10 2013・10・25(金) 第2稿 『無花果』 提出。 

文字数 1,624文字


『無花果』を書き直しているときに、Sチューターから厳しい励ましのメールが届いた。

 浦山さま
 三十枚の短編は大合格です。
 で、書き直しをして、さらなる勉強と作品の完成度を上げてください!

 ここで、手綱なをさらにぐいっと引っ張るのがわたしのやり方です(笑)。
 みんなのコメントを取捨選択してくださいね。

 三十枚より短くなってかまいません。
 後半に合わせて、前半をカットしてください。
 山行きを近くの工場の探検に。

 最後、稔が、律子が当たり屋をさせられていると知った時、ほんとうに、どんな気
持になったのか。

 ここをじっくり考えてください。
 くやしいだけでなく。怒りだけでなく。
 無力感やまわりの事情を知っている大人(両親も)への反発も。
 律子は何を思っているのかの想像。
 この先、どうなるのか。
 考えれば考えるほど、つらいよね。
 何もできない稔自身にも腹が立つ。

 稔は今までと世界の見え方が変わったはずです。
 世界が単純ではなく、どうしようもなさのなかで生きなくてはならないこと。
 書かなくていい。
 稔が、イチジクを律子のためにもぎ取る、その取り方、イチジクの見え方、で表現
して下さい。

 チジクの実が単に好きなものを超えた存在になっているはず。
 "最後が勝負です。
 律子の意外な運命を知った読者に、ああ、稔はそう感じるよな、と頷かせる。
 そして、自分も同じように「喪失」を抱えて「成長」しなくてはならなかったこと
に思い当たる。

 いい作品に出会うと、気持がざわざわしつづけますよね。

 たぶん、あと二、三度の書き直しになると思います。
 稔の成長が、浦山さんの書き手としての成長になりますよう。
 *
 2013・10・26(土)
 山川さん、浦山です。

「無花果」の書き直しを、昨日提出しました。
 Sチューターからは、書き直している途中に、
「たぶん、あと二、三度の書き直しになると思います」
 とメールが届きました。

「えーっ! どーいうこと」って感じでテンション下がり放しです。
 しかし、前向きなぼくは、
 ひとつの作品を別の角度から見るチャンスだと思って、書き直しています。

 30枚の短編は、少しずれると最後が大きく変わることに気がつきました。
 30メートルを全力疾走した時に、どこかで角度を間違えるとゴールから遠く離れてしまうのと同じですね。
 長編だと、途中でなんとか軌道修正できますが、短篇の恐いところなんでしょうね。

 そうそう、清川さんに、山上さんの「無花果」評のプリントアウトを渡しましたよ。

   「文学友だちが書いた「無花果」評を、読んで欲しいと頼まれました。
   読んでいただけないでしょうか。
   出来れば、「評への評」をお願いします。」

 なんだか、中学生の頃に戻った気分でした。
 男子に手紙を渡すのは初めてのことなので、ドキドキしましたよ(笑)。

 押しが弱かったかもしれませんが、返事は清川さん次第となりますので、
 ご理解ください。

「無花果」書き直しを添付します。
 よろしくお願いします。 
 浦山稔

 清川さんに渡した手紙には、次のように書いたんだ。

 清川さんへ。    
 突然ですが、僕が去年の9月に文校の見学に参加した時に知り合った人に山上博さんという人がいます。

 山上さんは、文校には入りませんでしたが、縁があり何故か、ぼくを激烈に応援してくれています。
 先日、清川さんからいただいた「無花果」評を読みたいとのことなので、勝手ながら読んでもらいました。
 
 すると、清川さんの読みが群を抜いていると感心して、ぜひ、山川さんの『無花果』評を読んで欲しい、出来れば「評への評」をいただきたいとメールが届きました。
「山川博 『無花果』評・物語における救い(救済)について」
 と山上さんのメールアドレスを同封します。
 時間をいたたくことになりますが、よろしくお願いします。
              2013・10・24(木)記  浦山稔

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