第53話 鳴海城 北曲輪

文字数 3,529文字

鳴海城 北曲輪 中食堂
有事では無い期間に限り、一般の民に開放されている区画があり
昼の時間には、200人が収容可能な食堂が解放され無料で昼食が提供される
入りきれない民衆には、お弁当まで用意されている
出入り口に設置された寄付箱、供え物置き場には、当初の予想を遥かに超える
寄付、供え物が置かれ 鳴海城全体で300人を超える調理師の手により温かい料理へと変わる
その味も一般の食堂を凌駕しており、城下だけでなく近隣の農村から足繁く通う者も少なくない

鳴海城 北曲輪 教室
月曜日から金曜日の午前10時から正午までの2時間 午後2時から4時までの2時間
50人が収容可能な各教室で授業が行われている 老若男女を問わず受け入れているが
予想を超える人気のため、整理券を配布する自体に陥っており 増築が検討されている
風組教室 初級算術 林組教室 中級算術 火組教室 初級国語 山組教室 中級国語
と分けられ 主に算盤、読み書きを習得出来る

鳴海城 北曲輪 天女堂
この鳴海城の中では主練兵場、大食堂に続き3番目の面積を誇る 2000人の収容が可能な大型施設で
当初は集会所として建てられたが、毎週日曜日に天女様の奇跡を受けられると一般に解放されるようになり 
天女の奇跡を受けると、体調不良や病が治ると評判が評判を呼び、近隣住民だけでなく東海·近畿全域
遠くは東国からも、天女詣でが広まっている 出入り口に設置された寄付箱、供え物置き場には
各地の名産がうず高く積み上げられる

鳴海城 北曲輪 練兵場
練兵場と呼ばれているが、一般に開放されている広場であり子供向けの遊具が多数設置されており
一日中、小さな子供達とそれを見守る、お年寄りの姿が目立つ
もう少し大きな子供達は、柔らかい素材でできた 刀や槍が貸出されており、合戦遊びが子供達の間で
大流行している
ところが最近になり大人の姿も、チラホラと見かけるようになり より戦略的な合戦遊びとなり
子供をそっちのけで遊ぶ、おっさん達の姿が目立つようになってきている
先頭に立って遊ぶ、本多忠勝の姿も目撃されている

鳴海城 北曲輪 物品販売所
日の出から、日の入りまで営業されており
大型の冷凍·冷蔵庫が設置され、地元の野菜や海鮮物、加工食品から着物に農耕用具、武具など幅広く扱っており 地元の民だけでなく、遠方から訪れた人々にも好評を博している
ちなみに一番人気は、天女の姿を模した天女像で小さな物は、手の平に収まるものから等身大まで様々な大きさが用意されている

このように鳴海城自体が地域に根差した一大産業となり、多くの雇用を生み出している鳴海城が天女城と呼ばれるようになるのも当然と言えるのかもしれない
最近では、視察に訪れる地方領主が後を絶たず、地方都市の模範として全国へと展開していくかも。。。

そんな北曲輪に天女が井伊直政と千代を伴い姿を見せる
食堂では、人々に混じり食事を摂り 教室を訪れ授業の見学をし、その後練兵所へと向かう

「これは天女様、ここにお顔を見せるとは、珍しいですな」
子供達とチャンバラごっこに汗を流している 本多忠勝が白い歯を見せて微笑む

「この子達に北曲輪の見学にと回っているのですが、忠勝殿。。。貴方は、何をしているのでしょう?」

「この子供達に将来、武田、徳川の為に戦えるよう、今から戦というものを教えておる所です」

「その割には、貴方もとても楽しそうに見えますが」

「お恥ずかしい 今まで気付かなかったのですが思いのほか、子供好きだったようで。。。天女様、将来子供は、子供は、何人くらいが良いでしょう?」

「好きなだけ作れば良いと思いますが。。。」

「やはり、そうですよね!! よし皆 全員で掛かってこい!!!あっはっはっはっは〜」
そこに居た50人ほどの子供全員にそっと、あらゆる強化魔法を掛けるエヴァ

「直政君、千代ちゃんも遊んでくるといいですよ」
にっこりと微笑む エヴァ 
その数分後、子供達にこてんぱんにされた 本多忠勝がエヴァの治癒魔法を受ける事になる


小谷城より浅井長政の子息、満腹丸と茶々が大量の鮒寿しとともに鳴海城に到着した
その知らせを受けたエヴァが早足で彼らが待つ部屋へと向かう
「あの臭みが癖になるんですよね」と独り言を呟きながら

