第70話 精霊召喚

文字数 3,705文字

鳴海城西曲輪 天女堂
天女堂の祭壇でエヴァと茶々が向き合う
精霊への祝詞を言霊にのせ唱える  本来であれば精霊召喚の儀は神官の祭儀であるが
希少な聖の精霊を持ち、白魔術師であるエヴァは、並の神官以上の高位の精霊を呼び出す、特性を有している
天女の銀色の魔力と、茶々の白い魔力に導かれるように 小指ほどの大きさの2体の精霊が茶々の頭の周りを飛び、まるで話し合ったかのように同時に茶々の頭部で霧散する

「茶々ちゃん、どうですか? 貴女に春の精霊ベラと花の精霊フローが宿って下さいましたよ」

「なんだか。。。とても暖かくって幸せな気持ちです」
茶々の纏っていた白い魔力が赤へと変わる

「生命に成長を司る 精霊です 貴女の風の属性と組み合わせて、何ができるのか自分で探求しなければなりません 楽しみですね」

「はい! 茶々は、天女様のようになりたいです!!」

「茶々ちゃんの風の属性に精霊の相性ですと、雷魔法や回復魔法と付与·強化魔法は、すぐに覚えると思いますよ 一緒に頑張りましょうね」

続いて、この世界で最初の魔法使いとなった真田幸村が祭壇に上がる
“汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を挫く者。 万物に宿りし神々、 抑止の輪より放たれ、この常世に顕現されよ―――! “

天女の祝詞に応え、2体の精霊が降臨する 氷の精霊フラウと鉄の精霊フェローだ

「幸村君の水属性に、この2体の精霊って。。。想像するだけでも、凄い攻撃魔法の遣い手になりそうですね。。。自分の身を守る術も身に付けてくださいね」

「はい天女様 一層の精進を致します」

そして火と土の属性を持ち、緑色の魔力を纏う 武田信勝が上がる
“汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を挫く者。 万物に宿りし神々、 抑止の輪より放たれ、この常世に顕現されよ―――! “

天女の祝詞に応え、顕現したのが植物の精霊エントである

「数ある植物の精霊の中でも最上位に名を連ねるエントが降臨されるとは驚きです
信勝君の火と土の属性で鑑みると、攻防に適した術が編み出せそうですね エントで強化された土魔法で
動きを封じて、火魔法で一網打尽とか 魔法は、想像力ですからね」
楽しそうに微笑む エヴァ

「はい ありがとうございます天女様」


「それにしましても、これだけ名持ちの精霊ばかりが降臨される事って、有りますかね? 嬉しい誤算ですが。。。」皆の方を向き、首を傾げる エヴァ

「おそらくだが、この世界では、精霊を呼び出せる者が絶えて久しいと聞く 上位の精霊を呼び出しやすい周期なのではないだろうか?」ブルートが答える

「そういう物ですかね。。。精霊界に干渉できる通力も、あと2人が限界のようです
では、伊達政宗君 こちらへ」
緊張しているのだろうか、伊達政宗が“ごくりっ!”と喉を鳴らしながら祭壇を上がる

「なんだか、とんでもない精霊が降りてきそうな気がするのですが。。。」
“汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を挫く者。 万物に宿りし神々、 抑止の輪より放たれ、この常世に顕現されよ―――! “

天女の祝詞に応え、2体の精霊が降臨する 月の精霊ルナと炎の精霊エフリート

「ねっ!? ついに4大精霊のしかも上位精霊であるエフリートが降臨して下さいました   
これだけでもSランク確定ですのに、時を司るルナまで降臨されるとは驚きですね」
「精霊の名に恥じぬように、励みます」
武者震いだろうか? 政宗の両拳がわなわなと震え 土色だった魔力が青色に変わる

「では、今日の最後に千代ちゃん 祭壇に上がって下さい」

「はい天女様! よろしくお願いします」

“汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を挫く者。 万物に宿りし神々、 抑止の輪より放たれ、この常世に顕現されよ―――! “

天女の祝詞に応え、顕現する 夢の精霊サンドマン

「今日は、驚き疲れました。。。夢の精霊とは、初めて見ましたが無色透明なのですね
火と風の属性を持つ千代ちゃんに夢の精霊。。。幻覚魔法や魅了魔法でしょうか?
遣い手がいないのでわかりませんが、何が出来るのか、一緒に探していきましょうね」

