輪になり手を繋ぐエヴァと天武シュウレンジャー
「では、目を閉じてください 魔力を流しますので、その魔力が自分の体を流れた事を感じたら、目を開けてくださいね いいですか? 声を出してはいけませんよ」 
静かに目を閉じ、エヴァから魔力が流されるのを待つ。。。1秒。。。2秒。。。3秒
右手から魔力を流す 左手に魔力を感じた茶々がすぐに目を開け 右回りに順々に目を開けていく天武の面々

「驚きました!? 全員が魔力を感じられるようになっているとは。。。
次は、もう少し弱い魔力を流してみますね 目を閉じてください」
。。。1秒。。。2秒。。。3秒。。。4秒。。。5秒 一瞬だけ、微細な魔力を流す
年少順に並んだ、茶々から千代までの5人がすぐに目を開けていく

「はい 目を開けていいですよ」 

「感じられなかった。。。」肩を落とす、満腹丸を始めとした年長組

「気にすることは、ありません 初めにも言いましたが 幼い方が、覚えるのが早いのですから 一月ほどで魔力が感じられるようになっただけでも十分に称賛に値します」
ほっと胸をなでおろす 年長組

「では、いつもの修練に取り掛かって下さい 見学させてもらいます」

ブルートと並び、見学をするエヴァ
「俺たちの子供の頃より、覚えるのが早いんじゃないか? 魔力が無い、気だけを可視化させるなど。。。」

「そうですね ちょっと驚いています」

「さっきの魔力を感じる修練で、エヴァの魔力を体内に流されていた事が関係しているのかもな」

「もうすぐ、魔力の種を植える事を考えてもいいかもしれませんね」

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