第155話 それぞれの死闘

文字数 3,031文字

「みんな あれほど出てくるなと言ったのに。。。」
向かってくる魏頭魔を、次々と球状結界に閉じ込め重力魔法【圧縮】で粉砕し爆破の衝撃を結界内に留める 
上空より、新岐阜城跡地を俯瞰する エヴァ
新岐阜城の地上階部分、そしてその周囲で途切れることなく爆発の火の手が上がり激しい戦闘が繰り広げられている


真田幸村の氷の精霊フラウの氷魔法【氷壁】で500名の弓兵達を囲い、津波のように四方から押し寄せる万を超える怒愚魔を、精鋭弓兵が氷の足場から殺生石の鏃のついた矢で弓を射かけていく 
爆風で傷ついた兵達を千代と茶々とおりんが後方で回復し、お雪がルイから預かった
殺生石の塊を鏃へと成形し矢の切れた弓兵達に、供給していく

武田信勝は、植物の精霊エントの土魔法で、地面から生え出してくる(つた)で怒愚魔を絡め取り、蔦の(おり)を編み上げ、エントが生みだした高い木に吊し上げていく

そして炎の精霊エフリートが憑依した伊達政宗が、戦場を駆け炎の剣で怒愚魔を切り伏せる エフリートが憑依した政宗には、爆破や爆風による損傷は受けることはないが
魔力の消費が大きく、長時間の憑依は期待出来ない

満腹丸はビシュー魔法·交雑で地獄象蟻を生み出し、次々と怒愚魔に取り付かせ
新岐阜城から離れた場所で地獄象蟻を自爆させ確実に怒愚魔の数を減らし続けている

織田信忠の土の精霊ノームと金の精霊ウィルの錬金術から作られたゴーレムが巨漢を活かし怒愚魔を蹴散らし続けるが、爆破による衝撃で徐々に削られていき、すでに2体目の
ゴーレムを召喚していた

みんなと合流する事が出来た 井伊直政は、傷の治癒を受け魔力回復のために
大食堂で養母·井伊直虎の膝に頭を預け休んでいるところである

ブルートはと言うと、自身の周囲に障壁を展開し、空間に蜘蛛の巣状に張った鬼蜘蛛の糸に雷撃を通しながら、怒愚魔を拘束し爆破させ広範囲の敵を殲滅し続けている

アランも自身の魔力を右腕の義手【虎舞羅】の殺生石で魔力弾に変え、幸村の氷壁の上から迫りくる 怒愚魔を最小限に抑えた魔力弾で射抜き自爆をさせていく

ルイは、怒愚魔の群れに身を投じ、自身の魔力と酒呑童子の妖力を抑えるために両手のみを鬼化させ、童子切安綱を2刀操り、怒愚魔を両断しては、爆破に巻き込まれないよう
縮地術で離脱する 切っては離れまた切っては離れを繰り返していく

凄まじい数の怒愚魔が葬られていくが、ナーダの尽きる様子の無い竜鱗からそれを上回る数の怒愚魔と魏頭魔が生み出され空を地を漆黒に染めていく

「みんな頑張ってくれていますが、魔力の消費が激しすぎますね。。。殺生石にも限りがあるでしょうし
一匹たりともこの魏頭魔を地上に行かせるわけにはいきませんね」
無数の球状結界を自身の周りに浮遊させながら、草薙剣を手に【古龍の覇気】を身に纏いながら
切り伏せられ次々と爆破していく魏頭魔の群れの中を縦横無尽に飛び回る
さらに球状結界で捕らえた魏頭魔を重力魔法で圧縮し粉砕する エヴァを中心とした広範囲の魏頭魔を決して自分の背後には、一匹も逃さないという決意が伺える奮戦ぶりを見せる エヴァ

ふいに瞬間移動でエヴァの直上に現れたナーダが、尻尾を振るい数匹の魏頭魔を巻き込みながらエヴァの頭部に迫りくる 草薙剣で、その尾を受け止めるが、態勢を崩され吹き飛ぶエヴァに次々と魏頭魔が張り付いたと同時に自爆する
爆破の衝撃と爆風でナーダを見失なったエヴァの背後からナーダの鋭い尾が薙払われ
強烈な衝撃で、魏頭魔の密集している空間に投げ込まれる エヴァ
“ドーンッ! ドーンッ! ドーンッ! ドーンッ! ドーンッ!ドーンッ!”
エヴァを中心に連鎖して巻き起こる爆発 夜空に巨大な白煙が立ち込める

