第87話 アメジストドーム
文字数 1,033文字
優香が厨房に行ったのをきっかけに、
向井達も休憩室に戻った。
見ると入り口の両端に、
大きなアメジストドームを設置する、
死神の姿があった。
「向井がこれ、
ここに置くように言ったんだって? 」
牧野が向井と新田の近くに歩いてきた。
「そうなんだけど、
こんな立派なドームを、
よく二つも用意できましたね」
向井が運んできたエハに近づいた。
エハは保管庫を担当している死神で、
冥界での調達係でもある。
「緑川さんにお願いしたら、
意外と早い段階で見つけられたので、
入り口の左右に置くことにしました。
阿吽の像みたいでしょ? 」
「御託宣室のものより、
いいんじゃないですか? 」
「そうだと思いますよ。
浄化の目的で探してたので、
お値段もかなりの額だったみたいで、
フェムトンが悲鳴を上げてました」
エハは他人ごとのようにクックッと笑った。
「これって何? 」
牧野が不思議そうに、
ドームの近くをウロウロした。
「俺達は日常的に悪霊と接してるので、
知らないうちに体に、
陰の部分が溜まっているんですよ。
これを置くことで体が軽くなって、
気分的にも楽になると思います。
俺で実験済みなので保証しますよ」
「へえ~」
「母岩はコーティングされてるから、
触れても大丈夫だよ。
ひんやりして体が吸い込まれていく感じで、
軽くなるから」
手伝っていたアートンが牧野に説明する。
「冥界の人間には治療にもなるんじゃない」
エハもそういい、ドームを固定した。
牧野は恐々触れると声を上げた。
「おお~気持ちいい~」
「新田君も近づいてみるといいよ。
それだけでも体の疲れが軽減されるから」
向井の勧めに、
新田もドームの前に立って、
軽く目を閉じた。
「確かに落ち着きますね。
頭もすっきりして気分もいい」
「これからは空間も浄化されて、
悪霊にやられた体のメンテにも、
効くと思います」
向井がそういったところで、
廊下から話し声が聞こえてきた。
誰だ?
部屋を出ると冥王の姿があった。
「何かあったんですか? 」
向井が近づくと、
「ああ、いま三途の川で、
ちょっとしたトラブルがあってね。
特別室組の霊が上がってきて、
とりあえず隔離サロンの方へ、
移動させたんだよ」
サロン担当の死神カトルセが説明した。
外形はクールで知的な印象があるが、
話すとその気さくさから、
サロン霊には人気が高い。
「また、
特別室の人数が増えるんですか? 」
向井の肩がげんなりと力が抜けた。
「いや、今いる特別室のうち二人は、
そろそろ献上する命もないので、
隔離室へ移動させます」
冥王はそういいながら、
向井の肩を叩いた。
向井達も休憩室に戻った。
見ると入り口の両端に、
大きなアメジストドームを設置する、
死神の姿があった。
「向井がこれ、
ここに置くように言ったんだって? 」
牧野が向井と新田の近くに歩いてきた。
「そうなんだけど、
こんな立派なドームを、
よく二つも用意できましたね」
向井が運んできたエハに近づいた。
エハは保管庫を担当している死神で、
冥界での調達係でもある。
「緑川さんにお願いしたら、
意外と早い段階で見つけられたので、
入り口の左右に置くことにしました。
阿吽の像みたいでしょ? 」
「御託宣室のものより、
いいんじゃないですか? 」
「そうだと思いますよ。
浄化の目的で探してたので、
お値段もかなりの額だったみたいで、
フェムトンが悲鳴を上げてました」
エハは他人ごとのようにクックッと笑った。
「これって何? 」
牧野が不思議そうに、
ドームの近くをウロウロした。
「俺達は日常的に悪霊と接してるので、
知らないうちに体に、
陰の部分が溜まっているんですよ。
これを置くことで体が軽くなって、
気分的にも楽になると思います。
俺で実験済みなので保証しますよ」
「へえ~」
「母岩はコーティングされてるから、
触れても大丈夫だよ。
ひんやりして体が吸い込まれていく感じで、
軽くなるから」
手伝っていたアートンが牧野に説明する。
「冥界の人間には治療にもなるんじゃない」
エハもそういい、ドームを固定した。
牧野は恐々触れると声を上げた。
「おお~気持ちいい~」
「新田君も近づいてみるといいよ。
それだけでも体の疲れが軽減されるから」
向井の勧めに、
新田もドームの前に立って、
軽く目を閉じた。
「確かに落ち着きますね。
頭もすっきりして気分もいい」
「これからは空間も浄化されて、
悪霊にやられた体のメンテにも、
効くと思います」
向井がそういったところで、
廊下から話し声が聞こえてきた。
誰だ?
部屋を出ると冥王の姿があった。
「何かあったんですか? 」
向井が近づくと、
「ああ、いま三途の川で、
ちょっとしたトラブルがあってね。
特別室組の霊が上がってきて、
とりあえず隔離サロンの方へ、
移動させたんだよ」
サロン担当の死神カトルセが説明した。
外形はクールで知的な印象があるが、
話すとその気さくさから、
サロン霊には人気が高い。
「また、
特別室の人数が増えるんですか? 」
向井の肩がげんなりと力が抜けた。
「いや、今いる特別室のうち二人は、
そろそろ献上する命もないので、
隔離室へ移動させます」
冥王はそういいながら、
向井の肩を叩いた。
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