第114話 超戦隊呂棒エント·キング

文字数 3,161文字

順調に進む、岐阜城の再建
地下5階、最地下が直径200m、天井までの高さが10mの練兵場となり
殺界場、相撲の土俵などを備え、天井にも壁にも光魔法を蓄えた殺生石をふんだんに
埋め込み、24時間いつでも修練が可能な環境となっている
地下3,4階が居住区で最大2万人の収容が可能となり
地下2階が大食堂、男女別の入浴施設、大小様々な談話室が用意される
そしてもっとも、趣向が凝らされのが地下1階であり 東側半分が、一般の民の出入りも
考慮された天女堂 そして北西側が、最高の警備体制が敷かれた 天女御殿となる
岡崎城、鳴海城に続く3つ目の天女御殿となるわけだが、先の2つに絶対に負けては
ならないと言う、羽柴兄弟の号令の元、日の本最高と言われる大工を羽柴組の勧誘部隊が全国を駆け回り集めた結果が ポルトガル人、オランダ人を含む、30名の大工が集まり最高の建材を惜しみなく使い、腕をふるった結果 地下だというのに中庭に玉砂利が敷き詰められ どのような仕組みか、小川が流れ鯉が泳ぎ 庭の一角には、バラ園が備えられ大輪のバラが咲き乱れる
和洋折衷、この世界でも比類なき豪華にして機能的な居住空間が出来上がってしまった 詳細については、いずれエヴァの口から語られるかもしれないが
この空間を始めてみた時のエヴァは、羽柴兄弟に開いた口が塞がらなかったいう。。。
そして南西側が、来賓用の居住空間と執務室、会議室などが据えられている

そして各階層を仕切るのが、厚さ5mにもなる耐熱、耐衝撃をブルートにより、考えつくされた構造になっており 有事の際には、最下層練兵場が避難所となる

そして上部構造物の内部には、火竜を討つまでは、手が付けられず 直径200mの耐熱、耐衝撃ドームで覆われる事になる ドームの内部には、幅1mの回廊が緩やかな角度で、最頂部まで続き、無数の開閉が可能な狭間(さま)が穿たれ 上空への弓や銃による攻撃が想定されている


細かな意匠、調度品の運び込みなどは、まだ終わってはいないが、これだけの巨大建造物をわずか1週間足らずで作り上げた事になる
魔法の力も規格外であるが、準備期間が十分に有った事によりルイと千代の空間収納に
予め必要な物を詰め込めた結果であろう
現在、日の本でもっとも安全な場所が完成しようとしていた

「エヴァ、これで少しだけ肩の荷が下りたな」

「そうですね、いざとなれば将軍にも、ここに避難してもらえば、そう簡単に破られることはないでしょう その旨を、京に居るお館様にも報せておきましょう」

「京に留まるのか、ここへ来られるのかは、自分で判断してもらうよりないな」

「出来れば、ここに避難してもらえるといいのですが。。。」

「一番いいのは、御嶽山で奴等を殲滅する事だ 誰にも被害が及ばないようにな
ルイの回復と、エヴァの旦那、本多忠勝殿が、いつ戻るか。。」

「バハムート達が、それを待ってくれるのか。。。ですけどね」


御嶽山 上空
2匹の兄弟竜の傷もすっかりと癒え 魔力も十二分に漲り、身体から溢れ出しているのが
可視化できるほどに、覇気として纏わりついている
久しぶりの外気に触れ、上機嫌に上空の夜叉(ネボア)を見上げる
夜叉はというと、自分の前面の空間に亀裂を作り 自分の見える範囲にもう一つの亀裂を作ることにより 瞬間移動を行っていたらしく 夜叉の体に残った記憶から、ネボアにも
可能であることが分かった しかしながら、空間に亀裂を作る魔力の操作に手間取り
入り口となる亀裂と出口となる亀裂、夜叉の体が通るほどに拡げるのに、5秒ほどの時間を要し とても瞬間移動と呼べる代物では無かった
目の前にある亀裂に右手を差し込み 50m程先にある亀裂から自分の右手が出てきて
手の平を開け閉めしてみる これは、凄い武器になる 
完全に習得すれば、瞬間移動出来るようになれば、まさに無敵となるだろう
1日も早く習得せねばならない
それまで、あの天女と呼ばれる女が待ってくれればだが。。。


