103 第一関門
文字数 2,126文字
*
2017・10・13(金)
うさぎさん浦山です。
第一関門。
うさぎさん、やばいよ、やばいよ~。
17日に合評する作品が、小和田朱鷺さん『そこにて、在る』なんだ。
朱鷺さんといえば、4年前に樹林の選考会でぼくが権田さんと対立した『そこにて、眠る』の作者。
なんか不思議だよ。
『そこにて、眠る』がきっかけで、打倒権田で専科クラスへ乗り込んだからさ。
Sチュータークラスでの最初の合評作品が、その作者なんだもんな。
問題は小説の中身なんだけど、
教員を退職後、母親の遺品を整理していたら、母親の兄からの軍事郵便を見つけた。
ってとこから始まって、満州事変、南京虐殺のことを書いているんだ。
それがさ、読んだ本や、講演会、母親の実家で伯父の話を聞いたことを説明しているだけで、主人公独自の思いは書いていないんだ。
朱鷺さんは、元のクラスでの中心人物ぽいし、ほとんどの人が褒めるんだろうな。
「問題意識を持って書かれた作品だ」とか言ってさ。
この作品をどう評するかで、ぼくの立ち位置が決まりそうだよ。
言葉を選んで、面白くないと評するしかないけどね(笑)
この作品、Sチューターにとってもヤバイと思うよ。
満州はSチューターのテリトリーだもんな、
よく調べないで、中途半端に書いているところもあるし、
ガチンコ勝負になるかもよ。
*
2017・10・13(金)
やばっ
浦山さま
朱鷺さんはSチューターの洗礼を受けた事無いの?
浦山さんはまあ最初やから、柔らかめにお茶を濁しといたらエエけどSチューターがどう出るかやなあ!
「資料を100冊読まずに書いちゃダメ!」
だったよね。
それにSチューターは、相手や体制を批判するだけで自分に刃が向かない人にはキツイよん。
満州事変や南京がテーマで、Sチューターが黙ってやり過ごす訳はない!
どないなるやろ。
こっそり見に行きたいなー。
うさぎ
*
2017・10・18(水)
Sチューター節。
うさぎさん。
昨日の朱鷺さんの作品合評。
最初の人が、私の価値観を語り出してさ、
やっぱり始まったか~と、半分面白がって聞き流していたんだ。
Sチューターが「作品に沿って批評してください」
と止めてから
「この作品の資料から引用してある部分は全て棄てて批評してください」
そういって、具体的なページと範囲を言ったんだよ。
それが、半分以上なんだ。
きたきたきた~って感じ(笑)。
「小説は主人公の体験や思考を書くもの。資料は所詮、他人事です」(要約・浦山)
Sチューターの「棄てるという意味が分からない」や「それを聞いて、作品の違和感が無くなりました」(これもどーかなと思うけど)
との感想も交じりながら合評が進行。
でも、やはり作品そっちのけの戦争の悲惨さを書こうとする姿勢に頭が下がりますとか、よく調べているのがすごいとかが目立ったよ。
さてさて、どーいうわけかぼくは最後の評者になった。
「この作品に切実さを感じないのは、主人公に葛藤が無いからです。
だから、主人公の物語になっていない」
そして3つの設定が都合よすぎると指摘。
1、伯父さんは、満州へ送られたけど輜重兵(しちょうへい)だったので、中国人を殺していない。
2、夫は南京虐殺や資料を調べることに協力している。
3、親戚のおばさんは、伯父さんのことをなんでも話してくれる。
「この設定を逆にして、知りたいと思うことを調べていくと、どんどん孤立していく主人公にすればいい」
「そうするためには、伯父さんの手紙(母親の遺品)に、主人公の心がぎゅっとつかまれることが書かれている必要がある」
えへへ、ぼくは提案型批評ってことを思いついたんだ。
よーく考えると全否定だよね。
最後のSチューターの評。
「この作品は構造的に、小説ではなくてドキュメントです。
小説にするためには、よほどの腕が要ります。ここに登場する母親やおばさんの語りで書くといいでしょう」
ここから、小説とは何か、語りの優位性とかSチューター節が炸裂!
やっぱ全否定。
「ごめんね」
と、朱鷺さんに何度も声をかけていたけど、
こんな時のSチューターの「ごめんね」は、
息継ぎ程度のものだとぼくは知っているんだよね(笑)。
その後、朱鷺さんとSチューターは喫茶店でダベリング。
ぼくは東梅田まで朱鷺さんとご一緒の運命。
初めてのSチューター体験に混乱している様子。
ぼくは、「そう書くと小説になるんですね」と感謝されてしまったよ。
浦山稔
*
2017・10・18(水)
お待ちかね~
浦山さま
催促したくなる気持ちを抑えつつ、メールを楽しみに待っておりました。
いやー眼に浮かぶ~。
懐かし~。
初めての朱鷺さんはやっぱりショック受けてるかも。
元のクラスの優しい空気に慣れてしまってたやろうし。
それにしても浦山さんは流石のSチュータークラスの熟練者!
上手な切り口で批評しはったねえ。
一番笑ったのは
『こんな時のSチューターの「ごめんね」は、息継ぎ程度のものだとぼくは知っているんだよね(笑)』
上手いなあ。
浦山さん 文章ウマー。
続編もヨロピク!
