第84話 AIロボ

文字数 1,022文字

向井が休憩室に入ると、
牧野がポテチを食べながら、
テレビを見ていた。

源じいも休憩中で本を読んでいる。

その下をロボット掃除機が、
ゴミを吸い取って、
動き回っていた。

『マキノ コボスナ』

AIには牧野が食い散らかすと、
インプットされているようだ。

『マキノチラカス。シゴトフエル』

「うるさいな」

牧野が足元のロボットに、
文句を言いながら、
ソファーに寝そべった。

「ボンはおやつをこぼすからな。
私でも口から食べ物は落とさないぞ」

源じいはそういうと、

「そろそろ焼却も終わるかな」と、
笑いながら仕事に戻っていった。

「そういえば、
牧野君は発表会の演目、
決めたんですか? 
皆さん申し込みされてますよ」

掲示板にエントリーする人は、
死神課までと張り紙がされていた。

催し物が少ないという事で、
今回、
第一回発表会が行われることになり、
冥界ではみんな、
楽しみにしているようだった。

「冥王が審査員をされるそうです。
見に来てくれた者たちから、
アンケートを取って、
上位三チームには、
有名店の美味しいもの、
詰め合わせがもえらますよ」

「えっ? ホント? 」

牧野が振り返った。

「誰がエントリーしてるの? 」

「ティンくんとセイくんは、
ダンスを披露するそうです。
あと早紀ちゃんは一輪車。
佐久間さんは紙切り。
真紀子さんと弥生ちゃんは、
源じいのピアノ演奏で歌うそうです」

「源じいピアノ弾くの? 」

牧野が驚きの声を上げた。

「他にもチビ達はオクトさんと一緒に、
影絵をするとか……
そうそう虎獅狼と千乃も、
変化の術を見せてくれるそうですよ」

「なに? 妖怪どもも参加するのか? 
だったら俺も何か……何か……」

牧野が腕組みして考え込む。

「何でもいいんですよ。
発表会なんですから、
自分の好きなことで」

「向井は出ないのかよ」

「俺は運営側なので、
楽しませてもらいます」

向井は静かに笑った。

「ん~……!! 思いついた。
俺、ヨーヨーにする。
じいちゃん先生がヨーヨーで、
悪をやっつけるドラマの話をしてて、
俺もずっとヨーヨーやってたんだよね。
おかげで特技の一つになった」

「ヨーヨー凄いですよね。
世界大会を見たことありますけど、
もう何がどうなっているのか、
分からないくらいに、
くるくる回してました」

「そんな神業トリックなんかできねえよ。
だけど、
基本のトリックは得意なんだよ。
ブレイン・ツイスターとか、
シュート・ザ・ムーンくらいは披露できる。
あとヨーヨーで物を倒すのも、
自信あるんだ~」

牧野はそういうと、
エントリーしに出て行った。
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