第17話 牧野のバイト代
文字数 1,301文字
向井がアーケードに戻ると、
霊の数もかなり減っていた。
三人の姿も見当たらないところをみると、
冥界に戻っているようだ。
「俺もいったん戻るとしますか。
虎獅狼は、
いつもどうしているんですか? 」
「俺か?
俺にも同類の仲間はいるからな」
「そうですか。遊ぶのはかまわないが、
あまり悪さをしないでほしいな」
「ふん!! 」
虎獅狼は去り際、
尻尾で向井の足を、
軽くポンポンと叩くと歩いて行った。
――――――――
向井は近くの神社に入り、
カァカァと鳴くカラスに手をあげると、
鳥居をくぐり、
冥界へと帰っていった。
神社にはそれぞれ神を守る霊獣がいる。
だが、
神の通り道とされている鳥居は、
魔除けの朱色ではあるが、
完全に魔を避けることはなく、
冥界の番人であるカラスと鷹が、
神使としてそこにいる。
神使には白鹿、犬、
狐など他にも存在するが、
冥王の眷属はその時々で変わる。
その理由こそ神のみぞ知るだ。
特例が下界での非常事態の時に、
死神より早くに行動を起こすのが、
この眷属になる。
向井が戻ると休憩室で特例メンバーが、
大画面の前でスポーツ観戦に興じていた。
下界も冥界も
世界大会に沸いているようだ。
「あっ、お帰りなさい」
早紀がソファーから立ち上がり、
ワインの入ったグラスを持ってきた。
「はい。今日は牧野のおごり。
結構なバイト料が入ったらしいよ~」
「今日の主役は俺様だ~!!
まあ、安達も頑張ったけどな」
牧野が楽しそうに親指を立てた。
休憩室の壁一面に大画面があり、
その前にはコーナーローソファー、
更にロングテーブルが置かれていた。
全面にマットが敷かれているので、
既に酔った状態で、
田所が寝転がっていた。
「おかげで当分、霊電持ちそうです」
佐久間が部屋に入ってきた。
「お疲れ様です。
今日はお守りを有難うございました」
「お守り………」
安達はむすっと不貞腐れると、
ピザにかぶりついた。
「ごめんごめん。
安達君には感謝してますよ。
今日もずいぶんと働いてくれたみたいで、
助かったよ。だからこれ、お土産ね」
そういうと、
安達が欲しがっていた、
アニメグッズを手渡した。
「!! あ、有難う」
途端に安達の顔がきらきらと、
嬉しそうに輝いた。
「安達だけかよ。俺のは? 」
「ないですよ。
牧野君は安達君より先輩だからって、
前に言ってたじゃないですか。
お土産ぐらいで、
目くじら立てたりしないでしょ」
むくれる牧野を笑いながら見ると、
向井は佐久間と早紀に小声で言った。
「あのアニメグッズ。
高くてびっくりですよ。
山川さんに聞いてお店に行ったんですけど、
驚きました」
「そうでしょうね。
今アニメ産業は、
肝いり案件の一つですから。
漫画法案も多くなって、
検閲も厳しいですけど、、
政府使用には著作権も曖昧になって、
使い放題の所もありますから」
「まあ、
安達君がご機嫌なんでいいですけどね」
そんな話をしていると、
インフォメーションが流れてきた。
「賽の河原より舟が到着されます。
保護課、派遣課のスタッフ、
または手の空いているスタッフは、
玄関口までおいでください」
「幼い子供の霊は、
いつになっても慣れないですね」
向井はそういうと、
「安達君行きますよ」
ワインを飲んでグラスを早紀に手渡すと、
部屋を出て行った。
霊の数もかなり減っていた。
三人の姿も見当たらないところをみると、
冥界に戻っているようだ。
「俺もいったん戻るとしますか。
虎獅狼は、
いつもどうしているんですか? 」
「俺か?
俺にも同類の仲間はいるからな」
「そうですか。遊ぶのはかまわないが、
あまり悪さをしないでほしいな」
「ふん!! 」
虎獅狼は去り際、
尻尾で向井の足を、
軽くポンポンと叩くと歩いて行った。
――――――――
向井は近くの神社に入り、
カァカァと鳴くカラスに手をあげると、
鳥居をくぐり、
冥界へと帰っていった。
神社にはそれぞれ神を守る霊獣がいる。
だが、
神の通り道とされている鳥居は、
魔除けの朱色ではあるが、
完全に魔を避けることはなく、
冥界の番人であるカラスと鷹が、
神使としてそこにいる。
神使には白鹿、犬、
狐など他にも存在するが、
冥王の眷属はその時々で変わる。
その理由こそ神のみぞ知るだ。
特例が下界での非常事態の時に、
死神より早くに行動を起こすのが、
この眷属になる。
向井が戻ると休憩室で特例メンバーが、
大画面の前でスポーツ観戦に興じていた。
下界も冥界も
世界大会に沸いているようだ。
「あっ、お帰りなさい」
早紀がソファーから立ち上がり、
ワインの入ったグラスを持ってきた。
「はい。今日は牧野のおごり。
結構なバイト料が入ったらしいよ~」
「今日の主役は俺様だ~!!
まあ、安達も頑張ったけどな」
牧野が楽しそうに親指を立てた。
休憩室の壁一面に大画面があり、
その前にはコーナーローソファー、
更にロングテーブルが置かれていた。
全面にマットが敷かれているので、
既に酔った状態で、
田所が寝転がっていた。
「おかげで当分、霊電持ちそうです」
佐久間が部屋に入ってきた。
「お疲れ様です。
今日はお守りを有難うございました」
「お守り………」
安達はむすっと不貞腐れると、
ピザにかぶりついた。
「ごめんごめん。
安達君には感謝してますよ。
今日もずいぶんと働いてくれたみたいで、
助かったよ。だからこれ、お土産ね」
そういうと、
安達が欲しがっていた、
アニメグッズを手渡した。
「!! あ、有難う」
途端に安達の顔がきらきらと、
嬉しそうに輝いた。
「安達だけかよ。俺のは? 」
「ないですよ。
牧野君は安達君より先輩だからって、
前に言ってたじゃないですか。
お土産ぐらいで、
目くじら立てたりしないでしょ」
むくれる牧野を笑いながら見ると、
向井は佐久間と早紀に小声で言った。
「あのアニメグッズ。
高くてびっくりですよ。
山川さんに聞いてお店に行ったんですけど、
驚きました」
「そうでしょうね。
今アニメ産業は、
肝いり案件の一つですから。
漫画法案も多くなって、
検閲も厳しいですけど、、
政府使用には著作権も曖昧になって、
使い放題の所もありますから」
「まあ、
安達君がご機嫌なんでいいですけどね」
そんな話をしていると、
インフォメーションが流れてきた。
「賽の河原より舟が到着されます。
保護課、派遣課のスタッフ、
または手の空いているスタッフは、
玄関口までおいでください」
「幼い子供の霊は、
いつになっても慣れないですね」
向井はそういうと、
「安達君行きますよ」
ワインを飲んでグラスを早紀に手渡すと、
部屋を出て行った。
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