うさぎ
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2017・10・13(金)
うさぎさん浦山です。
第一関門。
うさぎさん、やばいよ、やばいよ~。
17日に合評する作品が、小和田朱鷺さん『そこにて、在る』なんだ。
朱鷺さんといえば、4年前に樹林の選考会でぼくが権田さんと対立した『そこにて、眠る』の作者。
なんか不思議だよ。
『そこにて、眠る』がきっかけで、打倒権田で専科クラスへ乗り込んだからさ。
Sチュータークラスでの最初の合評作品が、その作者なんだもんな。
問題は小説の中身なんだけど、
教員を退職後、母親の遺品を整理していたら、母親の兄からの軍事郵便を見つけた。
ってとこから始まって、満州事変、南京虐殺のことを書いているんだ。
それがさ、読んだ本や、講演会、母親の実家で伯父の話を聞いたことを説明しているだけで、主人公独自の思いは書いていないんだ。
朱鷺さんは、元のクラスでの中心人物ぽいし、ほとんどの人が褒めるんだろうな。
「問題意識を持って書かれた作品だ」とか言ってさ。
この作品をどう評するかで、ぼくの立ち位置が決まりそうだよ。
言葉を選んで、面白くないと評するしかないけどね(笑)
この作品、Sチューターにとってもヤバイと思うよ。
満州はSチューターのテリトリーだもんな、
よく調べないで、中途半端に書いているところもあるし、
ガチンコ勝負になるかもよ。
*
2017・10・13(金)
やばっ
浦山さま
朱鷺さんはSチューターの洗礼を受けた事無いの?
浦山さんはまあ最初やから、柔らかめにお茶を濁しといたらエエけどSチューターがどう出るかやなあ!
「資料を100冊読まずに書いちゃダメ!」
だったよね。
それにSチューターは、相手や体制を批判するだけで自分に刃が向かない人にはキツイよん。
満州事変や南京がテーマで、Sチューターが黙ってやり過ごす訳はない!
どないなるやろ。
こっそり見に行きたいなー。
うさぎ
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2017・10・18(水)
Sチューター節。
うさぎさん。
昨日の朱鷺さんの作品合評。
最初の人が、私の価値観を語り出してさ、
やっぱり始まったか~と、半分面白がって聞き流していたんだ。
Sチューターが「作品に沿って批評してください」
と止めてから
「この作品の資料から引用してある部分は全て棄てて批評してください」
そういって、具体的なページと範囲を言ったんだよ。
それが、半分以上なんだ。
きたきたきた~って感じ(笑)。
「小説は主人公の体験や思考を書くもの。資料は所詮、他人事です」(要約・浦山)
Sチューターの「棄てるという意味が分からない」や「それを聞いて、作品の違和感が無くなりました」(これもどーかなと思うけど)
との感想も交じりながら合評が進行。
でも、やはり作品そっちのけの戦争の悲惨さを書こうとする姿勢に頭が下がりますとか、よく調べているのがすごいとかが目立ったよ。
さてさて、どーいうわけかぼくは最後の評者になった。
「この作品に切実さを感じないのは、主人公に葛藤が無いからです。
だから、主人公の物語になっていない」
そして3つの設定が都合よすぎると指摘。
1、伯父さんは、満州へ送られたけど輜重兵(しちょうへい)だったので、中国人を殺していない。
2、夫は南京虐殺や資料を調べることに協力している。
3、親戚のおばさんは、伯父さんのことをなんでも話してくれる。
「この設定を逆にして、知りたいと思うことを調べていくと、どんどん孤立していく主人公にすればいい」
「そうするためには、伯父さんの手紙(母親の遺品)に、主人公の心がぎゅっとつかまれることが書かれている必要がある」
えへへ、ぼくは提案型批評ってことを思いついたんだ。
よーく考えると全否定だよね。
最後のSチューターの評。
「この作品は構造的に、小説ではなくてドキュメントです。
小説にするためには、よほどの腕が要ります。ここに登場する母親やおばさんの語りで書くといいでしょう」
ここから、小説とは何か、語りの優位性とかSチューター節が炸裂!
やっぱ全否定。
「ごめんね」
と、朱鷺さんに何度も声をかけていたけど、
こんな時のSチューターの「ごめんね」は、
息継ぎ程度のものだとぼくは知っているんだよね(笑)。
その後、朱鷺さんとSチューターは喫茶店でダベリング。
ぼくは東梅田まで朱鷺さんとご一緒の運命。
初めてのSチューター体験に混乱している様子。
ぼくは、「そう書くと小説になるんですね」と感謝されてしまったよ。
浦山稔
*
2017・10・18(水)
お待ちかね~
浦山さま
催促したくなる気持ちを抑えつつ、メールを楽しみに待っておりました。
いやー眼に浮かぶ~。
懐かし~。
初めての朱鷺さんはやっぱりショック受けてるかも。
元のクラスの優しい空気に慣れてしまってたやろうし。
それにしても浦山さんは流石のSチュータークラスの熟練者!
上手な切り口で批評しはったねえ。
一番笑ったのは
『こんな時のSチューターの「ごめんね」は、息継ぎ程度のものだとぼくは知っているんだよね(笑)』
上手いなあ。
浦山さん 文章ウマー。
続編もヨロピク!
うさぎ
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