第114話 密談
文字数 1,109文字
一時間前。
執務室で赤姫はソファーに座ると、
ふんぞり返るように冥王を見た。
「儀式の事でしたら、
私の責任ではありませんよ。
少しお邪魔はさせていただきましたが」
「それくらい……私だって分かっておる。
私が怒っておるのは、
奴らが甘く見ていることだ。
AIだか何だかわからんが、
最高の贄だと言いつつ、
ロクでもない骸 を押し付ける。
そのおかげで見ろ。
私はどんどん年を取る」
「贄も人なんですよ。
生きているんです」
「それが私に何の関係がある。
ギブアンドテイク。
人間どもはそういうんだろう? 」
「その姿が気に入らないなら、
私が若返らせてあげますよ」
冥王はそういうと、
赤姫を元の美しい姿へと戻した。
「まあ、今はこれで許してやる。
だが、
これ以上神を冒涜する行為を続けるなら、
この国を地獄に落とすと申しておけ」
赤姫は冥王に怒りをぶつけた。
この国の中央に、
全てが集中していることもあり、
東西南北にある結界は、
中央のみ穢れが進み、
そこから災害の波が、
全国へと浸透していた。
「年寄りの骸は私の栄養にはならん。
穢れのない贄でなければならん、
とは言わん。
だが、神は新鮮な血を好むんだよ。
ジジイ、ババアの血肉では若返られん」
「千年も生きたのなら、
もういいでしょう」
「何を言うか。私は神だぞ」
赤姫は怒って冥王を睨んだ。
「赤姫には生贄など必要ないでしょう」
冥王がため息まじりに言うと、
「抑々、
私は贄をくれとは一言もいっておらん。
人間が勝手に願い、
置いて行ったものを頂き、
その代価として奴らの願いを、
少しだけ聞いてやった。
そしたら見てみろ」
赤姫は鼻で笑った。
「あれをしろ。これをしろ。
何で己が欲望の為に、
私が加担してやらねばならん。
しかも人工知能? あれは侮れん」
赤姫はいったん口を閉じると、
考えるように話し始めた。
「私にとって、
お荷物な贄ばかりよこしてくる。
今回などあの大沢の息子を選びよった。
更に、あんな恐ろしい魂のガキを、
私に押し付けようとするなど……
神は廃棄物処理所ではないぞ」
その話に冥王が声を上げて笑った。
「笑い事ではない。
AIどもは自分らに邪魔な人間を選び、
人間どもは年寄りを贄に送ってよこす。
これほど馬鹿にされて、
何故願いをかなえてやらねばならん。
そうであろう? 」
「人間がおろかな生き物なのは、
知ってるでしょう。
でもだからこそ、愛おしいとも言えます」
「そなたは人間が好きだからいい。
私にはどうでもいい存在だ」
「そうとも言えないでしょう?
あなたの為に祭りを開き、
あなたの好きな新鮮な果物や穀物を供え、
賑やかに祝ってくれているではないですか。
楽しそうにお祭りを見ている赤姫を、
私は知っています」
「ば、馬鹿を言うでない」
赤姫は顔を赤くして、横を向いた。
執務室で赤姫はソファーに座ると、
ふんぞり返るように冥王を見た。
「儀式の事でしたら、
私の責任ではありませんよ。
少しお邪魔はさせていただきましたが」
「それくらい……私だって分かっておる。
私が怒っておるのは、
奴らが甘く見ていることだ。
AIだか何だかわからんが、
最高の贄だと言いつつ、
ロクでもない
そのおかげで見ろ。
私はどんどん年を取る」
「贄も人なんですよ。
生きているんです」
「それが私に何の関係がある。
ギブアンドテイク。
人間どもはそういうんだろう? 」
「その姿が気に入らないなら、
私が若返らせてあげますよ」
冥王はそういうと、
赤姫を元の美しい姿へと戻した。
「まあ、今はこれで許してやる。
だが、
これ以上神を冒涜する行為を続けるなら、
この国を地獄に落とすと申しておけ」
赤姫は冥王に怒りをぶつけた。
この国の中央に、
全てが集中していることもあり、
東西南北にある結界は、
中央のみ穢れが進み、
そこから災害の波が、
全国へと浸透していた。
「年寄りの骸は私の栄養にはならん。
穢れのない贄でなければならん、
とは言わん。
だが、神は新鮮な血を好むんだよ。
ジジイ、ババアの血肉では若返られん」
「千年も生きたのなら、
もういいでしょう」
「何を言うか。私は神だぞ」
赤姫は怒って冥王を睨んだ。
「赤姫には生贄など必要ないでしょう」
冥王がため息まじりに言うと、
「抑々、
私は贄をくれとは一言もいっておらん。
人間が勝手に願い、
置いて行ったものを頂き、
その代価として奴らの願いを、
少しだけ聞いてやった。
そしたら見てみろ」
赤姫は鼻で笑った。
「あれをしろ。これをしろ。
何で己が欲望の為に、
私が加担してやらねばならん。
しかも人工知能? あれは侮れん」
赤姫はいったん口を閉じると、
考えるように話し始めた。
「私にとって、
お荷物な贄ばかりよこしてくる。
今回などあの大沢の息子を選びよった。
更に、あんな恐ろしい魂のガキを、
私に押し付けようとするなど……
神は廃棄物処理所ではないぞ」
その話に冥王が声を上げて笑った。
「笑い事ではない。
AIどもは自分らに邪魔な人間を選び、
人間どもは年寄りを贄に送ってよこす。
これほど馬鹿にされて、
何故願いをかなえてやらねばならん。
そうであろう? 」
「人間がおろかな生き物なのは、
知ってるでしょう。
でもだからこそ、愛おしいとも言えます」
「そなたは人間が好きだからいい。
私にはどうでもいい存在だ」
「そうとも言えないでしょう?
あなたの為に祭りを開き、
あなたの好きな新鮮な果物や穀物を供え、
賑やかに祝ってくれているではないですか。
楽しそうにお祭りを見ている赤姫を、
私は知っています」
「ば、馬鹿を言うでない」
赤姫は顔を赤くして、横を向いた。
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