第169話 未来を開く

文字数 1,571文字

「その先に何があるか?そんな事は、わからなくて良い お前たち人間とて食い寝て働き子を成して、その先に何があると言うのだ?死が待つだけであろう?」

「人間とういものはのう!その生涯で、どれだけ自分の大切な人達を幸せに出来たか
微笑ませることが出来たか、それで生きてきた価値が決まるのだ!!」

「そんな綺麗事をほざく貴様は、これまでに、どれほどの同族を手に掛けてきたのだ?」

「確かにわしは地獄に落ちるであろう しかしな、わしが戦った事により、より多くのこの国の民が豊かになる未来を信じて戦ってきたのだ お前ごとき青二才にとやかく言われる筋合いなどない!!」
武田信玄が吠える 

「そんな貴様の国の民も、遅かれ早かれ我の糧となるのだがな ふっはっはっはっはっ」
魔王ナーダの重く不気味な笑い声が、皆の背筋を凍らせる

将軍·武田信玄がナーダの気を引いている隙きを見てルイが、気配を殺し忠勝の背後に
近づいていた
「忠勝 振り向かずにこれを受け取れ、絶対に神通力は、まだ通すなよ」
空間収納から草薙剣を取り出し、後ろ手の忠勝に握らせる

「段取りは、エヴァから説明する お前に掛かっている頼んだぞ」
草薙剣を受け取った親指を立て ルイに応える 忠勝


「戯言はもうよい まずは、その子供を貰うぞ ネボアの分身を憑依させる
お前の内に宿している その化け物を解放しろ」

「待って下さい 瘴気の雲を解除するのが条件だったはずです」
直政を庇うように前に立つ エヴァ

「心配するな お前の伴侶を無に返した後に霧散させよう 我が種族の誇りに掛けて
約束は守る この国を最後に喰らうという約束もな」

「天女様 大丈夫です 魔王ナーダは約束を守るでしょう 次にナーダが現れるまでに
どれほどの時間があるのか解りませんが、僕とナーダを必ず倒して下さい」
直政の身体から覇気が消え去り、金色の瞳も元の黒へと戻る

「別れは済んだようだな、今からお前は我の眷属となる それを誇りに思うが良い」
ナーダの口が開き、黒い霧状の物体が渦を巻きながら浮遊し直政へと向かう
息を呑み、ゆらゆらと浮遊するネボアの分身の、その軌跡を見守る 人々

新岐阜城、地下空間にすっぽりと嵌ったドームの床面 南側の端に魔王ナーダが立ち
5mほど離れて立つエヴァと直政 その後方に武田信玄、真田幸隆 アラン、ブルート
ルイ、天武の子供達に囲まれた大天狗の姿の忠勝、おりんにお雪 ナーダの瘴気の影響を受けないように2,000人は北側に集っている 


ネボアの分身が直政の頭上に差し掛かった時 エヴァが風魔法に乗せて忠勝に囁く
ー「草薙剣に神通力を通して下さい」ー
それと同時に時を止める 直政

動かない忠勝の背後に古龍の覇気がメラメラと沸き立ち 巨大な四頭四尾が金色の覇気を纏わせ ネボアの分身を飲み込むと、その勢いのままナーダへと向かい
すべての長い首と尾を使い締め上げる 
直政だけが動ける時の止まった世界で、時間という概念が存在しない存在 八岐大蛇
忠勝の強大な神通力を得て、わずかな時間ではあるが宿主を離れ実体を顕現させる
ギシッギシッとナーダの骨が軋み、四肢を折り曲げていく
そして時が動き出すまで0,7秒 エヴァが球状の封印結界をナーダに向けて投じる
古龍の覇気ごと、動かないナーダを巨大な結界へと閉じ込め 玉龍を掲げ、魔力を込める
そして時が動き出すまで0,4秒 封印結界内で漆黒の魔王の覇気を爆発させる ナーダ
しかし古龍の覇気がそれを相殺させ、結界は微動だにしない
「謀ったな!!」
くぐもったナーダの声が、結界から漏れる

「ごめんなさい 貴方の存在は、理不尽すぎます この世界には置いておけません」

「ふんっ これしきの結界などすぐに破ってくれるわ!!」

「そうでしょうね 私だけの力では、すぐに破られるでしょう。。。」

そして時が動き出す。。。。

「陽炎の夢。。。」
千代が唱える



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