「はい 天女様 よろしくお願いします」 ー『魅了!?』ー ごくりっとツバを飲む お千代

ー『これで天武の5人が精霊の加護を授かりましたね、赤色、青色、黄色、桃色、緑色
。。。長老にしかわからないという、奇しくも古の。。。レンジャー!?』ー



そして翌日の、鳴海城 西曲輪 天女堂 
「お待たせしました 通力も、回復しましたので 昨日の続きを始めましょう」
土の属性を持つ、浅井満腹丸が祭壇に上がりエヴァの前で跪く

“汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を挫く者。 万物に宿りし神々、 抑止の輪より放たれ、この常世に顕現されよ―――! “
一体の精霊が満腹丸の頭上を飛び回り霧散する

「満腹丸君 貴方には、獣の精霊ビシューが降臨されました この精霊は、獣化の魔法を覚える事により
山猫の俊敏さや、猪の突進力、熊の破壊力などを我が物に出来る、ある意味で万能の精霊ですね 
まずは、従属の魔法をルイに教えを請うと良いです」

「はい 天女様ありがとうございます」

このように精霊召喚の儀が、滞りなく進んでいく
水と火の属性を持つ北条氏直には、刃の精霊フーカーが降臨し同時に【操剣·操槍·投擲】のスキルを習得する

「降臨と同時にスキルを貰えるとは、精霊に愛されている証です 精進を積むほどに出来る事が増えていく
精霊ですからね 頑張りましょうね」

「はい天女様 決して精進を怠らない事を誓います」

続いて、唯一人すべての4大属性を持つ 井伊直政に時の精霊ハロルという希少な精霊
が降臨し 特にブルートから羨望の眼差しを受ける事になる

「直政、羨ましいな。。。この精霊は、時間や時空に干渉する事が出来るんだ
習得するには、時間が掛かるが時間の遅延や一時停止、重力操作なんと言っても俺も完成には至らなかった
転移魔法だな 俺も協力するから究めよう!!」

「はいブルート先生、よろしくお願いします 天女様ありがとうございました」

そして今は亡き、織田信長の嫡男·織田信忠が祭壇へと上がる
風の属性を持つ彼に降臨したのが、土の精霊ノームと金の精霊ウィルである

「また4大精霊の中から土の精霊ノームが降臨されました しかも金の精霊ウィルと」
ブルートが興奮気味にエヴァの話に割って入り、信忠の両肩を掴む

「信忠! この2人の精霊が同時に降臨されるなど奇跡だぞ!! 俺が何年も掛かっている研究が数カ月でものに出来るかもしれない!!! まずは、錬成、錬金術に結界魔法
さらには、創造魔法だな!! 出来そうな事が多すぎて夢が広がるな〜」
ブルート至福の日となったようである

「最後にお雪ちゃんですが。。。精霊の祝福を授かったら、もう普通の生活には戻れないかもしれません。。。今なら、まだ普通の暮らしに戻る事が出来ますよ?
もともと、私を慕いここまで着いてきてくれた貴女には、普通の女性と同じ幸せを手に入れて欲しいという気持ちもあります」

「天女様 この子達が、お家を背負い、お国を背負い戦おうとしているのをずっと見てきました 
私も天女様やルイ、この子達と一緒に戦います!」

「そう言うとは思っていましたが。。。では、こちらに上がってください」
祭壇を踏みしめる様に登るお雪 途中ルイに目をやり微笑みを作る

「また とんでもない精霊が降臨しそうな気がするんですよね。。。」

“汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を挫く者。 万物に宿りし神々、 抑止の輪より放たれ、この常世に顕現されよ―――! “
一体の精霊が顕現したと同時にお雪の目の前で爆ぜる 驚きに目を見開くお雪の
瞳の色が赤みを帯び、体全体が一回り大きくなったように見える

「勇気の精霊ヴァルキュリアが降臨されました 常時発動型のスキル【戦乙女】の影響で骨格までが変わったようです」

「はい。。。ありがとうございます天女様。。。」 ー『逞しくなっちゃたの!?』ー

「ともに戦う仲間を鼓舞したり 勇気を与える精霊ですからね 強化魔法などを学びましょう」

「では、私は京に向かわねばなりません 天武の修練をお願いします アランとブルートは【鬼切·鬼丸】の錬成を検討してみて下さいね お雪ちゃんは、久し振りに共に京に登りますか?」

「はい ご一緒します!!」

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