月明かりの下 季節外れの花火のように魏頭魔の自爆が、夜空に火花を散らす
途切れる様子のない連鎖し続ける爆発に空を見上げる 一同
「「「「「「「「「「「天女様〜〜!!!」」」」」」」」」」」

「「「エヴァッ!!!!!!」」」
ようやく鎮まった爆発、夜空に溜まった白煙が東からの風に流され視界が開ける
そこには、まるでお腹を守るように丸くなり 古龍の覇気を纏ったエヴァの姿が現れ
ほっと胸をなでおろす 

「私は大丈夫です!みんなもきついとは思いますが、頑張って下さい なんとか突破口を開きます!!」
風魔法に乗せ、みんなの耳にエヴァの言葉が直接届く 一瞬にして沸き立つ 面々
しかしエヴァの状態も無傷とは言えなかった ナーダから受けた背中への一撃がひどく腫れ上がり
衝撃で呼吸が乱れ、古龍の覇気も乱れたところに爆破の連鎖を受け
暗く遠い距離からでは視認出来ないが、治療が必要なほどの傷を受けていた

《天女よ これしきの傷、我の自動回復で治してやる お腹の子も護ってやる
お前の命を賭してまでの戦いを見せてみろ!》
立ち上がったエヴァの背後で、金色の八岐大蛇の八頭八尾の影が揺れる
「私は、古龍様の力を引き出せてはいないのですか!?」

《1割も使えてはいないぞ、頭だけでなく身体で我を受け入れよ 我は山の神ぞ!
見渡す限りの大地の地精が我等の味方だ!!》
目を瞑り、草薙剣を天に向け掲げるエヴァ 大気がざわつき、八岐大蛇の金色の影が
鎌首を(もた)げる
全方位から突進して来る魏頭魔に一瞬の溜めの後、八頭の口が大きく開かれ、放たれる 
古龍の息吹、上下左右とすべての方向に長い息吹が魏頭魔を次々と消滅させていき
空を埋め尽くしていた魏頭魔の群れが半数ほど数を減らすが、ナーダの竜鱗から続々と
生み出されエヴァへと突進して来る 魏頭魔

「切りがありませんね。。。」

「エヴァ!そいつ等は俺たちに任せて、ナーダを倒すんだ!! このままでは、こっちの魔力が先に切れてしまう!!」
ルイから念話が入る
「でも。。。怒愚魔だけでも手一杯では?」

「なんとか耐えてみせるさ 情けない話だが、ナーダと戦えるのはエヴァだけだ 頼む」
地上から放たれた数百本の童子切安綱の複製が黒い刀身に月の光を反射させ夜空を疾走る正確に魏頭魔の頭を貫き、次々と射落としていく

「ビシュー交雑【自爆アリ+雀蛾(すずめが)=地獄雀蟻】行け〜〜〜!!!」
おなじみの自爆アリに昆虫界最速の飛行速度を誇る雀蛾を交雑させた、体長20cmほどの地獄雀蟻が数百匹、一気に満腹丸の元を飛び立つ
魏頭魔の飛行速度を遥かに上回り、次々と取り付くと尾角を震わせ爆発する
「みんな ありがとうございます 急がなくては!」

さらに上空へと飛び 東の空に対空するナーダへ向け古龍の息吹を放つ、尻尾を振り
生み出された魏頭魔の群れを無視して瞬間移動と見紛うばかりの、疾風を使い
ナーダとの距離を詰めると八岐大蛇の八尾をナーダの頭上から振り下ろす
一歩後ろへと飛び逃き、それを交わしたナーダの懐へと飛び込んだエヴァが草薙剣を
一閃!横に払う “がっきっ!!”手の平に衝撃が伝わった次の瞬間には、空を切る
草薙剣 
瞬間移動で200mも距離を取られ、わずかな溜めの後“魔王の息吹”を放つナーダ
それと同時に八頭から息吹を放ち、八本の息吹が大気を巻き込みながら一本へと収束する
双方の息吹が唸りを上げ尾を引きながら、ちょうど中間地点で漆黒の息吹と金色の息吹が
目の前に雷が落ちたかのような爆音を夜空に轟かせ ぶつかり合う
“ドッゴオオオオオオンンンンンンン!!!!!!!”
1秒。。。。2秒。。。。3秒。。。。ぶつかり合い、銀色の玉となり膨らみ続ける
双方の息吹 4秒。。。。5秒。。。。次第に押され始める 金色の息吹が徐々に
細くなっていく






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