第31話 トレーニングルーム
文字数 1,182文字
「待たせちゃってすいませんね。
今、
この横に作業部屋を作っているんですよ」
「えっ? 」
椅子に座って本を読んでいた、
元秀が顔を上げた。
「どういうこと? 」
花村も興味津々で聞いてきた。
「実はサロンにいる派遣登録の方に、
芸術家さんが増えたじゃないですか。
だったら、ここに工房を作って、
出来上がった作品は、
ギャラリーに飾ろうという案が、
出ているんです」
「えっ、そうなの?
私達の作品が、
死後の世界でも飾られ、
見てもらえるってこと? 凄いな」
「そういってもらえると嬉しいです。
もし現世に作品を残したいのであれば、
そのように努力します。
作りたい作品を、
思う存分作って頂けたらと、
考えています」
「おい、みんな聞いたか? 」
花村はその場にいた者たちに言った。
「それが本当なら、俺も参加したい」
元秀が珍しく発言した。
「どうしても描きたいものがある」
「皆さんの好きな作品を作り上げて、
満足した人から、
来世に進んでいただければ、
悔いも残らないし、どうでしょう」
「いいね~私はそれに乗った!! 」
花村が嬉しそうにいい、
その場にいたものもそれぞれ頷いた。
殆どの作家は構想が頭の中で、
作り上げられているのかもしれない。
権力に取りつかれているものは、
派遣霊にはなれないので、
保護されてすぐに消去、
あるいは除去されてしまう。
花村たちが、
楽しそうに話しているのを見て、
冥王の妙案もある意味、
棚から牡丹餅になったのかもしれない。
「あの…」
向井の方にくるみが近づいてきた。
「あっ、ごめんね。
くるみ君に合う死神を連れてきたから、
会ってもらえるかな? 」
「どうも、ティンです」
明るい声であいさつするティンに、
くるみは小さく頷いた。
「ストリートダンスは未経験だけど、
身体の方は鍛えてるから、
きちんと動いてくれると思うんだよね」
ティンは、
グランパシャツにカーゴパンツといった、
カジュアルなコーディネートで、
死神の中ではお洒落な方かもしれない。
「モデル? 」
くるみが向井を見て言った。
「違うよ。
ちゃんと君の為に、
働いてくれる死神さんです。
君には今身体がないから、
洋服みたいなものかな」
「ふぅん」
「どうだろう。
一度中に入って、
着心地を試してみる? 」
「俺の思うように体が動いてくれないと、
困るんだけど大丈夫かな」
「筋肉はスポーツによって違うから、
俺にも何とも言えないけど、
鍛えてるし、メンテもできてるから、
あとは君次第だよ」
ティンの言葉に少し考えてから、
「やってみる」
くるみが頷いた。
「じゃあここはサロンだから、
トレーニングルームに移動しようか」
向井がいい、
二人を連れてサロンを出ることにした。
ドアの前で、
「花村さん」
向井が声をかけると、
「ん? 」
楽しそうに盛り上がっている、
作家たちの輪から振り返った。
「一応あなた達から承諾を得たこと、
上には伝えておきますから」
「わかった。有難う」
向井は二人とともにサロンを出た。
今、
この横に作業部屋を作っているんですよ」
「えっ? 」
椅子に座って本を読んでいた、
元秀が顔を上げた。
「どういうこと? 」
花村も興味津々で聞いてきた。
「実はサロンにいる派遣登録の方に、
芸術家さんが増えたじゃないですか。
だったら、ここに工房を作って、
出来上がった作品は、
ギャラリーに飾ろうという案が、
出ているんです」
「えっ、そうなの?
私達の作品が、
死後の世界でも飾られ、
見てもらえるってこと? 凄いな」
「そういってもらえると嬉しいです。
もし現世に作品を残したいのであれば、
そのように努力します。
作りたい作品を、
思う存分作って頂けたらと、
考えています」
「おい、みんな聞いたか? 」
花村はその場にいた者たちに言った。
「それが本当なら、俺も参加したい」
元秀が珍しく発言した。
「どうしても描きたいものがある」
「皆さんの好きな作品を作り上げて、
満足した人から、
来世に進んでいただければ、
悔いも残らないし、どうでしょう」
「いいね~私はそれに乗った!! 」
花村が嬉しそうにいい、
その場にいたものもそれぞれ頷いた。
殆どの作家は構想が頭の中で、
作り上げられているのかもしれない。
権力に取りつかれているものは、
派遣霊にはなれないので、
保護されてすぐに消去、
あるいは除去されてしまう。
花村たちが、
楽しそうに話しているのを見て、
冥王の妙案もある意味、
棚から牡丹餅になったのかもしれない。
「あの…」
向井の方にくるみが近づいてきた。
「あっ、ごめんね。
くるみ君に合う死神を連れてきたから、
会ってもらえるかな? 」
「どうも、ティンです」
明るい声であいさつするティンに、
くるみは小さく頷いた。
「ストリートダンスは未経験だけど、
身体の方は鍛えてるから、
きちんと動いてくれると思うんだよね」
ティンは、
グランパシャツにカーゴパンツといった、
カジュアルなコーディネートで、
死神の中ではお洒落な方かもしれない。
「モデル? 」
くるみが向井を見て言った。
「違うよ。
ちゃんと君の為に、
働いてくれる死神さんです。
君には今身体がないから、
洋服みたいなものかな」
「ふぅん」
「どうだろう。
一度中に入って、
着心地を試してみる? 」
「俺の思うように体が動いてくれないと、
困るんだけど大丈夫かな」
「筋肉はスポーツによって違うから、
俺にも何とも言えないけど、
鍛えてるし、メンテもできてるから、
あとは君次第だよ」
ティンの言葉に少し考えてから、
「やってみる」
くるみが頷いた。
「じゃあここはサロンだから、
トレーニングルームに移動しようか」
向井がいい、
二人を連れてサロンを出ることにした。
ドアの前で、
「花村さん」
向井が声をかけると、
「ん? 」
楽しそうに盛り上がっている、
作家たちの輪から振り返った。
「一応あなた達から承諾を得たこと、
上には伝えておきますから」
「わかった。有難う」
向井は二人とともにサロンを出た。
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