01 『無花果』 誕生前夜。

文字数 1,792文字


 2013・10・07(月)
 山上さん。
 (注;山上博さんは、2012年の9月に、ぼくが文学学校の見学会に参加した時に知り合った人なんだ。
 結局、山上さんは文学学校には入らなかったんだけど、縁があって文学友だちになり、ぼくの作品を毎回読んで批評を書いてくれるマブ友なんだ。)

 作品を持って行かないといけない10月11日(金)まで、一ヶ月近くあった休みも
「まだ時間はある」から、「もう時間が無い」へと追い込まれています。
 ぼくが外の空気を吸うのは、犬の散歩だけの日々が続いています。
 映画「そして父になる」は観ましたけど。

 今回の作品は「描写、描写」と、お題目のように唱えながら書いたつもりですが、
読み返すと物語ではなくて、あら筋になっていました。
 作品を何回も書き直しています。
 場面を創って描写。場面を創って描写。
 ページがどんどん増えて行きます。

 さて、11日にはどんな作品を持っていけるのか……。
 自分でも楽しみです。

 秋期に清川さん(60代男性)という評論では長く活躍していた人が小説の勉強を一からやりたいという事で、Sチュータークラスに来るようです。
 Sチューターも自作を頼んで読んでもらった事があるとのこと、Sチューターが認める評論家って、すごく興味を抱きます。
 ある意味、居残り作戦は成功ということなのかな。
 SチューターVS清川は、見応えがありますね。
 スリリングな秋期になりそうですよ。

 ミニショートショートです。
 コタツで寝ている妹をビックリさせようとして、反対側から手を入れて足首を握った。
 まだ眠っている。
「起きろ!」ぐいっと引っ張った。
 ようやく起き上がった妹は、「うるさいなぁ」と部屋を出て行った。
 ぼくは握っている足首から手を離せないでいた。

 浦山稔 

 2013・10・07(月)
 浦山さん こんにちは 
 メールありがとうございます
 清川さんは、Sチューターの「小説手法」を評論されているわけなので凄い人だと思います。

 浦山さんの新作が楽しみです
 ショート作品、小泉八雲風のブラックユーモアでしょうか
 最後の2行にこんなふうに付け加えてみました"
" ようやく起き上がった妹は、「うるさいなぁ」と部屋を出て行った。
 あれ?あいつ、苦手だったはずのケンケンができてるじゃないか。
 コタツの中、右手で妹の足首を握ったまま、ぼくはそう思った
 では、"
 山上博

 2013・10・09(水)
 今日は、浦山です。

 山上さん。
 ぼくも清川さんの正体は、まだ知りません。
 本人に会える11日が楽しみです。

 ぼくにとって、厳しい事態になっています。
 Sチューターにメールで、印刷部数の問い合わせをした際に、
「ページがどんどん増えて行きます」
 と何気なく付け加えたのですが、次の様なメールが返って来ました。

 五十枚を超えるとしたら、それは内容が多すぎるのです。
 内容を半分以下にしてください。
 ずるずる長くしてしまうと、結局、前の作品と同じことになります。
 小説は≪切り口≫が勝負です。

 そして、何を描写するかもほとんどは捨てて残るのはわずかです。
 何もかもを書くのではありません。書き過ぎなのです。

 浦山作品はあれもこれもと取り込みすぎて、結果として、伝えたいことが不鮮明に
なってしまいました。
 その癖を直さないと、この先も、しっかりした小説にならないのです。
 小さな出来事と言葉の乱打なのです。

 カルチャーセンターの発想なら、相手はお客様ですから、まあまあで済ませるのでしょう。
 わたしはマジに「指導」しています。
 半年の残留条件は、
 一回目、三十枚。
 二回目、五十枚まで。
 それは守ってください。

 表現になあなあはありません。
 自分を育て、鍛えるためには、やらなくてはならないことはやるのです。
 そういう人のみが表現者の道を進めます。
 プロという意味ではありません。

 メールを打つのには時間がかかります。
 お互い、言葉は創作の苦しみに使いましょう。
 条件を守ってほしい、それが残留条件です、という以上のことはありません。
 返事は11日にお願いします。

 このメールが届く前は、全体を100枚にして、前半の50枚を提出しようと考えていました。

「無花果」(30枚)を添付します。
 時間のある時に読んで、感想や意見など、教えて下さい。
 浦山稔



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