「お初にお目にかかります 天女様、浅井長政の長男·満腹丸(9歳)と申します そしてこちらが妹の茶々(5歳)です」

「茶々です 天女様よろしくお願いします」

「はい よろしくお願いしますね、2人は9歳と5歳でしたね しばらくここで生活してもらいますが、大丈夫ですか?」

「はい父上にも浅井の長男として、しっかり務めてこいと言われておりますので よろしくお願いします」

「そう じゃあ明日から勉学や鍛錬を始めましょうね 今日は、こちらのお姉ちゃんが
鳴海城の中を案内してくれるわ お願いね、お雪ちゃん」

「はい天女様 では、どこから行きましょうか? お腹は空いていませんか?」

「天女様 天女様は、どうしてそんなに綺麗なのですか?」

「茶々ちゃん 人間、正直に生きる事は、素晴らしいことですね 貴方もお母様に似て綺麗になりますよ」

「天女様 天女様は、そのお歳で、どうして結婚していないのですか?」 ピキッ!

「さっ! まずは、食堂から見に行きましょうね!!」満腹丸と茶々の手を引き駆け出すお雪

「天女様〜〜 どうして〜〜ぇぇぇぇ」

今、この時も諸侯の子息が鳴海城を目指し歩みを続けている

「天女様、我が嫡男·信勝(6歳)が到着いたしました 数えで6歳になります」
武田勝頼が信勝を連れて食堂に姿を見せる

「勝頼殿 お館様から聞いております 武田と織田の血を引くお子だと」

「天女様、よろしくお願い致します 武田家のお役に立ちたいです」

「はい よろしくお願いしますね 貴方くらいの歳の子供達が沢山います 仲良く勉強しましょうね」

「はい 頑張ります!」
後ろに控えていた真田昌幸が嫡男を紹介する

「信勝様と一緒に到着しました 嫡男·幸村(6歳)です 6歳になります」

「天女様、真田幸村です よろしくお願いします」

「お祖父さん、お父さんに似て賢そうなお子さんですね 2人共仲良くしてくださいね
この食堂には、京の甘味など取り揃えています 召し上がるといいですよ」

「天女様、その。。。天女様達の法術を継ぐ素質を測る石が、有るとお聞きしたのですが、もしも素質が無ければ、すぐに帰らされてしまうのでしょうか?」
勝頼が不安そうに聞いてくる

「それなのですが、これまで大勢の子供達で試しましたが1人だけなんですよ適正が有るとされたのが。。。そこで考えたのですが、人の身体にある気を流す修練をしてから、その石を使ってみようと思います 
ですから、しばらくは、通常の修練をする為にお預かりすることになります
お子さんの世代で今のうちから絆が出来るのも良い事でしょうし」

「わかりました どうか、よろしくお願いします」

そして翌日
北条氏政の嫡男で、武田信玄の孫である 北条氏直(11歳)が一時帰国していた風魔小太郎に連れられ加わり

さらに翌日
ルイに一命を救われた 伊達輝宗の嫡男·伊達政宗(6歳)が家臣数名を連れ、天女へのお礼参りに訪れる

「ルイ殿は、留守ですか。。。それは残念ですが、天女様の護符のおかげで政宗様は救われました 
我が主·伊達輝宗に変わり厚く御礼申し上げます」

「貴方は、確か。。。未だ独身の方でしたね」

「はっ 覚えていて頂けましたか遠藤基信にございます おかげさまで先月ですが妻を娶ることができました これが若く、拙者には勿体ないほどの良くできた娘でして」
ニヤニヤと幸せそうに惚気る 遠藤基信

「ケッ!!」

「天女様、伊達政宗です その節は、本当に有難うございました」
6歳の子供が右目に眼帯をしている姿が痛々しい

「ルイに聞いておりましたが、その右目を治すことが出来ます こちらへいらっしゃい」

「ありがとうございます しかしこれは、ルイ殿と天女様に救って頂いた命の証に残しておけと父上が」

「そうなのですか。。。不自由でしたら、いつでも言ってくださいね」

「ありがとうございます ところで天女様、あちらで私と同じくらいの歳の子供達が、なにやら座禅を組んでいるようなのですが あれは、なにをされているのでしょうか?」

「あれは、気を練る訓練ですね あの子達は毎日、私達の使う法術を覚えるために、勉学や身体の鍛錬等をしています そう言えば、ルイが政宗君には素質があるとか言っていましたね」

「ルイ殿が! 真でございますか!? 天女様やルイ殿のような法術を私にも教えては頂けませんか?」

「それは、お父上殿のお許しが有れば構いませんよ 伝書鳩を飛ばして聞いてみてはどうでしょう?」

「はい では早速」






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