出来上がった ばかりの岐阜城の地下5階·練兵場で修練に励む、天武の子供達
エヴァを始め、先生役全員が所用で忙しく 魔力操作の自主練を行っていた

「みんな、ちょっと聞いてくれ」
修練の手を止め、みんなに呼び掛ける 織田信忠
「何でしょう?信忠君」

「なになに?もうお昼ごはん??」

「茶々、朝ごはん食べたばかりだろう そうじゃなく、みんなに聞いてもらいたい事が
あるんだ」

「どうしたのですか?あらたまって」

「直政、お前は元服していたな?何歳になった?」

「はい、昨年に元服しまして、今は、13歳になりました」

「そうか実は、僕は来月で16歳になる 天女様達は、僕らが子供だという理由で、火竜との戦いに連れて行くつもりは無いようだが、僕は戦いたい 直政、お前はどうだ?」

「僕も戦いたいです! そのつもりで修練してきたのですから!!」
興奮した様子で、声高に答える 井伊直政

「僕も同じ事を考えていました 戦いに連れて行ってくれるように天女様にお願いしようと考えていました」
目を輝かせて、話に入ってくる 北条氏直

「そうか!氏直も11歳で元服を済ませていたのだったな 僕達も戦えるのだという事を、天女様たちに認めて頂かねばならないな」

「あの僕は、元服はまだですが。。。10歳になりました 茶々やみんなを守るために僕も戦いたいです」

「満腹丸、お前もか そうだな、では僕達がどうすれば、天女様達に認めて頂けるか
4人で知恵を出し合おう!」
あーだ、こーだと盛り上がりながら、その場を離れていく4人


あとに取り残され、ぽかーーんとする 茶々、真田幸村、武田信勝、伊達政宗、千代

「茶々達だって、戦えるのに!」
頬を膨らませて、拗ねる 茶々

「確かに、ちょっと失礼でしたね 僕達が戦えないと決めつけているような。。。」
何やら思案顔の幸村

「気を練る修練でも、僕たちの方が早く習得したのを忘れているようだな」
鼻息も荒く、4人の背を睨みつける 信勝

「僕達の力が、どれほどか 見せつけてやりましょう!!」
俄然やる気になる 伊達政宗

「私は、アラン様と一緒に戦えるのなら何でもいいけど」
千代の熱は、未だ冷めない

「でも。。。茶々達も戦いたいって言っても、天女様達は絶対に許してくれないよ?」

「う〜〜ん そうだな、顔を隠して、こっそりついて行くのは、どうかな?」

「幸村君、みんなでお面を被るって事? 楽しそう〜茶々の気の色で赤いお面がいい」
「じゃあ僕は、青で 信勝君が、黄色で 正宗君が緑色 千代ちゃんが桃色でしたね」

「顔を隠しても、気配探知ですぐにバレるけどね。。。」

「正宗君!楽しければいいと 茶々は思うの!」

「だったらさ 気配探知で、気づかれないくらい遠くから戦えればどうだろう?」

「信勝君 そんな事が出来るの??」

「僕達の力を合わせれば、出来るんじゃないかな? ここの天井は確か10mだったよね 頭が当たらなければいいんだけど 見ててね」
静かに目を閉じ、胸の前で手を組む 信勝

“すべての生命の父にして この大地の父である精霊エントよ お前のすべての子供達の為に 
我の願いを聞き入れ 我の召喚に応え給え!”

練兵場の中央の天井に黄色い光の粒が集まり、緩やかな渦を巻きながら、地面へと降りてくる
「すごい綺麗。。。」
うっとりと目を細める、千代

「なんとも幻想的な光景ですね。。。」
地面に降り注ぐ、光の粒が徐々に巨大な人型を形作っていく 丸太のような頭部に、丸太のような胴体、丸太のような両腕に、丸太のような両足。。。

「茶々とお兄ちゃんで、子供の時にこんなの作りました!」
頭部の2つの節穴に黄色い光が灯り ギロリッと茶々を睨む

「ごめんなさいっ!! え〜とエントでいいのかな?」

「いや 名前は、考えてある超戦隊呂棒エント·キングだ!!」不思議なポーズを決めながら 叫ぶ武田信勝



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